TPP、年内合意できず 日米の争闘戦が激化して

週刊『三里塚』02頁(0909号02面02)(2014/12/08)


TPP、年内合意できず
 日米の争闘戦が激化して

(写真 TPP交渉の合意ができず苦しい表情の甘利明TPP担当相【10月27日】)

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が、行きづまっている。日米の争闘戦的な対立が理由だ。 8月5~6日に行われた日米実務者協議は、TPPの成否をかけて何としても合意へこぎつけることを目標に、牛・豚肉の関税と輸入制限措置(輸入が急増した際に関税を元に戻すこと=セーフガード)を中心に踏み込んだ議論を行ったが、むしろ日米間の対立を一層浮き彫りにすることとなった。日本の首席交渉官代理・大江博は「9、10月も集中的に協議したい」と焦りをあらわにした。
 その9月10日の日米閣僚協議。甘利明TPP担当相は「閣僚間の交渉はこれで最後にする」との意気込みで臨んだが、アメリカ側の態度がむしろ硬化して、協議は決裂した。この時点ではまだ、10月25〜27日のシドニーでの閣僚会合で「弾み」をつけ、11月8日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議後のTPP首脳会合で「大筋合意」という希望が語られていた。

時間の余裕はない

 しかし、これも頓挫。「年内合意は無理」という認識が一般的になった。成果を強調したい甘利TPP担当相は「時間はあまりないという認識は共有できた」などと強がって見せたが、最終合意にむけた展望は開けていない。
 「農産物」「知的財産権」「国有企業」の分野で対立が依然として深刻なためだ。
 11月4日の中間選挙で敗北した米オバマ。共和党はTPPに積極的という見方もあり、今後の交渉は予断を許さない。
 しかし来年2月までに展望を示さないと、後半には米大統領選挙の予備選挙が始まることもあり、「TPP交渉は漂流する」との見方が強い。
 こうした危機の背景には、大恐慌下で進行する世界経済の分裂化・ブロック化がある。TPP交渉での日米争闘戦の激化は、その象徴だ。他方、日米を先頭に、究極の新自由主義政策とも言えるTPP成立の中に、経済危機からの脱却をかけるしか手段がないことも事実だ。
 労働者人民の立場はTPP絶対反対だ。首相官邸前では粘り強い運動が展開されている。怒りの声をさらに拡大しよう。
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