耕作権裁判 市東さんの陳述(要旨) この裁判に必ず勝利

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週刊『三里塚』02頁(0923号01面02)(2015/07/13)


耕作権裁判 市東さんの陳述(要旨)
 この裁判に必ず勝利


 6月15日に千葉地裁で行われた市東孝雄さんの耕作権裁判において本人の陳述が行われたので、要旨を紹介します。
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 はじめに
 空港会社の本件提訴によって、私は新聞に「不法耕作の男」と書かれました。その南台の畑は、祖父の代から100年近く耕し続けてきた畑です。私は誠実に農業を続け、消費者との間にも信頼関係を作ってきました。まったく不当に訴えられ、誹謗中傷されたことを考えると、今も、夜も寝られないほど悔しさがこみ上げてきます。
 私は、空港会社の無法をあばき、「不法耕作」のデマをぬぐい去り、祖父の代から耕し続けて来た畑を守るためにこの場に立っています。
 東京高裁第19民事部で(6月12日に)審理を尽くさないまま下した判決の誤りを正すためにも、私はこの裁判に勝利したいと願っています。

①いま耕作している畑はすべて私の賃借地
 私は、まずなによりもこのことを申し上げたいと思います。父・東市から、畑を守れと言われて相続し、有機農業を続けてきたのです。私の家が今の場所を耕作し始めたのは大正末期の祖父の時代です。それから100年近く、農地として今の畑を守り続けてきました。 その間、畑の場所をめぐって地主と争いになったというようなことを、父から聞いたことは一度もありません。1999年1月21日に父が亡くなり、私は家に帰り農業を引き継ぎました。この年の前年から、毎年暮れに、地代を(旧地主の)藤﨑政吉さんの自宅に届けに行きましたが、耕作場所を問題にされたことはありません。
 03年6月には畑の一角に堆肥場をつくるために了解をもらいに行きました。堆肥場の場所は、空港会社が今、不法耕作だと主張する場所にありますが、造っていいと言われました。その場所が契約畑だと思っていたからです。
 場所を問題にしなかったのは空港会社も同じです。空港公団(現空港会社)は、88年4月12日に南台の農地を藤﨑さんから買収しています。しかし私が99年に耕作を始めても、場所が違うと言ってきたことはありません。
 そもそも南台の畑は農地改革で解放されるべき畑です。自作地と同様に農地法によって保護されてきました。ところが、いつの間にか空港会社が地主だというのです。父・東市が知らないうちに、空港公団がどうして地主になれるのでしょうか? 買収の事実を隠し続け、登記もせず、地代をだましとってきたことこそ、違法・無法というべきです。

②明らかになった空港会社による証拠の偽造
 審理が中断する前の法廷で、空港会社が契約畑を特定した唯一の証拠が、偽造だということが明らかにされました。
 私は、父・東市が署名したという「境界確認書」「同意書」添付図面の存在を知らなかったのでビックリしましたが、同時に不審に思いました。「南台41―9」の土地が契約畑だというのは明らかに違うからです。
 そして筆跡鑑定の結果、これが偽造と分かってさらに驚きました。いくら事業認定の期限切れで土地収用できなくなるという切迫した事情があったといえ、どうしてこんなことができるのか、公団用地部の闇を見たように感じました。
 これまでの法廷における、空港会社の主張は矛盾だらけです。87年10月まで一貫して空港公団が主張していた契約畑の場所が、88年4月11日付の「境界確認書」や日付のない「同意書」、添付図面で突然変えられたことは、まったく不自然です。
 これらの書類はどういう経過で作られたのか。それまでの図面や耕作実態とも明らかに違うのはなぜか、空港会社ははっきりさせるべきではないですか。
 これまで提出された証拠は、偽造文書を除くと、空港会社のものを含めてすべて、「南台41―9」が私の契約畑ではないことを示しています。裁判所は、私の主張を真実だと認めるべきではないでしょうか。

③有機農業に誇り
 私は農業に誇りをもっています。生産者と消費者で作る会の一員として、本格的な有機農業と産地直送を始めて以降、延べ3000軒以上の消費者宅に野菜を届けてきました。有機農業は土作りがすべてです。畑を守るということは、土壌微生物が生息できる豊かな土を毎日の作業を通して作り続けることなのです。
 農地と農業はかけがえのないものであり、私たちの命です。いま、家族農業が切り捨てられ、利益を追い求める企業の農業参入が進められています。私の農地問題の背景には、空港を優先して農地をつぶし、住民の命を削り、地域を破壊する実態があることもこの場を通して訴えたいと思います。

④不当な訴えの棄却を求めます
 裁判長! ある日突然、空港会社が地主として現れて、 「不法耕作だ」 「契約解除だ」 「明け渡せ」と言われても、私はとても納得できません。私はこの裁判で真実を明らかにしたいと、強く願っています。このことは関連裁判の誤りを正すためでもあります。農地法による農地取り上げと、私は闘います。
 空港会社は 「不法耕作」呼ばわりを謝罪し、訴えを取り下げるべきです。裁判所には空港会社の不当な訴えを棄却するよう求めます。

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