■News & Review 韓国 労組破壊攻撃の中で2人の犠牲者 金属労組が卑劣な資本を糾弾し闘う

月刊『国際労働運動』48頁(0466号02面01)(2015/07/01)


■News & Review 韓国
 労組破壊攻撃の中で2人の犠牲者
 金属労組が卑劣な資本を糾弾し闘う

製鉄会社ポスコの分会長らが自殺

(写真 民主労総ハンサンギュン委員長が5月13日、EGテック分会ヤンウグォン分会長を弔問)

 5月10日、製鉄会社ポスコの光陽(クァンヤン)製鉄所の非正規労働者・ヤンウグォン金属労組ポスコ社内下請けEGテック分会長が会社の労働弾圧の中で抗議自殺した。
 次の日の5月11日には金属労組京畿(キョンギ)支部ハイディス支会のペジェヒョン支会長が構造調整攻撃と闘っている中で会社に対して抗議自殺をした。
 さらには5月22日、ポスコ・光陽製鉄所現場で劣悪な労働環境の中で1人の労働者が労働災害で死亡する事故が起こった。
 民主労総ハンサンギュン委員長は5月13日、全羅南道(チョルラナムド)光陽のヤンウグォン烈士、京畿道(キョンギド)利川(イチョン)のペジェヒョン烈士の遺体安置所を訪れて弔問して、同志を失って悲痛にくれる組合員たちを慰労して民主労総が共に闘うと約束した。
 金属労組は5月19日、金属産業使用者協議会との中央交渉を光陽市全南(チョンナム)東部・慶南(キョンナム)西部建設労働組合会議室で開き、金属労組中央交渉委員たちは5次中央交渉を前に東光陽葬礼式場に集まってヤンウグォン烈士を弔問した
 ヤンウグォン烈士が属していた下請け会社EGテックは朴槿恵(パククネ)大統領の弟のパクチマンが会長をしているEGグループの系列会社で、ポスコ・光陽製鉄所で酸化鉄廃棄物の搬出業務を行っている。2006年に設立されたポスコ社内下請け支会はその直後から、会社の執拗な労組弾圧に直面した。しかしヤンウグォン烈士は組合を放棄せずに闘い抜いてきた。会社の弾圧で組合員たちがみんな分会を脱退したが彼は分会の旗を守ってきた。
 会社はヤンウグォン分会長に対する弾圧を死の直前まで止めなかった。会社はヤンウグォン分会長に減俸、3年17日の待機命令、2回の解雇と停職を行った。2011年4月の不当解雇の後で一、二審と大法院まで不当解雇だと判決した。会社は順天(スンチョン)地方法院の不当解雇一審判決以後にヤンウグォン分会長を復職させるどころか、2回目の懲戒解雇をした。2014年2月、高等法院が2回目の懲戒解雇も不当解雇だと判決すると、会社は大法院上告を取り下げた。
 会社はヤンウグォン分会長を、働いていた製鉄所現場に復職させなかった。製鉄所の外の現場事務室に出勤させて机の前で待機させた。一日中ビデオカメラで監視した。会社は5月1日、2回目の停職まで約1年の間、ヤンウグォン分会長に何の仕事もさせなかった。
 ヤンウグォン分会長は会社の弾圧で激しいストレス、睡眠障害、心理不安を受けて病院治療を受けていた。ヤンウグォン分会長は治療中にもソウルのポスコセンター上京闘争、大統領官邸前1人デモ、光陽製鉄所宣伝戦などの闘争を止めなかった。
 ペジェヒョン烈士は、会社を買収しながら無責任な整理解雇を行って食い逃げ行為をする台湾のハイディス資本に対して闘っていた。その中で台湾への遠征闘争にも行き、整理解雇問題を解決しようとハイディスのチョンインス会長と談判したこともある。チョンインス会長はその時も「業務妨害で告訴してやる。希望退職を受け入れなかったら損害賠償を請求するなど民事刑事上の責任を問う」と脅迫したという。
 金属労組は6月2日、労働弾圧及び人権蹂躙等不当労働行為を行ったとポスコ社内下請け会社のEGテックとミンビョングEGテック社長に対する告訴状を雇用労働部に提出した。会社側の持続的な弾圧に抗議する内容の遺書を残して自らの命を絶ったヤンウグォン烈士の死に対する厳正な捜査を労働部に依頼したものだ。金属労組と故ヤンウグォン労働烈士闘争対策委員会は告訴状提出の前に雇用労働部麗水(ヨス)支庁前で記者会見を開き、故ヤンウグォン分会長を死に至らせた背景には労働部の職務遺棄があると労働部を糾弾した。

