●特集 ゼネスト情勢を切り開く国鉄決戦 Ⅳ 第2の分割・民営化粉砕へ 動労総連合を今こそ全国に ストを闘う拠点建設を――動労総連合を全国につくろう

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月刊『国際労働運動』48頁(0466号03面04)(2015/07/01)


●特集 ゼネスト情勢を切り開く国鉄決戦 Ⅳ
 第2の分割・民営化粉砕へ 動労総連合を今こそ全国に
 ストを闘う拠点建設を――動労総連合を全国につくろう

(1)歴史上4度目の労働運動解体攻撃

 安倍政権は、戦争法案や改憲攻撃の裏で労働組合の解体と再編を進めている。動労総連合建設の闘いも、これと対決するものとして推し進めなければならない。

戦争と労働組合

 日本の労働組合の歴史上、労働組合運動が再編・解体された歴史は3回あった。
 一度目は1940年、労働組合はすべて解散を命じられ産業報国会になり、侵略戦争に協力した。
 二度目は、1950年の朝鮮戦争の時、敗戦後に雨後のたけのこのように闘いを開始した労働組合がGHQの介入で総評に再編さた。総評はその後、現場の怒りの声で闘う力を取り戻すが、その時はGHQによって朝鮮戦争に賛成する労働組合として、産別会議をつぶしてつくられた。
 三度目は、1989年に総評が解散され連合がつくられた時だ。国鉄分割・民営化によって総評の中心部隊だった国労が破壊され総評は自ら解散した。中曽根は「国労をつぶせば総評、社会党を解散に追い込める。そのことを明確に意識してやった」「行革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と、その狙いを語っている。
 そして四度目が今日だ。安倍は連合すら再編して改憲・戦争に完全に賛成する労働組合につくり変えようとしている。憲法9条改悪賛成は、世論調査の二十数%しかいない。だから安倍は、労働組合が先頭に立って改憲の旗を振る以外に9条改憲はできないと考えている。安倍にしてみれば改憲容認の連合ですら中途半端だ。これをもう一回再編してかつての産業報国会のようにしようとしている。
 安倍が「戦後レジームからの脱却」と言う時、戦後、アメリカが「民主化」のために労働組合を育成したことも含まれる。安倍にとっては、労働組合は解体の対象なのだ。
 安倍政権の政策推進の中心に葛西・JR東海名誉会長と櫻井よしこが座り、美しい日本の憲法をつくる国民の会の代表発起人にも葛西と櫻井が入っている。その櫻井が産経新聞で「連合を分裂させよ」と主張していることは第Ⅱ章で触れた。〈連合を分裂させるには三つの理念が必要。愛国心と改憲、原発推進〉〈これを担うのは日本最大の労働組合UAゼンセン。UAゼンセンよ、連合を分裂させよ〉
 これは安倍政権の労働組合政策そのものだ。
 UAゼンセンは元は繊維関係の産業別労働組合に過ぎない。しかし、それが政府の手によって日本最大の労働組合に育成された。流通・情報・化学すべてを飲み込み、企業と話をつけてユニオンショップ制度を結んで従業員をそっくり労働組合に加入させてしまう形で連合最大の労働組合になった。しかも、非正規労働者と女性を組織している。派遣切りなどが社会問題化する中で、非正規労働者の怒りが爆発するのを抑える役割を果たしているのだ。
 この労働組合は、連合本部に対して〈集団的自衛権を認めるべきだ。主権国家である以上、徴兵制をとらないと言うことは自ら戦わないことを表明することになり不適当だから削除しろ〉と要求している。つまり、徴兵制を認める労働組合が水面下で育成され、それと一体で集団的自衛権・改憲が進んでいる。
 このまま行けば、連合は、今の民主党路線から、完全に自民党路線に行くだろう。危機に立つ連合が、再び産業報国会となる。これは重大な情勢である。
 だが、戦争への怒りと新自由主義による社会崩壊への怒りの二つが結びついた時に、日本の労働者はもう一度力を取り戻す。6・7集会は、その突破口を開いた。

