「市東さんの農地絶対守る」 ――反対同盟事務局・萩原富夫さんに聞く 6・25控訴審弁論で第2次提出行動へ 3万人署名に全力で取り組もう

週刊『三里塚』02頁(0896号01面01)(2014/05/26)


「市東さんの農地絶対守る」
 ――反対同盟事務局・萩原富夫さんに聞く
 6・25控訴審弁論で第2次提出行動へ
 3万人署名に全力で取り組もう

(写真 3・23全国集会の後、銀座にむけた都心デモの先頭に立つ萩原富夫さん【右=東京・港区芝】)

 安倍政権の国土交通省が、首都圏の空港機能強化策として、「羽田に5本目、成田に3本目の滑走路を新設する」等、空港容量拡大策を本格的に検討していることが明らかになった。日帝・安倍政権は、帝国主義間・大国間の争闘戦で生き残りを図るため、集団的自衛権の解禁を始めとする戦争と改憲攻撃の一環として、アジア勢力圏化のための戦略的国際空港の拡充に向けて動き出してきた。これは、三里塚闘争解体攻撃そのものだ。この攻撃との最先端攻防が市東孝雄さんの農地を守る農地裁判控訴審闘争であり、6・25弁論闘争の爆発・3万人署名の達成だ。今年から反対同盟事務局に加わった萩原富夫さんに、三里塚5〜6月決戦の課題を伺った。

――富夫さんは「とめよう戦争への道 百万人署名運動ニュース」の3月号に、進さん亡きあとの苦闘を率直に記した文章を寄稿してますね。
 萩原 3月号だったかな。文章を書いた。その中で、おやじ(進さん)が突然いなくなった時のショックを正直に書いた。萩原家にとってはもちろん、反対同盟にとってもなくてはならないおやじが亡くなった直後は、自分の存在、役割について、冷静に考えることができなかった。
 しかし、闘いを終わらせるわけにはいかない、一体どうすりゃいいんだ、という感じだよね。
 そこでまず、家族と相談した。俺の考えを押し付けることは避けた。ゼロから話し合いをした。「今後どうするか。大変な試練に直面している。おやじの闘いを引き継ぐかどうかが問われている。中途半端な態度では済まない。突っ走ることになる。それでもいいか」と言って気持ちを聞いた。すると「この東峰の土地を守っていきたい」という答えだった。このことが腹を固めるのに大きかった。
――でも、実際に反対同盟の運営や支援組織との連絡、方針の形成、簡単ではないですよね。
 萩原 何せ、初めてのことばかりだからね。だけど1月の旗開き、周辺一斉行動へと闘いが動き出すにつれて、気持ちも高まっていった。実際に署名運動が動き出したのが大きかった。全国から続々と寄せられてきた。3月26日までに8019筆という想像以上の数の署名をお願いすることができた。本当に勇気づけられたし、感謝してもし足りない。
――今年に入ってから、事務局会議を定例化し、みんなで方針を相談し合う、というスタイルになっています。
 萩原 方針を自ら作って、同盟と三里塚闘争全体をぐいぐい引っ張って行ったおやじのようにはできない。市東さんは攻撃の矢面に立っているわけだから全力で支えつつ、市東さんと相談し、計4人の事務局で「集団指導」とでもいうのか、そういうスタイルになるのは、仕方がないという面と、同盟員、現地支援みんなの力を発揮してもらえる、という積極的な面があって、まだまだ足りない所はあるけど、うまくいってる方じゃないかな。
――3・23〜26を闘った後、支援も交えた「総括の会議」、ああいう試みは初めてですね。


 萩原 一つ一つの闘いをやりっぱなしにするんじゃなくて、反省して、良い所は評価して伸ばす。その中から次の闘いの方針を作り出していく。それもみんなの話し合いでね。一回りでも二回りでも外に運動を広げよう、ということでやってきたんだけど、それがみんなの意見だという事が確認できた。反対同盟、支援の意気が上がっているのを実感している。何よりも同盟が率先して外に出ていろんな人とつながる、それが大事なことだと確認した。
 だから、5月11日にNAZENの勉強会に誘われたので、農作業は大変なんだけど、ここは行くしかないと思って参加した(記事別掲)。勉強になったしよかったと思っている。

第3滑走路阻止

――闘いの課題ですが、市東さんの裁判が6月25日に迫っています。
 萩原 みんな多くの課題を抱え、忙しい中申し訳ないのだけれど、3万人署名でもうひとつ突き抜けたい。特段の取り組みをお願いしたいということで、5月13日に改めてアピールを出させてもらった。何しろ、市東さんの営農と生活がかかっている。半端じゃない攻撃だ。そこのところを分かってほしい。まだ、一審千葉地裁の時に集めた1万2千の数に届いていない。何としても突破し、3万を目指すような勢いをつけたい。6月25日の第2回弁論時にさらに上積みした署名を貝阿彌(かいあみ)誠裁判長に突きつけたい。
――ちょうど17日、日経新聞が成田の3本目の滑走路案を報道しました。
萩原 これだけの騒音地獄の中で、もう一本造るなんてことは絶対に許さない。仮に造るとすれば、うちの家だって畑だって、滑走路の敷地に引っかかる話。だけど「できっこない」と甘く見ちゃいけない。今の安倍政権の「何でもあり」のやり方を見たら、十分に警戒しなければならない。
 だから4月30日、「成田第3滑走路実現する会」の設立に対しても全一日の闘いに取り組んだ。空港東側の吉岡、新田、川上、多良貝といった部落の大半が移転を強制されることになる。こういう部落の人たちに積極的に呼びかけ、反対同盟をもう一つ作るくらいの意気込みで、この第3滑走路計画を粉々に粉砕しなくちゃ。
――最後に改めて6・25弁論闘争、3万人署名の訴えをお願いします。
 萩原 同盟自身が動かなきゃと強く思っている。市東さんの裁判では弁護団のがんばりもあって攻勢をかけている。〝一発結審〟という攻撃も食い止めている。しかし、油断できない。スキをみせられない。そうさせないためには、全国的な運動の高まりが必要だ。3万人署名がその環です。署名運動の拡大へ、もうひと踏ん張りの奮闘をお願いします。

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