現代重工業社内下請け労働者を労組に組織

(写真 民主労総と現代重工業労組、現代重工業社内下請け支会などが現代重工業正門前で「元・下請け共同闘争宣言記者会見」を開いた【5月13日】)

 現代(ヒョンデ)重工業正規職労組と社内下請け支会が共同で現代重工業の下請け労組への集団加入運動に立ち上がっている。元・下請け労組は5月14日、共同闘争決意大会を開いて第1次集団加入運動を終えて、6月第2次下請け労組加入運動として拡大継続している。アピールでは以下のように訴えている。
 「下請け労働者も労働組合をやることができます!」
 「集まろう5・14! 正規職労働者が下請け労働者の手を取って! 下請け労働者が全部今すぐ労組加入!」
 「現代重工業の4万下請け労働者が労働組合に集まったたら世の中が変わります!」
 「集まろう、5・14! 正規職労働者が下請け労働者の手を取って私たちの雇用と賃金、私たちが守る!」
 このような状況の中で5月12〜13日に民主労総ハンサンギュン委員長が現場宣伝戦に参加して現代重工業の元・下請け労働者に労組結集を訴えた。13日午前10時に現代重工業正門前で「構造調整中断! 総雇用保障! 2015元・下請け闘争勝利! 現代重工業下請け労組集団加入運動拡大及び元・下請け共同宣言記者会見」を開いた。
 ハンサンギュン民主労総委員長は「正規職労働者が生きる道は下請け労働者とともに闘うことであり、下請け労働者が生きる道は正規職労働者とともに労働組合に団結する道しかないという真理が2015年闘争勝利の鍵であることを忘れずに元・下請け共同闘争の旗を最後まで握りしめること」だと述べて「民主労総は下請け労働者戦略組織化事業を造船業全体に拡大するために可能なすべての力量を集中する」と約束した。
 現代重工業元・下請け労組は毎日朝の出勤時間と夕方退勤時間に現代重工業正門をはじめとする八つの出入り口で、昼食時間の食堂で、蔚山東区市内の食堂と街のあちこちで下請け労働者たちの心を動かすための活動を続けている。
 現代重工業労組、現代重工業社内下請け支会、造船下請け労働者の権利を求める事業団の3主体が集まって下請け労働者たちの労組集団加入運動を公式に宣布して現場の組織化に立ち上がったものだ。長い年月の間踏みにじられ押さえつけられ搾取されてきた労働者たちが、今まさに民主労組の旗を握りしめようとしている。

