新やぐら裁判 「買収」は違憲・無効 NAAの農地法違反を追及

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週刊『三里塚』02頁(0990号02面01)(2018/04/23)


新やぐら裁判
 「買収」は違憲・無効
 NAAの農地法違反を追及

(写真 裁判後の報告集会で【4月16日】)

(写真 内田博久裁判長)


 4月16日、新やぐら裁判が千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で開かれた。
 この裁判は、市東孝雄さんの天神峰の畑に建てられたやぐら・看板などの四つの物件について、成田空港会社(NAA)が反対同盟に対し、「収去と土地の明け渡し」を求めたものだ。
 反対同盟顧問弁護団は今回、NAAの農地買収が無効であり、明け渡しを要求する資格がまったくないことをあらためて突き出した。
 NAAは、「空港施設用地に転用することを目的にして市東家の耕作地の底地を地主から買収した」と主張している。だが----
 ①「買収」当時の1988年、平行滑走路、誘導路などの工事予定は立っていなかった。転用許可申請の時点で天神峰には5戸、東峰には8戸の農家が存在し、着工時期、完成時期などの具体的計画など立てようもなかった。
 ②転用目的の農地買収には、小作人の「小作権放棄」の同意が不可欠だ。だが市東家に無断・秘密で「買収」が行われた。空港公団(NAAの前身)は旧地主・藤﨑から南台農地の底地を買収した際に、「所有権移転登記を行うまでの期間、小作料を藤﨑が取得する」(=市東家から地代をだまし取れ)との覚書まで交わしていた。15年も経過してNAAは市東さんに対し「土地は買収した。賃貸借契約は終わりだ。明け渡せ」と言い出した。なんという卑劣な手口!
 ③1967年に追加制定された農地法施行規則7条11項は、空港のための農地買収・転用について知事の許可は不要としているが、これはとんでもない違憲・違法の代物だ。空港建設予定地から農民を追い出すためのものであり、無効だ。
 ④空港公団は「買収」当時には都内に住所があり、この土地取得は「不在地主」による小作地所有であり無効だ。
 「不在地主」の違法状態を農業委員会が認めた時は、国が強制的にその土地を買収し、現にそこを耕作する人に最優先で売り渡さなければならないがそうしなかった。
 また弁護団は、「公団は、天神峰農地の旧地主・岩沢との間でも、藤﨑と同様の覚書を交わしていたことは明らか」として、文書提出命令申し立てを行った。さらに弁護団は、現時点で18人に及ぶ人証調べの計画を裁判所に提示した。
 弁護団の追及に対し、NAA代理人は「検討して次回までに......」と繰り返し、その無責任で卑劣な態度が傍聴席から一層強い怒声を浴びた。
 次回期日を7月9日、次々回を10月1日として閉廷した。
 裁判報告集会で弁護団は、本裁判が早期結審の敵のもくろみを打ち砕き、市東さんの農地への明け渡し強制執行を阻んでいることを確認した。動労千葉の滝口誠さんと「市東さんの農地取り上げに反対する会」の連帯発言の後、決戦本部長の太郎良陽一さんが、三里塚現地と全国の力で市東さんの農地を守ることを熱く訴えた。

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