News & Review 韓国 民主労総の新執行部がスタート 「ゼネスト指導部」を標榜して当選

月刊『国際労働運動』48頁(0461号02面01)(2015/02/01)


News & Review 韓国
 民主労総の新執行部がスタート
 「ゼネスト指導部」を標榜して当選

(写真 2015年度の情勢展望と闘争計画を明らかにする民主労総新執行部。左からイヨンジュ事務総長、ハンサンギュン委員長、チェジョンジン首席副委員長【12月30日】)

(写真 会社ロビーの占拠籠城に突入したSKブロードバンド支部)

朴槿恵政権との全面戦争準備する執行部

 1月1日、民主労総の初めての直接選挙制で選出された第8期新任執行部が任期をスタートした。ハンサンギュン委員長、チェジョンジン首席副委員長、イヨンジュ事務総長の体制だ。
 昨年末12月に行われた4組候補の選挙戦で第1次投票、決選投票を経てハンサンギュン(前双龍車支部長)候補組が勝利したことについて「『辺境』の解雇労働者が異変を起こした」と評されている。資本の攻撃の中で現場で苦闘する労働者の民主労総を変えようという気持ちが素直に反映されたと評されている。
 ハンサンギュン指導部は選挙中一貫して「ゼネスト指導部」を標榜して選挙戦を闘った。選挙運動自体がゼネストの組織化の過程だと考えて闘った。
 そして就任と同時に総連盟をゼネスト闘争本部に転換して朴槿恵(パククネ)政権との全面戦争の準備に入った。今年、創立20周年を迎える民主労総は、資本と朴槿恵政権の攻撃にブレーキをかけることができる「成人」に成長することができるかが問われている。
 新執行部は任期スタート直前の昨年12月30日に記者会見を行い、2015年度の情勢展望と闘争計画について次のように語った。
 ハンサンギュン新任委員長は「19年たって初めて行われた民主労総役員直選制の結果、『辺境』の解雇労働者が委員長に当選する異変を起こした。今回の直選制の意味は、この地の苦痛を受ける労働者と国民の心が集まった勝利だと受け止めている」「組合員の力を合わせて民主労総が2千万労働者全体の中心となり、この社会を正しく牽引し、政権と資本の暴走に制動をかける出発点に立ったと考える」と述べ、就任と同時に朴槿恵政権の新自由主義攻撃、非正規職拡大に対してゼネストを準備していく計画だと明らかにした。
 民主労総初の女性事務総長になったイヨンジュ事務総長は「ゼネスト準備の最初の作業として、11月~12月全国の現場で労働者たちに会うという第1次目標が達成された。今後、1~2月、ゼネストのための全国的な教宣作業と組織革新作業を並行して行う」「また3~4月に公共部門を中心にした闘争をはじめとして、体系的なゼネスト準備作業を計画し、怒りを集めていく」「整理解雇及び非正規職撤廃、公共部門民営化阻止及び労働基本権をかちとることなどにおいて、各産別が個別に闘うのではなく、民主労総が総戦線を率いてすべての労働者とともに闘争を進めなければならない」と述べた。
 チェジョンジン新首席副委員長は「4・16セウォル号大虐殺局面で民主労総が強力に闘争で対処したならば、その後で朴槿恵政権が一方的な年金改悪、非正規職改悪カードを取り出せただろうか。迫り来る攻勢の中で民主労総の役割は政権に対して労働者、民衆の生存権を守ることだと確信してこの道を躊躇なく共に進む」と述べた。
 新執行部は全体として「民主対反民主の構図を超えて労働と資本が全面的に対立するしかない情勢が広がっている。韓国社会全体の民主・変革勢力を朴槿恵政権との闘争の下に結集させなければならないということが80万組合員の命令だ。ゼネスト闘争は始まった。公務員年金改悪と労使政委員会を押し立てた労働法改悪に対して直ちに闘争態勢を整える」と表明した。
 新執行部は1月1日、新年メッセージを発表した(記事の最後に掲載)。

