●特集 青年労働者を先頭に15春闘爆発へ Ⅰ 「生きるため」の階級的団結で未来を開こう 安倍の中東参戦を許すな 国鉄決戦と国際連帯で闘おう

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月刊『国際労働運動』48頁(0462号03面01)(2015/03/01)


●特集 青年労働者を先頭に15春闘爆発へ Ⅰ
 「生きるため」の階級的団結で未来を開こう
 安倍の中東参戦を許すな 国鉄決戦と国際連帯で闘おう

(写真 「被曝労働絶対反対!」を訴え、動労水戸を先頭に180人の労働者らがデモに立った【2月8日 福島県いわき市】)

 世界大恐慌は「恐慌の中の恐慌」に突入し、全世界の帝国主義・大国は、自らの延命のために、東アジア・ウクライナ・中東を3正面にした侵略戦争・世界戦争に突入した。「1・7パリ週刊紙襲撃事件―1・20日本人人質事件―2・1人質殺害」という一連の事態に対し、日本の労働者階級がいかなる態度と行動を取るのかが全世界から注目されている。中東の労働者階級と連帯し、日本における「戦争と民営化」攻撃と闘おう。動労千葉・動労水戸を先頭に15春闘を闘おう。本特集をそのために活用してほしい。
 第Ⅰ章は、人質事件に対する日本労働者階級の態度について提起したい。第Ⅱ章では、だからこそ2〜3月国鉄決戦こそ今春闘の基軸であることを明らかにする。さらに第Ⅲ章で、とりわけ賃金闘争の決定的意義を訴え、第Ⅳ章で、こうした闘いを通して闘う労働組合と労働者党を建設することこそ労働者階級が生きる道であることを訴えたい。

安倍の中東参戦が人質事件の原因だ

 15春闘から2015年前半へと続く最大の闘いは、日帝・安倍の中東侵略への参戦を中東・欧州・全世界の労働者と連帯して阻止し、安倍「戦後70年談話」粉砕、安倍政権打倒へ総決起することだ。
 1月20日、イスラム武装組織「イスラム国」が日本人男性2人を拘束し、日本政府に72時間以内に2億㌦(約236億円)を支払わなければ2人を殺害すると警告するビデオ声明をインターネット上に公開した。1月24日、2月1日には2人を殺害したとするビデオ声明が、「イスラム国」によって発表された。
 まずもってはっきりさせなければならないのは、〈1・7フランス「シャルリー・エブド」襲撃事件―1・20人質事件―2・1人質殺害〉という一連の事態を引き起こしたのは、米英仏を先頭とする「有志連合」による空爆として強行されている帝国主義の中東侵略戦争であり、そこへの日帝・安倍の参戦だということだ。
 安倍は、2人が「イスラム国」に拘束された当初から救う気などまったくなかった。昨年10月には2人の拘束について把握していたにもかかわらず、安倍は今年1月、侵略大企業46社を引き連れてエジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの中東4カ国を歴訪した。そして1月17日、エジプトで「『イスラム国』がもたらす脅威を少しでも食い止めるため」として「『イスラム国』と闘う周辺各国に」2億㌦の拠出を表明したのだ。それは誰が見ても軍事支援であり、「有志連合」への参加そのものである。
 この安倍の行動を狙いすまして引き起こされたのが1・20人質事件だ。それ以降、安倍政権がやったことは、イスラエル国旗の前で「有志連合」の中軸として「テロと断固戦う」と叫び、国内を「テロ対策」の厳戒態勢・戦時体制にたたき込むことだった。2人の死すらも、日帝の戦争国家化へのテコにしようとしているのだ。官房長官・菅は後藤さん殺害が発表された直後の2月2日、記者会見で「身代金の用意も、交渉の用意もまったくしなかった」と明言した。よくその同じ口で「人命第一」などと言えたものだ! 安倍が2人を殺させたのであり、殺したのだ。
 ここに示されたのは7・1閣議決定で出され、5~6月安保国会で焦点となる安保法制における「国の存立」「存立事態」なるものの正体である。「国の存立」とは人質とされた2人の命や、1月17日で発生から20年を迎えた阪神大震災の被災者の思いや生活、あるいは2011年3・11東日本大震災と福島原発事故によって、いまだに避難を余儀なくされている13万人の福島県民の生活などではなかった。
 1%のブルジョアジーの支配を維持するために、侵略大企業を引き連れて帝国主義の中東支配・勢力圏化をめぐる争闘戦に乗り込み、石油資源や市場・勢力圏を保持する、そのために参戦していくことこそが「国の存立」なのだ。「国の存立」「テロ対策」なるものと労働者民衆の生活、命とは完全に相いれない。戦争への危機感と怒りを一つに束ね、安倍を打倒しよう。

戦争をとめる力は労働者の国際連帯

 安倍を倒し戦争をとめる力は民営化・労組破壊と闘う階級的労働運動と国際連帯の前進にある。
 中東で最も長い労働運動の歴史を持つイラクの労働者階級は、03年イラク戦争以来狙われてきた、米英帝国主義による石油をはじめとする国営企業の民営化や外国資本の導入に新たな労働組合を結成して闘い、民営化を阻止して米軍をたたき出した。さらに2011年の米軍撤退以来激化するイラク内戦の困難な状況下でイラク政府、クルド自治政府、さらに「イスラム国」(IS)による労働運動弾圧に対して団結を守り、闘い抜いてきた。またイラクやトルコの労働組合はアメリカ・イギリスなど交戦国の労働組合が主催する反戦集会などに積極的に参加するなど、国際連帯を重視している。その詳細は、ISの台頭とそれをもたらした米帝による中東支配の破綻などの背景も合わせて本誌前号(2月号)や昨年9月号に論じられており、ぜひ読んでほしい。

