獄中の鈴木哲也さんから市東孝雄さんへの手紙 東市さんの闘志に触れて

週刊『三里塚』02頁(0997号02面03)(2018/08/13)


獄中の鈴木哲也さんから市東孝雄さんへの手紙
 東市さんの闘志に触れて


 私は2017年5月18日に広島で不当逮捕され、「犯人蔵匿」の容疑で起訴され、18年4月、一審にて「懲役1年8月」の不当実刑判決を受け、現在控訴審を闘っています。大阪拘置所に在監中です。一審判決は、私が「同居していた人物を大坂正明と知って匿っていた」ことをなんら証明できていません。これは共謀罪攻撃そのものです。このような判決は到底承服できません。何としても覆し、無罪を勝ちとるべく、獄内外で連帯し闘っています。
 私は孝雄さんの父上である市東東市さんにはお会いしたことがあります。私が高校を卒業して上京し予備校に通っていた1983年のことです。都内のある大学で三里塚集会があって、左翼的な運動(三里塚も含めて)について何も知らない私でしたが、興味はあったので、フラッと足を運んでみました。そこで、東市さんの講演会をやっていたのです。東市さんが話し終わると、司会の人は「じゃ、ちょっとそこの君! 何か質問ある?」と私を指名しました。何の予備知識もない私は、内心「俺に当てるなよ、困ったな」と思いつつ、何かしゃべらねばと、「今のお話で、最後まで土地を売らずに闘う!と言ってましたが、本当ですか」と質問してしまったのです。東市さんの不屈の闘魂のことを少しでも知っていたら、あんな失礼な質問などできるわけなかったと、後に赤面しました。しかし、東市さんはそんな未熟で非礼な質問にも「本当だよ」と、どうして土地を売らないのか、どうして三里塚闘争をやっているのか、懇切丁寧に話してくれました。
 翌年私は法政大学に入学し、まもなく本格的に学生運動を始め、三里塚闘争にもひんぱんに参加するようになりました。思えば、あの時の東市さんの講演と私の質問に真摯に対応してくれたことが、私をこの運動に導いてくれたと実感します。
 孝雄さんは、最後まで土地を売らなかった父上の遺志を継いで、三里塚闘争を闘う決断をなさったと思うのですが、孝雄さんが札束を詰まれても微動だにせず、「1本百円の大根」が農民にとっていかに大事かと喝破した時、私は心が震えました。
 三里塚闘争は50年のときを超えて、韓国・民主労総の同志たちともつながり、国際連帯・労農連帯の要となっています。これからが、闘いの本当の発展期だと思います。私も、青春時代にさまざまな革命のイロハを教えてもらった三里塚の大地に思いを馳せ、当面する獄中闘争を全力でやりぬく所存であります。
 それでは、いつかお会いできる日を楽しみに。
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