■News & Review 日本 動労千葉が15春闘を最先頭で牽引 「第2の分割・民営化攻撃」と真正面から対決し

月刊『国際労働運動』48頁(0463号02面03)(2015/04/01)


■News & Review 日本
 動労千葉が15春闘を最先頭で牽引
 「第2の分割・民営化攻撃」と真正面から対決し

(写真 銚子地域集会に先立ち、JR銚子駅前で特急廃止・削減反対を訴え【2月26日】)
(写真 館山地域集会には150人の組合員・市民が集まった【3月7日】)

3・14ダイ改攻撃を第一の山場に設定

 15春闘は、日帝・安倍政権の大破綻する「アベノミクス」を取り繕うための「官製春闘」に連合が完全に取り込まれ、文字通り政労使一体となって労働者を翼賛攻撃に組み敷く形で進行している。これに対し、資本と労働者階級は絶対に非和解であり、労働者の賃金や労働条件、権利はストライキをもって闘い取るべきものだという階級的な春闘を、動労千葉が牽引している。
 動労千葉は、春闘の第1の山場を3月14日のJRダイヤ「改正」時に設定し、ローカル線切り捨て問題を焦点に「特急列車削減・廃止反対」を掲げて闘った。13日に「15春闘勝利、ダイ改・地方ローカル線切り捨て絶対反対、外注化粉砕・組織拡大! 動労千葉総決起集会」を開催し、13~15日の本線運転士ストライキに決起した。
 そして、第2の山場を新賃金要求を中心として大手新賃金回答日(3月18~20日)に設定して闘った。特に、JR貨物における賃下げ攻撃粉砕を掲げて闘われた。
 さらに、4月冒頭にも、外注化に伴う出向粉砕、新たな配転攻撃粉砕へ第3波の闘争を構えている。
 また、外注会社であるCTS(千葉鉄道サービス)で、3万円の大幅賃上げを掲げて初めての春闘を闘った。
 この動労千葉の春闘ストライキ決起は、国鉄―JR労働運動を日本労働運動の最先端の決戦として、一段とその位置を押し上げた。そして、動労千葉の組織拡大を先頭に、「動労総連合を全国に」の組織戦を圧倒的に切り開くものである。

文字通りの第2の分割・民営化攻撃

 今、JR職場を襲っている攻撃は、文字通りの意味での「第2の分割・民営化」攻撃の始まりである。国鉄分割・民営化以来最大のJR大再編攻撃なのだ。
 JRをそうした攻撃に突き動かしているのは、「JR崩壊」とも言うべき民営化の破綻であり、大量退職問題である。その攻撃の核心は、際限のない、これまでの次元を超えた全面的な外注化攻撃と、分割・民営化以来の、国鉄的なものを一掃する労組破壊攻撃である。
 「JR崩壊」を最も象徴的に示しているのがJR北海道とJR四国の現実である。一昨年の函館本線貨物列車脱線事故と「レール異常の放置」として衝撃が走ったJR北海道では、歴代社長2人が自殺し、東日本から経営陣を送り込んだものの、もはや鉄道会社としての体をなしていない。昨年10月に行われた会計検査院の監査では、またも、JR北海道、四国を合わせて320カ所のレールが点検されずに放置されていたことが発覚した。それは、1年前の国土交通省による監査(JR北海道で270カ所)よりも多い件数だ。人材も資金も資材もない。これが民営化が生み出した現実だ。北海道では来年には新幹線が開業し、その建設費の支払いが始まる。そうなれば大規模な廃線攻撃が始まる。まさに第2の分割・民営化攻撃なのだ。それは、北海道、四国に限った問題ではない。JR九州でも、JR貨物でも問題は深刻である。

