米TPA(貿易権限法)が成立 TPP粉砕闘争の前進を

週刊『三里塚』02頁(0923号02面03)(2015/07/13)


米TPA(貿易権限法)が成立
 TPP粉砕闘争の前進を

(写真 アメリカでTPA法が成立しても、TPP妥結まで課題は多いと報じる新聞各紙【6月27日】)

 帝国主義間争闘戦の戦場であるTPP交渉が新たな局面に入ろうとしている。アメリカで難航を重ねていたTPA法案が6月29日に成立したためだ。
 TPA法案とは貿易権限促進法案と呼ばれ、本来議会が持っている貿易に関する権限を大統領に託すための法律だ。このTPA法案の成立がないと、オバマ大統領は、権限のないままTPP12カ国交渉に臨まなければならないことになり、仮にそこで一定の合意を得ても議会の承認手続きで修正を余儀なくされることがありうる。
 そのため、米議会におけるTPA法案の決着がつくまで、12カ国交渉や日米2国間交渉も中断されていた。そのTPA法案が成立したことで、TPP交渉そのものに弾みがつくとのマスコミ報道があるが、ことはそう簡単ではない。
 そもそもこのTPA法の成立自体が薄氷を踏むぎりぎりの成立で、労働組合を中心にした反TPP勢力が予想以上に強かったことが露呈した。そのため、6月12日時点ではTPA法は下院でいったん否決されたが、このTPA法と抱き合わせで論議されてきたTAA法案(貿易調整援助と呼ばれる労働者救済策)を分離して採決するアクロバットで、やっと成立にこぎつけた経緯があるからだ。
 結果的にはTPA成立後にTAA法も成立したが、日米を含めた12カ国交渉では、さらなるハードルが待ち受けている。マスコミも「TPPなお残る課題」「米、議会配慮で譲歩困難」と報じているように、TPA法成立がぎりぎりであった分、今度は他国との交渉で譲歩する余地がきわめて限られてしまった。
 5年にもわたるTPP交渉では、協定文29章のうち交渉が終了したのが11章でしかなく、過半は未決着だ。特に知的財産分野や国有企業をめぐる交渉は最も難航している分野とされ、アメリカ通商代表部の強硬な姿勢が交渉のネックと言われてきた。
 今回のTPA成立をめぐる議会とオバマ政権との対立の厳しさによって、オバマ政権は安易な妥協ができなくなる環境を強制されたと指摘されている。
 いずれにしても「恐慌の中の恐慌」と言われる世界的な経済危機の中で、日米をはじめ、勢力圏、市場の暴力的奪い合いの中でTPP交渉が行われている以上、国際的に連帯した闘いの中で、TPPを阻止することはまったく可能だ。
 労働者も農民・市民も新自由主義による社会崩壊の中に叩き込もうというTPPの正体はかつてなく明らかとなっている。全力で闘いを強めよう。
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