我々は実力で農地強奪阻止する 一人一人が闘いに立ち安倍の戦争法案阻もう 北原鉱治事務局長に聞く

週刊『三里塚』02頁(0920号01面01)(2015/05/25)


我々は実力で農地強奪阻止する
 一人一人が闘いに立ち安倍の戦争法案阻もう
 北原鉱治事務局長に聞く



(写真 地元の成田市本三里塚で住民に訴える北原事務局長【4月24日】)


 韓国民主労総(全国民主労働組合総連盟)は4月24日、27万人の参加をもって、パククネ政権打倒を掲げた歴史的なゼネストを成功させた。メーデー125周年の5月1日、全国から史上最大規模の5万人の労働者がソウル広場に結集して、あらためてパククネ政権を終わらせる大闘争を宣言した。日本では、戦争法案の閣議決定が14日に行われることに対して、国会決戦に突入する。5〜8月の安保国会決戦を全力で闘い抜き、6・7国鉄集会3千人結集を実現し、動労総連合を全国につくる。また沖縄でも5・17県民大会を頂点に全島ゼネスト情勢だ。三里塚闘争はこうした闘いの重要な一環として、東京高裁による市東孝雄さんへの農地取り上げ策動と対決し、6・15再開耕作権裁判の闘い、市東さん3万人署名へと前進している。反対同盟の北原鉱治事務局長に、安倍政権の危険性、市東さんの農地を守る闘いの重要性等について語ってもらった。

6・15耕作権裁判、地裁包囲へ

 ――安倍内閣は5月14日に、安保戦争法案を閣議決定して、国会に提出しようとしています。
 北原 安倍政権は戦前の政権とそっくりだ。自衛隊を「わが軍」と呼んで居直っている。周辺事態法や武力攻撃事態法などを改悪して、「周辺事態」という言葉を否定して、「存立事態」などというデタラメな用語をデッチあげ、自衛隊を地球の裏側まで派兵しようとしている。
 安倍首相の精神構造はどうなっているのか、と疑うよ。今までの総理とは違う。「日本の軍事力を誇示したい」とでも思っているのだろう。だけど軍隊はおもちゃじゃない。
 アジアの人びと2000万人、日本の国民320万人を犠牲にして、今の憲法がある。敗戦後、この憲法の下で「民主主義」という新しい考え方を知ってどれほど新鮮だったか。それすらも壊そうという安倍政権の暴挙に対して、労農学市民一人ひとりが心底怒り、闘いに立ち上がる時が来たと声を大にして叫びたい。
 人がやってくれるのを待っていちゃだめなんだよ。「あの時自分はどういう行動をとったのか」と後々振り返るような歴史の転機がまさに今だ。他力本願を乗り越えよう、と訴えたい。
 ――沖縄の辺野古新基地建設の強行も許せません。
 北原 沖縄には特別の因縁を感じている。戦前私は海軍で兵役についていたが、その最後のあたり、沖縄戦が始まっていたころ、沖縄の近くまで接近したけど引き返したことがある。
 三里塚闘争が始まってからは何度も行っている。日本の0・6%の面積の沖縄に全米軍基地の75%も存在しているというんだから、めちゃくちゃだ。その上、新基地を造るなんて言語道断。沖縄の人びとの怒りは当然だし、三里塚も連帯を強めていきたい。
 5月17日の県民大会には反対同盟から萩原富夫君が参加する。
 ――反戦・反核・反権力の砦として闘いぬいてきた三里塚闘争の位置も大きいですね。
 北原 そういう点で、先日の3・29全国集会は感慨深かった。47年前の1968年に2・26、3・10、3・31の機動隊との激突を闘った思い出の場所で、全国集会を開催できた。あの旧市営グラウンドは三里塚の実力闘争の原点。同時に反戦の闘いの原点でもある。三里塚も49年、よくここまで来たと思うと同時に、この戦争への流れの中で、全人民の共有財産であるとの自覚で、「2度と戦前のようなことはくり返させない」「理不尽な国策に徹底して反対する」との思いを新たにしている。沖縄とともに、福島と連帯して、安倍政権を倒す闘いの一翼を担う。私もまだまだ闘う決意だ。
 ――韓国では三里塚と関係の深い民主労総が歴史的なゼネストを成功させました。
 北原 27万人もの労働者がストライキに立ち上がったと聞いて感動している。毎年交流会を行っている仲間たちが労働者、農民一体となって、韓国の未来を切り開くためにはどうしたらいいのか、と自分に問う中から出てきた答えだと思う。
 それぞれの国の労働者・農民・学生・市民が民主労総のように立ち上がる時代が来たことを実感する。三里塚にとっても大きな援軍だ。

6・7国鉄集会の大成功を

――さて、三里塚も決戦情勢が白熱化しています。
 北原 何よりも市東孝雄さんの農地を守る闘いでは、一戦を覚悟しなければならない。農地法裁判では東京高裁が突然の審理打ち切りを強行し、判決日の指定を行おうとしている。もし反動判決を行うならばそれは強制代執行と同じ農地強奪が行われることを意味する。反対同盟は体を張ってこれを阻止する。
 法廷内外の闘いもできることは全部やる覚悟で臨む。3万人署名も大切だ。農地があるからこそ農民なんだ。その農民から農地を奪うということは、「死ね」と言うのと同じ。裁判の中身はデタラメばかりだ。文書の偽造、署名の偽造、印鑑の偽造。6月15日から2年半も審理がストップしていた耕作権裁判が始まる。集会、デモで千葉地裁を包囲しよう。
――月一回の一斉行動にほぼ毎回出られていますね。
 北原 大体3カ所から5カ所、場所を決めて辻立ち演説を行っている。何軒か家を訪れて話ができるお宅もできてきた。毎回、継続してやることが大事なんだ。
 演説の内容も考えて話している。第3滑走路の報道が出ればそれについて訴えるし、3・29集会の前には市営グランドと47年前の闘いについて語り、参加を訴えた。騒音下はきびしい状況に置かれている。私の家だって空港から500㍍の場所で騒音地域だ。だからいつも「空港ができて暮らしはどうですか」と問いかける。
 被害だけを受けている住民は多いんだ。そして「三里塚は健在です。また新たなことがらが起きれば報告に伺います」と必ず締めくくる。
――最後に労農連帯の闘いについて。
 北原 動労千葉との関係は車の両輪として他と比べられない特別なものだ。国鉄の分割・民営化と一貫して闘い、今、外注化・非正規化との闘いを強めていると聞いている。6月7日に国鉄集会をやるという。その大成功を願っている。
 ――ありがとうございました。

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