(2)階級的労働運動をつくり出そう

 動労総連合をつくるということは、全国にストライキを打つことのできる拠点労組をつくり出すということである。どのようにか。動労千葉、動労水戸のようにである。では、動労千葉とはどのような組合か。

動労千葉の分離・独立へ

 「70年闘争は、青年労働者と学生が結合し牽引した巨大な階級的実力闘争であり、革共同自身が切り開いた闘いであった。この階級的な力関係によって、唯一国鉄でマル生(生産性向上運動)攻撃が粉砕されたことは、マル生攻撃による戦闘的労働運動の壊滅、階級的な制圧をもくろんでいた日帝・ブルジョアジーに巨大な打撃を与えた。......そして、この70年闘争の鉄火のなかから生まれてきたのが動労千葉だった。動労千葉は、70年闘争において開花した反戦派労働運動のあらゆる地平・教訓を一身に吸収し、国鉄労働運動の根幹において、反合・運転保安闘争路線を生みだしていった。まさに戦後革命期以降の日本労働運動の限界を突き破る形で、国鉄労働運動のなかに革共同の労働運動が拠点として歴史的に登場したのである」(革共同第7回全国大会第2報告)
 そして、動労千葉は動労カクマルとの壮絶な闘いを通して、自己を確立していく。
 「ここで決定的なことは、中野洋同志を指導部とする動労千葉の細胞が、労働組合の路線をめぐる闘争として、カクマル松崎の攻撃と真正面から対決し、あらゆる組合員と真正面から討論し、そのなかで船橋闘争を闘いぬき、反合・運転保安闘争路線を生みだし、民同から地本権力を奪い取って、ジェット燃料貨車輸送阻止闘争まで突き進んでいったということである」(同)
 動労千葉は、「三里塚闘争と一線を画す」ことを決議した動労本部の統制処分攻撃をはね返し、1979年3月30日、動労千葉地本から国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)として丸ごと分離・独立をかちとったのだ。
 「カクマルのすさまじい絶滅攻撃と重大事故(72年船橋事故)という一見絶体絶命とも言える巨大な危機を前にして、現場組合員の階級性に依拠して、これと真っ向から激突して逆に画期的な前進と拠点化をかちとり、一貫して主流派としての矜持を守り抜いて分離・独立をかちとったのが動労千葉なのである。これこそ革共同の労働運動であり、革共同の闘いの最大の精華であった」(同)

分割・民営化反対闘争

 そして、動労千葉は国鉄分割・民営化攻撃に対する大決戦を挑む。国鉄分割・民営化は新自由主義攻撃の走りであり、国労・総評・社会党解体攻撃であったが、同時に「70年闘争の鉄火のなかから生まれた」動労千葉を、すなわち革共同の労働運動を解体・一掃することに狙いがあった。
 動労カクマルは、決定的な反革命化を深め分割・民営化の先兵と成り、国労・総評はこの攻撃と一戦も交えることができなかったが、動労千葉は85~86年の2波の巨大なストライキを打ち抜いて団結を維持した。すなわち、国鉄分割・民営化攻撃に唯一負けることなく、国鉄分割・民営化反対闘争を継続してJR体制に乗り込んだのだ。1047名解雇撤回闘争は、90年3月の清算事業団解雇を前にした動労千葉のストライキによって生み出された闘いである。
 動労千葉は、2010年の4・9反革命(国労本部など4者4団体の政治和解)にもかかわらず、それをのりこえて国鉄闘争全国運動を立ち上げ、多くの心ある労組活動家や人士の協力の下で今日まで闘いを継続している。
 この過程で、〝党派〟として勝ち抜いたのは、唯一革共同だけだったということをあらためて確認したい。
 国鉄分割・民営化反対闘争を30年間闘い抜き、勝ち抜いてきたことの意義は極めて大きい。だから今こそ「動労総連合を全国に」なのだ。