ダイ改を期に始まるJR東の大再編攻撃

 JR東日本でも3・14ダイ改を期に大再編が始まった。それもまた第2の分割・民営化攻撃と言うべき攻撃だ。
 何が起きるのか。それはJR東日本会社の経営トップやJR東労組の幹部の発言などから明らかになる。
 第一に、JR東日本の清野会長と冨田社長のインタビューである。
 清野会長は、冒頭から「(昨年は)人口減少や超高齢化に対して、多くの日本人、そして自治体が改めて注目した年でした。同時に、未来に向かって何とかしなければならない、という国民的議論ができるようになった画期的年だった」と言う。そして、「JR東日本グループの使命」として「究極の安全」と「地域に生きる」ということをうたう。安全問題では、14年2月の京浜東北線川崎駅構内での列車脱線事故から「謙虚に学ぶ」と言う。川崎駅事故はJR東日本に大きな衝撃を与えていることが分かる。なぜなら、それは業務の外注化に次ぐ外注化がもたらした事故であるからだ。だが、JR東日本は、今後もひたすら外注化を進めようとしている。それがもたらす安全の一層の崩壊におびえているのだ。
 「地域に生きる」に関して、これは「896自治体消滅」(日本創成会議)や、安倍政権の地方創生(地方創生担当相の新設)に呼応するものだが、JR東日本は、地方ローカル線の全面的な切り捨てに突き進もうとしている。
 冨田社長は、これについて「東京、新宿、渋谷、横浜、千葉、仙台あるいは品川といった、非常に集客力のある大規模ターミナルで開発を進めていきますが、それだけではなく、地方の中核駅でも進めたい」として、長野、秋田、新潟を挙げる。つまり、それ以外はどんどん切り捨てていくということに他ならない。
 その上で重大なのは、清野会長の次の言葉である。
 「一つ目は不断のイノベーション(革新)です」「イノベーションとは決して新技術の開発に限った話ではありません。仕事の仕組みを変える、異なる分野を組み合わせるなど、新しい発想を引き出すこともイノベーションの一つです。分割民営化を果たした国鉄改革、あるいは農商工連携、いわゆる『6次産業化』もある種のイノベーションと言えるでしょう」
 「6次産業化」とは例えばアグリビジネスを指すが、「国鉄改革」=国鉄分割・民営化もイノベーションだと言っていることがポイントである。つまり、もう一度、分割・民営化のような改革=第2の分割・民営化をやるという宣言なのである。

今後8~9年で4割が退職する大量退職問題

 ここで「大量退職問題」とは何かを見る。これはJR全社に共通の問題であるが、JR東日本の場合はどうか。現在数は、5万9370人(鉄道事業部門では4万3160人)である。これが、この8~9年で2万6000人近くが定年を迎える。4割近くに上る。なぜ、このようなことが起きるのか。
 それは何よりも国鉄分割・民営化攻撃が生み出した深刻な矛盾であり歪みである。国鉄分割・民営化への攻撃が始まる1982年の採用者を最後に国鉄は新規採用を停止した。以後8年後、JRになってから採用を再開(平成採)した。この国鉄時代最後の採用者たちの全部が定年退職を迎えるのだ。これは定年退職者の再雇用も問題だが、技術継承という面でも深刻な問題が発生する。
 だが、JR東日本は、それを逆手にとって国鉄的な労働組合を解体・一掃しようとする組織破壊攻撃に打って出ようとしているのだ。昨年、JR東労組が、京浜東北線や根岸線の基地統廃合問題で「ストライキ騒動」を起こしたのは、JR東労組カクマルすらも一掃しようとするものであることを示している。
 それは何よりも動労千葉・動労総連合に対する組織破壊攻撃となる。絶対に許してはならない。
 そして、直接的には、鉄道事業の丸投げ外注化攻撃となる。際限のない外注化は雇用と安全を全面的に破壊する。「高齢者の雇用の場の確保」が外注化の口実だったが、この間の外注化が、外注会社がプロパー社員を雇って外注業務をやるということに示されるように、外注化こそが高齢者の雇用の確保の場を奪っているのだ。また、本線運転士が身体を壊しても、構内運転に降りることもできない。
 このように「大量退職問題」は、現在のJRの攻撃を見据える上でのキーワードだ。だが、今、JRの経営陣も、他の労働組合も、誰も「大量退職問題」の「た」の字も言わない。それが恐るべき攻撃をもたらし、労働組合にとっては、それを口にした途端、JR資本との非和解の関係にならざるを得ないからだ。
 これに対して、動労千葉は、「大量退職問題」を真正面から迎え撃ち、「外注化粉砕・定年延長を」「組織破壊攻撃を粉砕し、65歳まで働き続けることのできる職場と労働条件をかちとろう」という当たり前の、階級的なスローガンを掲げて闘い抜いている。

