団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1018号01面05)(2019/06/24)


団結街道


 5G(第5世代移動通信システム)が「暮らしを根本から変える」と盛んに宣伝されている。総務省は「5Gでつながる世界」と題したミニドラマ形式のイメージビデオをユーチューブに発表した▼5Gが定着した近未来、一人の若者が都会から田舎に向かう。乗用車は快適な自動運転。「この景色に合う曲に変えて」と横柄に注文するとAIがBGMを変更する。農村では農業用ドローンが飛び交い、医者は住民をオンラインで診療。夕暮れに祖父母の家に着いた若者は、姉やバンド仲間をホログラムで目の前に登場させ、賑やかな演奏で祖父母の金婚式を祝う……▼断言しよう。こんなバラ色の未来は絶対に実現しない。5Gの将来像をちゃちなCGを使って捏造していること自体が詐欺だ。無人自動運転は信頼度ゼロの危険な代物であると、先日の湘南シーサイドライン事故が証明している▼たとえ5Gで通信の情報量や速度が飛躍的に伸びたとしても、その恩恵に預かるのは富裕層だ。農業と地方の切り捨てを進めながら、何がドローンか。米中対立の中で示されている通り、5Gの先端技術は軍事と治安管理にこそ徹底活用される。顔認証技術向上が共謀罪型弾圧を促進するだろう▼4Gの現在でも明らかだが、通信技術の高度化がもたらすネット社会やSNSの膨張は、むしろ人間疎外を推し進める。それが資本主義社会であり、それを倒しのりこえた先にこそ未来がある。
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