公務員年金改悪で委員長が労組脱退

 セヌリ党と新政治民主連合の野合の下で5月28日の深夜を過ぎた29日午前1時30分、年金支給額を引き下げるなどの公務員年金改悪法案が国会を通過した。賛成233人、反対した議員はゼロ、棄権13人だった。民主労総は全教組など公務員労働者を先頭に、26日から3日間にわたる国会前での徹夜座り込み闘争を全力で闘い、労働者の老後の生活まで破壊する朴槿恵の攻撃とこれに屈服した野党に怒りをたたきつけた。
 これに先立ち、公務員労組の内部では年金改悪攻撃と絶対反対で闘うのか否かをめぐって大激論が起きていた。公務員労組の事務処長が公務員年金改悪合意案に職権調印したことが発端だ。これに対してイチュンジェ公務員労組委員長は中央執行委で、手続き上の問題性を認めて指導部の辞任に言及した。しかしいくらも経たないうちに突然辞任を覆した。そして公務員年金改悪を組合員総投票にかける案を持ち出した。5月28日の代議員大会で組合員総投票案が否決されたら辞任するという条件だった。代議員大会の結果は否決。投票に参加した396人中244人(61・6%)が反対票を投じた。そして委員長と事務処長の辞任は既成事実化した。
 しかし6月3日、イチュンジェ委員長は突然「辞任」ではなく「脱退」を宣言した。イチュンジェ委員長は同日、組合員に向けて「現職委員長が絶望して脱退します」という一文で始まる手紙を発表して、公務員労組と上級団体である民主労総を脱退するという立場を明らかにした。
 この手紙には公務員労組と民主労総に対する激しい非難が載っている。職権調印に伴う委員長辞任要求についても「侮辱と蔑視だけだった」と憤慨し、特に民主労総に対して「左派政派に執行部をのっとられた」とし、「政策と実力はなく空ストライキと口での闘争ばかり叫ぶ労組は立つ瀬がない」と声を高めた。そして左派政治勢力の労働運動からの追放・一掃を主張し、公務員労組と民主労組からの脱退を宣言した。
 巷ではイチュンジェ前委員長が一部地域を基盤に新たな労組設立を準備しているという話も出ている。公務員労組関係者は「慶南及び全南地域の一部を中心に組織化しているものと承知している。釜山及びソウルの方は小規模にすぎず、事実上地域労組の限界を抜け出られないものと見られる」と説明している。
 公務員労組は5月30日の代議員大会で公務員年金改革案に関連した「組合員総投票」を否決した。事実上労組として公務員年金改革案を拒否したわけだ。当面、チョンボフン首席副委員長が委員長職務を代行し、7月4日の臨時代議員大会で非常執行体制を新たに確立する。この非常執行体制のもとで、今年後半戦から来年へ、朴槿恵政権との闘いを断固継続していく方針だ。

「法外労組」攻撃に屈せず闘う全教組

(写真 全国教職員労働組合は5月30日、ソウル駅広場で「2015全国教師大会」を開いた)

 5月28日、憲法裁判所は政府が全教組を「法外労組」と通報した根拠である教員労組法2条に対する違憲判断で裁判官は8対1で合憲判決を下した。5月28日は全教組結成26年目にあたる日だ。
 大法院は6月2日に「全教組の法外労組効力停止仮処分申請を受け入れたソウル高等法院の判決が不当だ」とする雇用労働部の再抗告に対して原審破棄差し戻しをした。全教組を「法外労組」状態に戻したのだ。
 元々の裁判は全教組が雇用労働部を相手にした「法外労組通告無効」裁判一審敗訴に不服としてソウル高等法院に控訴をして同時に教員労組法2条違憲法律審判提訴申請も共に出したものである。
 控訴審裁判部はこの申請を受けて審理をいったん中断していた。今後裁判が再開されることになるが、憲法裁判所の合憲決定は全教組に不利に作用する。
 このような状況の中で全教組組合員はけっして暗く沈んだ顔をしてはいない。
 5月30日には4000人が結集して「全教組創立26周年法外労組化阻止! 公務員年金改悪糾弾! 朴槿恵政権の教育破壊阻止! 2015全国教師大会」を開催した。決議文では「労働組合の構成員は自主的に決めるのだ。労働組合の生命は団結と連帯と自主性だ。憲法裁判所の決定は憲法的価値と時代精神に反する決定であり、歴史の歯車を逆に回す暴挙だ」と弾劾し、「私たちは政権の弾圧にも、いささかも動揺することなく、毅然として堂々と、教育と社会を変える実践と闘争をより一層力強く進めていく」「私たちは権力の不当な弾圧に立ち向かい、全教組を守り、労働基本権をかちとるために、すべての労働・市民・社会団体と連帯して最後まで闘い、教育を変え、世の中を変える正しい教育のために終始一貫邁進していく」と力強い闘争宣言を発した。
 全教組は6月1日、記者会見を開き「教員労組法改正闘争に立ち上がる」ことを表明した。
(大森民雄)