明日も耕す 農業問題の今 農業犠牲にするるFFR 日米新貿易協議開始へ

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週刊『三里塚』02頁(0997号02面04)(2018/08/13)


明日も耕す 農業問題の今
 農業犠牲にするるFFR
 日米新貿易協議開始へ


 7月17日、安倍は日欧EPAに署名し協定内容を確定させた。TPP11の承認と関連法の強行成立など相次ぐ大型協定。さらに問題なのが8月9日からワシントンで始まる日米新貿易協議(FFR)だ。

 安倍政権は、秋の臨時国会に日欧EPAの承認案と関連法案を提出し、来年前半までに発効させようとしている。
 日欧EPAが発効すれば、日本は最終的に農林水産物でTPPと同水準の82%の品目で関税を撤廃することになる。
 また、TPPでは協定発効から7年経過以後に再協議を行うが、日欧EPAでは発行後5年目(合意があればもっと早く)に見直すとした。見直しでさらに農業が切り捨てられるのは明らかであり、TPP11とともに農業への打撃は極めて重大だ。
 TPP11も日欧EPAもしゃにむに成立を急いだのは、新たに始まるFFR交渉に備えた条件整備だと言われる。

貿易戦争が激化

 FFRとは「フリー・フェア・レシプロカル」の頭文字だ。
 注視すべきは、最後の「R」だ。レシプロカルは「互恵的」「相互的」などと訳されるが、米国の通商政策では、市場開放と絡め極めて戦略的に使われてきた。
 1980年代に「貿易摩擦」が激化した際、アメリカ政府はこの言葉を振りかざし、日本政府に対して、貿易不均衡の是正、市場開放を要求した。それは「相互主義(レシプロシティ、reciprocity)」と言われた。FFRのアメリカ側の交渉担当者ライトハイザーはその当時、陣頭指揮を執った人物だ。
 安倍政権は、「日米FTAやその予備協議にならないことが基本だ」「日米2国間の交渉でTPP同等の譲歩を行うことはあり得ない」などと繰り返すが、いまや誰もそんな言葉は信用しない。FFRが日米自由貿易協定(FTA)交渉入りとなれば、日本の農業が受ける影響は計り知れない。
 世界中で新自由主義が破たんし、各国政府は保護主義、貿易戦争を発動し、労働者農民に犠牲を強いて、力ずくで市場・資源・勢力圏を奪い合うことで生き延びようとしている。そうした強盗どもの先頭で突き進んでいるのが「アメリカ第一」を掲げるトランプ政権であり、最も追い詰められて危機にのたうち回っているのが安倍政権だ。

労農連帯で闘う

 貿易戦争のただ中で、安倍政権の農民切り捨ては間違いなく加速する。FFRで「毅然とした交渉を」望んだり、「日本農業を守れ」と叫ぶだけでは真の力にはなり得ない。今、安倍政権と闘わなければ、日本農民は壊滅させられてしまう。
 根底にある資本主義・新自由主義を打ち破る時だ。そうしなければ農地も農民の権利も守ることはできない。耕す者は今こそ立ち上がろう。労働者と共に安倍政権を打倒しよう。
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