さらなる外注化推進で延命を図るJR東労組

 こうした中で、JR東労組カクマルが、動労カクマルが国鉄分割・民営化の先兵になったのに続いて、新たに第2の分割・民営化の先兵となって生き残ろうとしていることが鮮明になっている。
 2月13日に開かれたJR東労組定期中央委員会で、吉川委員長は次のように言った。
 「30年前の国鉄改革は雇用を守ることを大前提に、先達は三本柱〔早期退職、一時帰休、出向〕や広域異動を担った。しかし、人口減少による雇用不安の危機が訪れようとしている。これは会社の生命線、特に地方の雇用問題に関わってくる重大な問題だ」
 「会社はこのような状況の中で、これまで以上にスピード感をもって外注化、業務委託、グループ会社の再編成、場合によってはローカル線の廃止まで踏み込んでくるだろう。だから65歳定年制や、60歳以上のエルダー雇用の在り方について、技術継承を含めて本体で業務が出来る制度の確立などをしっかり求めていく必要がある」
 これは一見、外注化やローカル線廃止に反対し雇用を守るために闘うかのようである。だが、そうではない。「国鉄改革」に「雇用を守ることを大前提に」率先協力した(実際は、動労の高齢者などをどんどん辞めさせ、カクマルの生き残りを図った)ことをあらためて資本にアピールし、なんとかカクマルだけは切り捨てないで欲しいという泣訴に他ならない。
 と同時に、資本が外注化、業務委託、ローカル線の廃止を行うことは認めるということなのだ。
 だが、JR資本の攻撃は、カクマルの存在すら許さないという攻撃である。雇用と労働条件を守るためには、動労千葉・動労総連合のように闘う以外にない。JR東労組の下にいるすべての労働者に、「今こそ動労千葉・動労総連合に入って共に闘おう」と訴える時だ。

特急削減・廃止に対し地域を組織して闘う

 動労千葉は、3・14ダイ改による特急廃止・削減に反対して、当該の地域の怒りの声を組織して闘った。
 今回のダイ改では、東京~館山間の特急「さざなみ」では、君津~館山間の上下8本が全廃され、東京~君津間も上下4本が廃止となる。東京~佐原間の特急「あやめ」は上下4本が全廃である。東京~銚子間の特急「しおさい」は上下2本が廃止となるなど、特急列車が軒並み廃止・削減となる。しかも、これにとどまらず、東京から70~80㌔圏以遠の分離運転や第三セクター化が画策されていると見なければならない。まさにローカル線廃止であり、JRが率先して「地方消滅」の攻撃を担っているのだ。
 これに対して、動労千葉は2月26日に、銚子地域集会を開催し、85人が集まった。組合員と支援の労働者、地元の労組関係者、そして商店街からも一家で駆けつけたり、店の従業員のほとんどが参加するなど、多数の市民が参加した。3月7日には、館山地域集会に150人が集まった。
 日帝・安倍政権による「地方創生」に名を借りた地方切り捨ての攻撃に対する危機感と怒りが、階級的労働組合が軸に座ることを通して一斉に噴き出しているのだ。労働組合は、このように地方のコミュニティの中心を担う位置にあることを示した。
 動労千葉の15春闘は、画期的な闘いとなっている。また、動労水戸も春闘ストを闘い、「被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘」が3月15日に結成された。「動労総連合を全国に」の闘いを猛然と推し進める時だ。
(大沢 康)