原発の新増設を主張 東電などが自民党内工作

週刊『三里塚』02頁(0889号02面05)(2014/02/10)


 原発の新増設を主張
 東電などが自民党内工作

(写真 東電などで作る電気事業連合会が原発の新増設にむけた政界工作を行っていることを報じる朝日新聞【1月31日】)

 東京電力などで作る電気事業連合会(電事連)が、自民党議員を対象に、原発の新設・増設を促す文書を配布していたことが判明した。(1月31日付 朝日新聞)
 安倍政権は昨年12月にエネルギー基本計画の原案を決め、今年1月に閣議決定する予定だった。ところが経済産業省の主導で「原発は重要なベース電源」との内容になっていることに対して、自民党の一部から「衆院選公約と違う」との異論が出て、当初日程を撤回せざるをえなくなった。
 そこで自民党執行部は1月6日から20日まで、エネルギー需給に関する基本方針など4点を尋ねる議員アンケートを実施した。今回電事連が配った文書はこのアンケートに対する「模範回答」ともいうべき文書。
 特に問題なのは、「原発の新設・増設・建て替え」を積極的に主張している点だ。さすがの安倍政権も、労働者人民の反発を恐れて現時点でそこまでは主張することはできない。言っているのは「再稼働」までだ。
 「原発については段階的縮小」などの立場をとる「中間派」議員を主な工作の対象に、安倍政権のエネルギー計画の中に「原発は重要なベース電源」という内容を強引に盛り込もうと、旧態依然たる”原子力ムラ”の手法で、ムラの利益の実現を狙う抱き込み工作を行なっているのだ。これには得意の利益誘導がセットになっていることは火を見るよりも明らかだ。
 自民党全議員へのアンケート項目は、①エネルギーの需給に関する基本的な方針②エネルギーの需給に関し、長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策③エネルギーの研究開発のための技術的施策などとなっている。
 電事連はこれらに関する「模範回答」を用意し①に対する回答として「原発を一定程度の規模を確保すること。そのための新増設。リプレース(建て替え)の必要性を明確化する」などと記載した。②に対しては「核燃料サイクルを着実に推進する」とした上で、原発事故が起きた場合の電力会社の負担を軽くするため「損害賠償制度における国と民間の役割分担など……を進める」として、これも現段階での安倍政権の政策を、電力会社寄りに進めた身勝手な内容となっている。
 汚染水問題を含め事故はまったく収束せず、福島第1原発の敷地境界の被曝線量が基準の8倍に達することが新たに判明するなど、泥沼の一途だ。そうした現実を前に再稼働だけでは「不十分だ」として、原発の新増設を主張するとは何という態度か。3・11郡山集会の成功へ、全原発廃炉の闘いを強めよう。
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