階級的労働運動を

 今、北海道から九州まで、動労総連合をつくろうという論議と実践が真剣に行われている。すでに、動労西日本で先行しているが、国労共闘として闘ってきた国労組合員が、4・9反革命で完全に変質・堕落した国労と決別し、動労総連合の組合員として闘う決断をしている。
 もはや、国労の中で、その最左派として闘おうにも、ストライキはおろか外注化反対の声すら圧殺する国労の下では、体制内の「戦闘的労働運動」としてしか存在し得ない。われわれが目指すものは、そんなものではない。全国で続発する重大事故に対して「闘いなくして安全なし」と反合・運転保安闘争に立ち、いつでもストを打てる労働組合をつくるのだ。とりわけ、矛盾の集中点である東京でこそ求められている。
 しかも、正規・非正規を問わず、JR総連の下にいる青年労働者たちが、そうした組合の旗が立つことを待ち望んでいる。外注化攻撃と闘う動労千葉、被曝労働拒否を闘う動労水戸に、この間、平成採の青年労働者が続々と結集していることからも明らかだ。
 しかもこの青年たちは、今の青年たちを率いる力量と誠実さに満ちた決定的なリーダーだ。こうした青年の前衛を獲得し、ともに成長していることの中に、革命の現実性がある。
 動労総連合と合同一般労組全国協議会を軸に、階級的労働組合の拠点を全国に打ち立て、ゼネストを実現する革命党と指導者軍団の強靱な建設をかちとろう。

(3)常磐線全線開通攻撃に反撃しよう

 ここで、特に「被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘」を拡大し、JR常磐線の全線開通攻撃と闘うことを訴えたい。
 安倍政権は3月10日、東日本大震災の復興推進会議を開き、JR常磐線を全線開通させる方針を決め、具体的な復旧の見通しを明らかにした。(左図参照)帰還困難区域を含む富岡~浪江間は、除染や安全確保策の完了後に復旧させるというが、特に大野~双葉間は、福島第一原発からわずか1㌔ほどのところを走るのだ。労働者を被曝させ、福島県民に「帰還」を強制する攻撃を許してはならない。


 常磐線の復旧作業を担うのは保線の下請け会社だ。そこには国労からの出向者が数多く働いている。国労は「会社に手当を出させたことが成果だ」などと主張しているが、とんでもない。
 被曝労働拒否闘争は、被曝という殺人的攻撃を許さず、福島と連帯し、労働者と乗客の安全をかけた運転保安の闘いである。それ自身が労働運動を再生させる闘いである。また、福島第一原発事故の収束と廃炉に向けた作業に命をかけて従事する原発労働者と固く連帯し、原発労働者の労働組合を打ち立てていく闘いと一体である。
 「被曝労働拒否のストライキは、新自由主義の極限的な攻撃としての被曝労働に対して、労働者自身が労働を取り戻し、共同性を取り戻すものとして闘いとられた」
 「人間労働は本来、『人間と自然とのあいだの一過程』であり、『この過程で人間は自分と自然との物質代謝を自分自身の行為によって媒介し、規制し、制御する』(マルクス『資本論』)。協働によって『自分自身に眠っている潜在力を発現』させて社会的生産を行い、人間の共同性を形成していくものである。だが資本主義社会では、資本家が生産手段を独占して労働者を搾取し、労働を金もうけの道具にしている。とりわけ、新自由主義は徹底的に労働者を分断し、人間の協働と社会の共同性を破壊して、資本の利潤を極限化する。被曝労働という、人間労働が根本から破壊された現実と格闘する中で、人間解放の階級的労働運動のマルクス主義的真理をつかんだのだ」(『前進』春季特別号論文)
 「労働組合の階級的団結、人間が人間として生きるための労働を資本家から奪い返し、新自由主義を打倒する階級的共同性を打ち立てることこそがストライキの真の意味である。だからこそ、労働者階級の団結した闘いが、新自由主義への怒りをひとつにすることができる。これこそ人間解放の真理としてのマルクス主義の神髄であり、ゼネスト論の核心である」(同)

