農民の解放へ 真の道は何か③ 農民学習会 労農同盟論を学ぶ 労働者階級と共に革命を 農民は新しい社会建設の主体 農業は社会的生産の柱

週刊『三里塚』02頁(0921号02面08)(2015/06/08)


農民の解放へ 真の道は何か③
 農民学習会 労農同盟論を学ぶ
 労働者階級と共に革命を
 農民は新しい社会建設の主体
 農業は社会的生産の柱

(写真 第1回全ロシア農民代表ソビエト会議の代表たち【1917年5月4日〜28日】)


第1部 講演 三条克実さん(3)

 第二のテーマは、「農民はプロレタリア革命に合流しよう」です。農民にとってなぜプロレタリア革命が必要なのかを話します。
 農民は労働者階級ではありません。生産手段を持っている、小ブルジョア階級(小生産者・小所有者の階級)です。その農民階級にとって、どうしてプロレタリア革命をやる必要があるのか。
 前提的に明らかにしたいのは、農民という存在がどういうものかです。農民は農産物・食糧を生産する生産者です。どんな社会であっても社会的生産の二本柱が、農業と工業です。
 社会的生産の片方を担っているのが農民であり、農民が社会を決定的に支えているのです。農業や漁業なしに、人間が生きていくための食糧は供給されません。
 封建制社会においては、人民のほとんどが農民(農奴)でした。土地に縛り付けられ、地主など支配階級に隷属していました。資本主義社会は農民を土地に縛られることから解放し、「自由な」農民を作り出してきました。同時に、資本が土地(生産手段)を取り上げることで、農民を体一つで路頭に放り出しました。生産手段も生活手段も何も持たない、労働者階級の登場です。こうした過程を見ると、労働者と農民は「きょうだい」のような関係です。
 こうした社会的生産のひとつ、農業生産物を作っている農民を、資本主義・帝国主義の権力者はどのようにしていこうとしているのか。安倍政権は「農業所得の倍増」を叫んでいますけど、資本主義経済が発展して農民は幸せになりましたか。高度経済成長に日本の農業がどうなったのか。1960年から2010年の50年間で農民の数は、1454万人から260万人に82%も減少しました。だから、資本主義経済の発展の中に農民の幸せな未来があるというのは、完全なデマです。資本主義の発展は、限りなく農業の破壊と切り捨てを進めます。農村を労働力の供給源として、戦後日本の資本主義的「発展」を進めてきたのです。いま、安倍政権の新自由主義攻撃は、これまでの延長上の農業破壊・農民解体ではありません。意図的な米価暴落であり、農協解体、農業委員会の形骸化、企業の農業参入・「農業特区」攻撃。大資本・大企業が農業に参入してきます。農民が農業生産を行なうのではなく、企業が農業生産を行なえばいいと考えています。だから、歯止めなき農民一掃の攻撃です。新潟の農民から聞いた話です。行政も農協も「こうやれば補助金がつく」と言って、さまざまな説明会が開かれます。しかし、農業関係の補助金の総額は年々減っています。猫の目のように制度が変わるので、名前も変わり、手続きも変わり、申し込みが面倒で農民には不評です。こうした中で地元の個人農家30人で「○○活性化協議会」という有志団体を立ち上げたそうです。農家の所得アップのためにどうすればいいのかを、補助金政策、特産の農産物、販売網などを検討しています。このままでは生きられない現実の中で、農民の模索がすでに始まっています。それは当然の動きです。
 しかし、それで根本的に問題が解決できるのかということを、もう一度押さえ直す必要があります。資本主義の枠内で資本主義を改良して生き延びていくことが可能なのか、ということです。資本主義を改良すれば何とかなる問題ではなく、資本主義そのものを根本から変革するしかないと思います。

根本的な変革を

 これは農民だけでなく、労働者にとっても同じです。「資本主義の改良なのか、それとも根本的変革なのか」が、いつの時代にも大きな焦点です。いろんな党派がどっちの立場に立つのかで分岐していきます。農民・労働者、あらゆる人民が生きていくためには、資本主義社会を根本的に変えていくしかありません。
 それはプロレタリア革命によってしか開かれません。農民も、あらゆる人民も、プロレタリア革命に合流することです。農民闘争の歴史に見るように農民は、ある面では労働者階級より戦闘的で激烈な闘いをやり抜きます。自らの生きる糧である土地を守るためには本当に命がけの闘いをやってきました。しかしその闘いが、資本主義的生産を根底から転覆する闘いでないなら、結局はブルジョアジーに対する永遠の「反乱」でしかありません。資本主義・新自由主義によって虐げられ続ける状況を、根本から突破することこそが問題になっているのです。そのことの中にしか、農民自身の根底的な解放の道はありません。
 農民も労働者の陣営に合流して、労働者階級とともにプロレタリア革命へ進みましょう。農民もこの社会変革の闘いの担い手になることで、新たな社会を建設する主体へと自らを飛躍させていくのです。
 それは、資本主義・新自由主義によって徹底的に破壊された社会的関係を自分たちの手に取り戻す闘いでもあります。資本が全世界的規模で廃止されるなら、飢餓も貧困もない世界をつくることが可能になります。生存競争のために人間同士が争う必要もなくなります。共産主義社会の労働は、労働者一人ひとりの全面的な発達と社会全体の豊かな発展を可能にするものです。それは資本の廃絶、資本主義的生産の廃止によって初めて実現されるのです。
 もう一度強調すると、この資本主義社会を根本から変えていく主体として農民も自らを登場させようということです。資本主義・新自由主義のもとで農民が生きられない現実は、資本主義打倒の主体として農民が登場することを一層求めていると思います。
(つづく)

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