安倍「農政改革」弾劾する 企業参入・JAマネー狙い

週刊『三里塚』02頁(0908号02面02)(2014/11/24)


安倍「農政改革」弾劾する
 企業参入・JAマネー狙い

(写真 「農政改革」を論議した産業競争力会議課題別会合【5月19日】)

 安倍政権による農業破壊のための「農政改革」なるものが、強められている。全国農業協同組合中央会(JA全中)が11月6日に発表した自己改革案について、11月12日に開かれた安倍政権の規制改革会議の中の「農業ワーキンググループ」が「自己改革案に対する意見」を発表して激しく批判した。この「農政改革」をめぐる攻防は山場を迎えつつある。
 「農政改革」は、今年5月、前述のワーキングループが出した「農業改革に関する意見」で正体を現した。それは3つの「改革」を要求している。
 ①市町村レベルの農業委員会で委員の公選制を廃止して、市長村長による選任のみとし、事実上解体する。さらに県レベルの農業会議、全国レベルの農業会議所を廃止する。
 ②農業生産法人の見直し。企業の出資制限を25%以下から50%未満に引き上げ、一定の条件を満たせば過半数も可能に。
 ③農協改革。中央会制度を廃止し、JA全農を株式会社にする。
 特に焦点は③の農協解体だ。農協それ自身にさまざまな問題があることは事実だ。だからと言って、この問題につけこんで、農協を解体し、農業への企業参入を拡大し、ついには郵便貯金に匹敵すると言われるJAマネーを狙う安倍政権の農業破壊を許してはならない。

全中執行部の腐敗

 農協(JA)グループとは五つの部門で成り立っている。JA全中、JA全農、JA信連、JA共済、JA厚生連。全中は単位農協から賦課金を集め、各農協や連合会の指導・監督・教育にあたる。JA全農が担う経済事業は、生産資材などの購買と農産物の販売を目指す。冷酷な市場の中で立場の弱い農家を守るため、赤字が普通だ。この経済事業の赤字はJA信連、JA共済の信用事業、共済事業の黒字で賄われる。
 仮にJA全農を株式会社化すると、独占禁止法の除外規定が外れる。東大の鈴木宣弘教授は「零細な日本の農家はJAに結集し、販売について交渉力を持っている。そうでなければ巨大化した小売企業に買いたたかれる」と指摘する。
 購入についても粗悪品の流入が必至だ。肥料や農薬などは商社同様にほとんど輸入品だが、JA全農は、割増金を払って米国農家と契約して非遺伝子組み換え品を入れている。それができなくなる。
 そして、安倍「農政改革」について鈴木教授は「背後に米国の金融業界、農業団体、食品業界が控えている。もっと農村で儲けたい日本の大企業も同じだ」とし、「JAバンク、JA共済を合わせた総資産は郵便貯金マネーに匹敵する。これを奪いたいのがアメリカや国内の金融・保険業界の本音だ」と憤る。
 しかし、歴史的に自民党の票田となって保守政権を支え、一般組合員からの収奪をこととしてきた全中執行部は、前記の「自己改革案」でも屈服路線を取っている。安倍政権との取り引きで利権を守り、生き残りを図ることに汲々としているのだ。
 1000万組合員、260万農民の先頭に、全国農民会議が立ち、全中執行部を打倒して安倍「農政改革」を粉砕しよう。TPP締結と一体となった農業・農民切り捨て攻撃と対決しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加