(4) 11月へ全国各地で国鉄集会を

 安保国会決戦を闘い抜き、戦争法案を葬り去り、「許すな改憲!大行動」が呼びかける1000万人署名運動を推進し、11月労働者集会へ闘い抜こう。国鉄闘争全国運動は、「秋に向けて、昨年に引き続き国鉄闘争全国運動の地域集会を全国各地で呼びかけます。今年の地域集会の焦点は、労働運動の新たな再編・解体攻撃、新自由主義政策の破綻が生み出す社会崩壊情勢と対決し、全国各地から闘う労働運動の復権をめざすことです。昨年の35カ所を超える地域での開催をめざします」と訴えている。全国各地で網の目のように国鉄地域集会を開催し、11月労働者集会へ攻め上ろう。
 その過程で、動労総連合の全国的建設を推し進めよう。それは、階級的労働運動路線で、JRとJR関連労働者を獲得する闘いだ。それに責任を持つのは国鉄の党と地区党である。労働者同志がその指導部になろう。
 新自由主義の全面破局は、「アベノミクス」の総破綻、国家財政の破綻、株価と国債の暴落を引き起こす。日本帝国主義は、その危機に脅え、崩壊の淵にある。
 「党と労働組合の一体的建設、それはすなわち反帝国主義・反スターリン主義世界革命の党と労働組合の建設である。......職場生産点で苦闘する真っただ中に労働組合をつくり、階級的労働運動で階級全体を揺るがすような力になろう。そしてすべての労働者が『革命だ!』と叫ぶ情勢を一日も早くかちとろう」(革共同第7回全国大会第1報告)。その日は遠くない。

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動労総連合結成29年の歩み 国鉄分割・民営化反対を貫く

 動労千葉は、分離・独立後も、動労を二分し動労の戦闘的伝統を継承・発展させたいと考えていた。分割・民営化攻撃の嵐の中で、小なりといえどもその努力は実を結んだ。86年11月17日、動労高崎地本籠原支部の勇気ある仲間の決起によって国鉄高崎動力車連帯労組(動労連帯高崎)が結成され、続いて19日には、動労水戸地本内3支部の仲間38人の決起によって国鉄水戸動力車労働組合(動労水戸)が結成された。動労千葉は、この2組合とともに11月30日に動労総連合を結成した。翌87年6月7日には国鉄西日本動力車労組(動労西日本)が結成され、動労総連合に合流した。各単組は、JR体制下で国鉄分割・民営化反対を貫いて闘い抜いてきた。今年2月22日に結成された国鉄神奈川動力車労働組合(動労神奈川)は、28年ぶり、5番目の単組である。4月29日の動労総連合定期中央委員会で正式に承認された。

(写真 動労総連合結成大会【1986年11月30日 東京・日仏会館】)