ケーブル放送労働者が闘争に勝利

 12月31日、50日間電光掲示板に登って高空籠城を行っていたC&M労働者が地上に降りてきた。ケーブル放送C&Mの下請け会社労働者のイムジョンギュン、カンソンドクさんが12月31日午後、地上に降りて同僚たちの懐に抱かれた。希望連帯労組C&M組合員たちは、その日の午前「新会社を作って109人の解雇者のうちすでに転職した者を除いた83人をすべて採用する」という前日の労使合意案を受け入れて2人を地上に呼び戻した。
 C&M会社と109人の解雇労働者は直接雇用関係がないからC&M会社は109人の解雇について責任はないという会社の態度を突き崩して交渉の場に引きずり出してかちとった勝利だった。組合員の団結した渾身の闘いでかちとった勝利だ。
 12月31日午後3時30分、 「C&M闘争勝利及び通信社非正規職総力闘争決意大会」がソウル太平路のファイナンスビルディング前C&M籠城場で開かれた。勝利報告大会にはC&M正規職・非正規職労働者たちとLGユープラス非正規職支部、SKブロードバンド非正規職支部組合員たちも参加した。
 チェムンホ希望連帯労組共同委員長は「本当に誇らしくありがたい」とあいさつして「同志のみんなで笑おう」と言って広告塔を仰ぎ見て「ジョンギュンよ、ソンドクよ、さあ降りて来い!」と言った。
 イジョンタク共同委員長は、まずキムハニ共同委員長のメッセージを伝えた。キムハニ委員長は「この感激をどう表現すればいいのか分からない」として「電光板高空籠城を見て、断食をする同志が倒れて病院に運ばれるのを見るたびに心が落ち着かなかったし、妥結のニュースを聞いてあふれる涙をこらえることができなかった」「今度はLGユープラスとSKブロードバンドの同志たちが勝利する番だ」と強調した。
 集会参加者は力いっぱい叫んだ。
 「自分を信じて同志を信じて闘って勝利したぞ!」
 「強固な闘争で非正規職を撤廃しよう!」
 「C&M闘争に勝利した。民主労組を強化しよう!」
 「団結闘争、連帯闘争、闘ってかちとった!」
 「ストライキ闘争に勝利した。現場に戻ろう!」
 「今また始まりだ。通信非正規、勝利しよう!」
 「団結こそ生きる道だ。連帯が力だ!」
 「地域連帯、社会連帯、我々が実践しよう!」
 「解雇者原職復職、構造調整阻止しよう!」
 「闘って勝利した。現場に帰ろう!」
 「通信財閥は覚悟せよ。われわれは闘うぞ!」
 2人は高所作業車で地上に降り立った。体調を崩していたイムジョンギュン氏はすぐ救急車で病院に運ばれた。カンサンドク氏(昨年11月労働者集会で訪日)は「昨日と今日、他の場所で高空籠城を行っているクミのスターケミカルのチャグァンホ氏と双龍車解雇労働者たちから祝いの電話をもらった」「彼らに済まないという気持ちだ」と述べた。カンソンドク氏はその困難な闘いに終止符を打ちながらも自分の喜びよりも、依然として高い所と街頭で新年を迎える他の労働者たちを気遣った。
 同じ希望連帯労組所属のSKブロードバンドとLGユープラス下請け会社の非正規職労働者たちはまだ40日を超えるストライキと野宿籠城を続けている。

SKブロードバンド支部が会社を占拠

 1月6日、希望連帯労組所属SKブロードバンド支部労組員150人が会社のロビー占拠籠城に入った。占拠籠城突入から3時間余がたって会社側は交渉テーブルを準備した。
 SK会社側と労組指導部は昼12時20分ころから会って論議した。結局は立場の差が大きいことを確認して別れたが、「早く問題を解決しなければならない」という気持ちで一致したと言い、解決の糸口をつかむ「半分の成果」を収めた。
 一方、占拠籠城を行った希望連帯労組所属SKブロードバンド非正規職労働組合組合員たちはSK会社側と労組指導部との面談が始まった後、籠城を解いて外に出てきたが、そのまま警察に連行された。

双龍自動車の解雇労働者が高空籠城

 昨年12月13日、双龍(サンヨン)自動車の解雇労働者たちが平沢(ピョンテク)工場70㍍の煙突高空籠城に突入した。解雇労働者たちが2009年玉砕ストライキ以後、双龍車平沢工場に進入したのは初めてだ。労組は「(解雇は正当だと判決した)大法院(最高裁)判決などで双龍車解雇労働者たちがこれ以上希望を求めることが難しい状態で、工場の中に進入するという困難な決定を下した。会社側に継続して交渉を要求したが受け入れられず、これ以上行く所がないという心情で解雇者復職を要求するために下した断崖絶壁の選択だ」と明らかにした。
 昨年11月13日、大法院が双龍車労働者153人が会社を相手に出した解雇無効確認等請求訴訟で原審を破棄して「整理解雇が有効だ」という趣旨で事件をソウル高等法院に差し戻した。去る12月11日は2009年5月21日の玉砕ストライキ以後会社と闘って2000日目になる日でもある。民主労総新委員長に選出されたハンサンギュン委員長とともに、双龍車解雇者は勝利を求めて闘い続ける。
(大森民雄)

●民主労総新執行部の新年メッセージ

民主労総組合員が一緒に見る夢は現実になります
2015年、労働者の団結で世の中を変えましょう!
残忍な資本と朴槿恵独裁政権によって
仲間たちの人生が踏みにじられ、子どもたちが死んでいきました。
私たちはその全過程を一つ残らず見守らなければなりませんでした。

怒りで胸が痛み、血の涙が流れたが、
それよりも私たちが本当に耐えられなかったのは、
私にできることが「何もない」という無力感でした。

ですから私たちは今日再び、民主労総の旗を掲げます。
一人ひとりの息を集めて風をつくり、
一人ひとりの夢を集めて世の中を変えるのです。

労働時間は世界一で、生活の質は100位の国
法の支配を嘲笑う資本と、資本の利益を守るために存在する政権
警察が民主労総を侵奪し、民主労組を殺すための職場閉鎖が可能な国

1年中連鎖死亡事故が続出している野蛮な財閥造船所
資本の野蛮に抗する三歩一拝と五体投地の苦行が必要な国
整理解雇に対抗して煙突と電光掲示板に登って断食をしなければならない国
陰の実力者の国政壟断を史上初の政党解散と公安統治で隠蔽する国

それでも、再び民主労組を打ち立てる現代重工業の同志のストライキ闘争
冷たい歳月を福寿草のように美しく整理解雇と対決したコーロンの同志たち
間接雇用労働者に勝利の希望をいだかせたC&M正規職・非正規職支部

民主労総組合員の同志のみなさん!
政権は有限ですが、民主労組は永遠です。

整理解雇撤廃! 非正規職撤廃! 公共部門民営化阻止!
民主労総組合員が一緒に夢を見れば、現実になります。
80万組合員の熱望を込めて、闘争によって生まれ変わる民主労総を作りましょう。

朴槿恵政権と対決するゼネスト闘争!
2015年、私たちの歩みの一歩一歩が新しい歴史です。

2015年1月1日

民主労総委員長ハンサンギュン、首席副委員長チェジョンジン、事務総長イヨンジュ