TPP妥結許すな 甘利担当相 農産品の切り捨て示唆

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週刊『三里塚』02頁(0890号02面03)(2014/02/24)


 TPP妥結許すな
 甘利担当相 農産品の切り捨て示唆

(写真 反TPPの都心デモを行う全国農協青年組織協議会の農民【2月13日 千代田区】)

 TPP交渉の閣僚会合が2月22日シンガポールで開催されることを前に、日米の争闘戦的なかけひきが活発化してきた。2月15日、甘利明TPP担当相が、急きょアメリカを訪問し、フロマン米通商代表部代表と緊急会談を行った。アメリカの包囲網に危機感を募らせた安倍政権が、甘利大臣を緊急訪米させ、アメリカ側の若干の譲歩を口実に重要5品目での大幅譲歩を画策した可能性が高い。
 2月17日からはシンガポールで主席交渉間会合が始まる一方、18日から東京で日米の事務者協議が始まった。アメリカから通商代表部のカトラー次席代表代行が出席し、日本の大江博主席交渉官代理と交渉に入った。
 この実務者協議について甘利TPP担当相は17日、「お互いにカードを切っていくことになるだろう。持っている数字も見せ合うことになる」と大幅譲歩を示唆、18日の記者会見でも「重要5品目について、一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」と〝聖域〟での譲歩について、地ならしをする発言を露骨にし始めた。
 一方、アメリカ側は依然として譲歩の姿勢を示しておらず、日本の側により一層の妥協を要求している可能性が高い。
 昨年12月以来の日米協議の停滞に業を煮やしたアメリカは、新興諸国との個別協議を水面下で進めており、関税撤廃については基本的に決着していると言われる。こうして日本の外堀を埋めておいて、「TPP交渉停滞の原因は、関税率に関する日本のかたくなな態度にある」という声を組織して、一気に関税率撤廃にむけた要求を貫こうという構えだ。
 2月22日からのシンガポール交渉が最大の山場となったことはまちがいない。アメリカはあらゆる外交手段、手練手管を動員して、妥結強行に向かおうとしている。今こそTPP反対の声を強めよう。
 全国農協青年組織協議会は2月13日、東京日比谷公会堂で全国大会を開いた。そこで「『脱退も辞さない』不退転の覚悟でTPP交渉に臨むこと」を要求する特別決議を採択し、1千人が国会まで「TPP参加断固反対」を掲げたデモ行進を貫徹した。
 各地の農民からはTPP妥結への危機感が語られている。「交渉のカードを切るという甘利担当相の発言は、生産者の努力に冷や水をあびせるようなもの」(石川県の農民)、「安全・安心に応えようと細心の注意を払い、厳しい基準に対応し、生乳を生産してきたが、TPPで日本の原料生産地表示制度や食の安全性が後退する」と不安視する南房総市の酪農家、「農地集積を進め企業参入を促して、小規模農家から農地を取り上げるような施策で優良農地が守られるのか」(愛知県の農家)など。
 また「STOP TPP官邸前アクション」、「TPPに反対する人びとの運動」など、市民団体も活動を強化している。全国農民会議、三里塚反対同盟を先頭に労農学は、TPP反対の闘いに合流しよう。
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