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動労総連合結成宣言 1986年11月30日

 われわれは、本日、国鉄動力車労働組合総連合(動労総連合)を結成した。
 これは、総屈服、総崩壊状況に陥った国鉄労働運動の戦闘的再生へ向けた第一歩である。われわれは、国鉄労働運動の輝かしい歴史を継承し、国鉄分割・民営化絶対反対の旗を守り、一人の首切りも許さない闘いの最先頭を担う決意である。
 闘いは、「八法案」成立をもって、いよいよ最終的決戦段階に突入した。旬日のうちに、全国の職場・生産点で、首切りのための差別・選別攻撃との具体的対決が開始される。
 国鉄労働者は今日まで、この数年間で労働者数を半減するという無謀な大要員合理化によって劣悪化した労働条件のもとで、日々、乗客の生命を守り、列車の安全を確保する使命を全うしつつ、日帝・中曽根体制からの不当極まりない攻撃にさらされ、この全く非人間的な攻撃の中で多くの国鉄労働者が殺されてきたのだ。
 「国鉄改革による自殺者はいない」とうそぶく中曽根・杉浦・松崎を、どうして許せようか。
 われわれは、日帝・中曽根体制の先兵として、補完物として、多くの国鉄労働者を死においこんだ国鉄労働運動の現実を痛苦の念をもって見据えなければならない。率先して資本にひざまづき、中曽根の下僕となりさがった動労・真国労革マルを追放・一掃せよ。
 国鉄分割・民営化と十万人首切りを積極的に推進し、日の丸、君が代、自衛隊に賛成する「国鉄改革協―鉄道労連―進める会」を断固粉砕せよ。
 闘いを貫徹する思想を持たぬが故に、決戦を先送りし、一戦も交えぬままズルズルと後退し、国労二十万組織を崩壊させ、動労革マルに追随する社共・総評・国労既成指導部を断固かつ徹底的に糾弾し、打倒し、のりこえよ。
 動労千葉の二波にわたるストライキから、「六一・十一ダイ改」阻止の強力順法に至る闘いを見よ。
 全国の「人活センター」をはじめとするハンスト・デモ、座り込み等、国鉄労働者の徹底抗戦の闘いを見よ。
 国労修善寺大会に至る労使共同宣言粉砕の闘いを見よ。国鉄労働者は怒りに燃え、決起しているのだ。
 われわれは、今こそ、これを真に闘い勝利する力として組織しなければならない。アメリカ帝国主義と、朝鮮半島やフィリピンをはじめとするアジアでの帝国主義支配体制の危機の深化に追い詰められた日帝・中曽根体制が、その生き残りをかけて凄まじい決意で強行する攻撃の本質を見据え、これにたじろがず、怒りに燃えて団結し、決起する以外に全ての労働者が生きる道はないのだ。
 本日、われわれは、闘えば必ず勝利することを確信して決起した。全ての国鉄労働者は動労総連合の闘いに結集せよ。
 どんなに苦しくても労働運動の原点を守り、勇気をもって共に闘おうではないか。
 右 宣言する。

 一九八六年十一月三十日
 国鉄動力車労働組合総連合結成大会

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民営化と闘う日韓鉄道労働者共同声明

(写真 全国鉄道労働組合ソウル地方本部のパクチョンソン本部長のメッセージをパクソンス首席副本部長【写真中央】が読み上げた。ともに参加したキムスンシク連帯事業局長【右】、イムジェチョル清涼里機関車支部長【左】)


 私たち日韓の鉄道労働者は、公共部門の民営化・規制緩和・新自由主義的労働政策を粉砕するために共同声明を発し、資本の攻撃のもとで苦しむ全世界の労働者との連帯を求めて闘いに立ち上がることを決意した。
 新自由主義政策は、自らが生み出す矛盾をコントロールすることができなくなり崩れ落ちようとしている。いよいよ労働者の団結した力が時代の最前線に登場しなければいけないときが来ている。
 新自由主義が生み出したのは、生きる権利を奪われ、未来を奪われた膨大な非正規職労働者であり、格差と貧困の拡大、社会の崩壊であった。新自由主義は、公共交通・社会保険制度・教育・医療など、人が生きていくすべを破壊して暴れまわる力を生み出した。冷たいカネ勘定だけがすべてを支配するようになったのだ。それは韓国ではセウォル号惨事となって304人の高校生をはじめとする多くの生命を奪い、日本では尼崎鉄道事故となって107人の生命を奪った。

 金融自由化は世界を駆けめぐる投機マネーの氾濫を生み出し、バブルとその破綻が繰り返された。そのたびに雇用や賃金が破壊され、膨大な失業者が生み出された。しかも銀行や独占企業を救うために莫大な国家財政が注ぎ込まれ、財政破綻を生み出した。それを理由にさらに社会丸ごとの民営化や社会保障制度の解体が加速され貧困、民族抑圧や戦争を生み出した。