イスラム武装勢力の思想・路線と対決し

 またはっきりさせておかなければならないのは、ISなどイスラム武装勢力の思想や行動、路線では戦争をとめられないどころか、むしろ帝国主義の戦争を促進する役割しか果たさないということだ。そもそもアルカイダなどのイスラム武装勢力は、米帝やサウジアラビアの反動王政の中東支配とプロレタリア革命の圧殺のため、資金や武器の供与を受けて育成され、労働者階級に武装して襲いかかり、分断してきたのだ。
 彼らの階級的本質は、労働者自己解放と労働組合の圧殺であり、マルクス主義への敵対である。だから「イスラム国」は今日、イラクやシリアの労働者と労働組合にとっては直接・現実的に完全な武装反革命として立ち現れている。
 このことを中東の労働者は見抜き、労働組合のもとに団結した労働者階級こそが内戦を克服し、労働者が主人公の社会を建設できることを確信して闘い抜いている。
 日本の労働者階級が、動労千葉を先頭とする国鉄闘争を大きな柱に、新自由主義と闘う国際連帯として10年以上積み重ねてきた闘いの上に、イラクを先頭とする中東の労働者階級の闘いに学び、彼ら彼女らとの国際連帯を前進させよう。

国鉄決戦で恐慌・戦争をプロレタリア革命へ

 だからこそ、戦争阻止のすべての展望をかけた闘いが2~3月の国鉄決戦だ。
 安倍は大恐慌の進展と争闘戦の激化のなかで侵略戦争へと突進しているが、労働組合の団結した闘いがあるかぎり、戦争はプロレタリア革命へと直結する。だからこそ80年代の国鉄分割・民営化は強行されたのだ。当時の首相・中曽根は〈国労・総評をつぶし、お座敷をきれいにして立派な新憲法を床の間に安置する〉と国鉄分割・民営化の狙いを公言している。
 国鉄闘争が切り開いている地平と展望、であるがゆえの今年3月ダイ改攻撃に示される凶暴な動労千葉・動労水戸への壊滅攻撃については次章で展開するが、30年にわたる国鉄闘争の意義を確認しておきたい。
 それは第一に分割・民営化が文字通り国家的不当労働行為であったという真実を暴き、国家権力を徹底的に追いつめている。第二に、外注化・非正規職化攻撃を新自由主義の基軸的な労働組合破壊攻撃としてとらえ、労働組合の組織拡大をもってこれを粉砕する展望を切り開いている。第三に、動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同という3労組が呼びかける11月全国労働者総決起集会の17年間の闘いからさらに韓国、アメリカ、ドイツなど多くの国の労働者との国際連帯闘争として発展している。第四に、こうした闘いを通して戦争翼賛勢力として分割・民営化後の1989年に結成された連合の完成を阻み続けている。
 安倍の盟友である右翼ジャーナリスト・櫻井よしこが産経新聞(昨年11月3日付)で「地方各地で反基地、憲法改正反対の運動が展開され、地元の自治労や日教組が前面に立って旗を振るのである」「官公労と決別し、連合を分裂させよ」と主張するのは、自治労や日教組の本部がいくら屈服しようとも現場の労働者は戦争や民営化に対して怒り、決起しているということである。「これでは戦争ができない」という敵の悲鳴なのだ(特集関連資料に抜粋を掲載)。
 安倍政権による「896自治体消滅」の大キャンペーンは、その恫喝で自治労・日教組を徹底的に屈服させ、破壊するということである。国鉄闘争の継続が「連合の分裂」を支配階級みずからが主張するという破綻を強制し、さらに国鉄・公務員決戦へと戦線が拡大したということだ。

(写真 通常国会開会日、多くの労働者、学生、市民が国会前で「戦争安保国会粉砕」「中東侵略戦争をやめろ」「安倍政権を打倒するぞ」とシュプレヒコールをたたきつけた【1月26日】)

戦時下の党派闘争に勝利しよう

 国鉄闘争は労働組合と革命党の壊滅を狙う日帝国家権力中枢との死闘であった。「2・1」以降、安倍やマスコミなどは総力で「日本も標的だ、テロ対策を」「個人の過激化、過激思想を警戒」「改憲の国民投票を参院選後にやる」などと戦争体制構築へと突っ走っている。
 しかし安倍も支配階級も、帝国主義戦争の「血を流す」現実にグラグラになっている。この、支配階級としてどこまでも脆弱な安倍を支える役割を進んで担っているのが日本共産党スターリン主義である。今や彼らは安倍とともに「テロ根絶」「イスラム国の武装解除を」と叫び、「政府を批判するな」と党内外でわめき立てている。
 第1次世界大戦時の「第2インターの崩壊」が今、目の前で起きている。「平和」な時には「戦争反対」と言っていた連中が、自国が戦争を開始した瞬間、戦争賛成の立場に転落していく事態だ。その歴史が繰り返されている。
 しかしレーニンとボルシェビキはこうした現実と真っ向から立ち向かい、ロシアの労働者階級とともにプロレタリア革命によって第1次世界大戦を終結させた。労働者階級は、世界史を資本主義から共産主義への過渡期に突入させたのだ。この人類史的事業を引き継ぎ、スターリン主義の反革命をうち破って、プロレタリア世界革命を完遂するときがきたのである。
 日本の労働者階級はその最先端で、あらゆる困難と試練に勝ち抜き、革命に勝利するための準備を、国鉄決戦を通してなし遂げてきたということだ。