北総の空の下で 『無の槍』 原発労働者の手記

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週刊『三里塚』02頁(0964号02面05)(2017/03/27)


北総の空の下で
 『無の槍』
 原発労働者の手記


 3・11福島行動に参加しました。オリンピックまで3年強、「アンダーコントロール」された原発のうそを塗り固めるために、国家の強権発動が始まりました。原発事故前の放射線基準を20倍に引き上げて、避難地域を解除し、自主避難者の住宅支援を打ち切ると言うのです。6年前福島住民は、去る者も残る者も重い決断を迫られました。必死で積み上げてきた生活やつながりを2度までも切り捨てた自民党政権。
 安倍は森友学園から加計学園へと拡大している疑獄事件の関与を否定していますが、国粋主義教育の学校建設に、ただ同然で国有地を払い下げるなど、国家の介入なくして不可能です。安倍に忠誠を誓って裏切られた森友学園・籠池の証人喚問には「洗いざらいぶちまけてやる」と腹をくくった人間の強みがあり、自己保身に汲々とする安倍の人間性が透けて見えました。
 この対極に、福島第一原発事故に立ち向かった労働者がいます。2冊のパンフに続いて出版された『無の槍』に、何度も目頭がうるうるしました。〝見えない槍〟とは放射能のこと。槍傷で満身創痍になりながら、現場労働者を致命傷から守るために体を張った技術者の手記です。主役は、各々の持ち場を懸命に守った名も無き人々です。遠くからわめくだけの政治家と、派手な部分のみを報道するマスコミを鋭く批判しながら、最悪の2次災害を食い止めて、私たちの命と生活を守ってくれた人々を活写しています。
北里一枝
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