 新自由主義政策は、日本では1987年に強行された国鉄分割・民営化攻撃を突破口として社会全体をのみ込んで吹き荒れるようになり、韓国でも1990年代の後半から本格化し、社会の各部門はもちろん韓国の鉄道にも民営化と構造調整の嵐が吹きつけた。
 いま、「もうたくさんだ!」という張り裂けるような怒りの声が世界中に響いている。
 韓国労働運動は、民主労総結成から20年、多くの困難を乗り越えて力強く前進し、いま労働市場構造改悪や民営化攻撃に対してパククネ退陣を要求するゼネスト闘争の渦中にある。この情勢をきりひらいたのは2013年12月に行われた全国鉄道労組の23日間の民営化反対ストライキであった。「単一労働組合が起こしたストライキによって、民営化全般に反対する世論が形成されたという点で驚くべき事件だった」と報道されたとおり、その闘いは情勢を一変させる転機となったのだ。
 パククネ政権はこの闘いを恐れ、指導部の検挙、130人に及ぶ不当解雇、8600人の職位解除、数百億ウォンの損害賠償や組合財産の仮差押などの大弾圧を加えた。しかし私たちは一糸乱れぬ団結を守り抜いて「2次正常化」攻撃と鉄道民営化のための子会社転換、事業部制の導入を阻止するために力強い闘争を準備している。もしパククネ政権が新自由主義的攻撃を続けて押しつけて来るならば鉄道労働者たちは2013年を超える強力なゼネストで反撃するだろう。

 韓国民主労総は4・24の第一次ゼネストに続き、6月末から7月初めに第二次ゼネストを準備している。「反労働・反民主、腐敗した政権を終わらせる労働者のゼネスト――汎国民的大闘争、終わらせようパククネ! 行こうゼネスト!」がそのスローガンだ。

 日本における国鉄分割・民営化攻撃は戦後最大の労働運動解体攻撃として遂行された。20万人の国鉄労働者が職場を追われ、一旦解雇・選別新規採用方式の民営化を合法化した国鉄改革法を背景とした激しい労組破壊攻撃の中で、24万人を組織していた国労は4万人までに切り崩された。その2年後には総評も解散に追い込まれ、その後1500万人もの労働者が非正規職に突き落とされ、憲法改悪や集団的自衛権行使が現実化するその後の道筋が敷かれたのだ。
 しかし、動労千葉は二波のストライキをもって国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かい、団結を守ってJRにのり込んだ。その後も30年に及ぶ解雇撤回闘争や業務外注化阻止闘争を貫いてJR体制を揺り動かしている。

 日本では極限的な業務外注化と労組破壊攻撃を軸とした第2の分割・民営化攻撃が開始されている。
 一方、安倍政権が改憲と戦争に突き進む事態の中、沖縄では積りに積もった怒りが燃え上がりゼネスト情勢が一気に煮詰まっている。大阪では「国鉄方式」の自治体丸ごと民営化を狙った「大阪都構想」が住民投票で否決された。

 私たちには、同じひとつの攻撃にさらされ、同じひとつの希望に向かって前進する労働者の力強い闘いの声が世界中に響きわたっているのが聞こえる。私たちは歴史の分岐点に生きている。最底辺へと落ち込んでゆく泥沼の競争の中に放り込まれ、侮辱されてきた労働者が誇りと団結をとり戻して立ち上がるときがやってきた。
 私たちは、闘いの道を歩み続けてきた鉄道労働者としての誇りをかけて、新自由主義という怪物を打ち倒す国境や産別をこえた労働者の固い団結をつくりあげたいと願い、自らその先頭に立つことを決意して、この呼びかけを発することを決断した。労働者の団結した闘いこそが歴史をつくり、社会を変革する力だ。全世界の労働者の力をひとつにつなげよう。ともに前進しよう。

 2015年6月7日
  全国鉄道労働組合ソウル地方本部
  国鉄千葉動力車労働組合