明日も耕す 農業問題の今 奴隷労働強いる「技能実習」 農業分野で矛盾が拡大

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週刊『三里塚』02頁(1018号02面05)(2019/06/24)


明日も耕す 農業問題の今
 奴隷労働強いる「技能実習」
 農業分野で矛盾が拡大


 前回、「即戦力」となる外国人労働者を最大35万人導入しようと新設された、改悪入管法の「特定技能」という制度を批判した。だが、それでこれまでの「技能実習制度」が後景化したわけでは全くない。

 出入国管理法の中で、在留資格「技能実習」として創設された現行制度は、2010年7月から施行された。
 しかし、事件が頻発し、実習生に対する不正行為が顕在化する中で、制度の適正化を図ると称して、昨年11月1日、技能実習法(16年11月28日成立)が施行された。
 表向きは実習生の待遇改善や、人権侵害への罰則など制度運用の厳格化をうたっているが、最長3年だった実習期間の5年への延長や、作業内容の拡充にその狙いがある。
 例えば、農水省の手引きでは「農畜産物を使用した加工の作業の実習」として、果物を材料としたジュースやジャムの製造、牛乳を原料としたチーズ等の製造が紹介されている。法律のお墨付きで実習生に従事させる作業内容が広がった。
 しかし、技能実習制度の実態は強制労働だ。

毎年数千人失踪

 法務省発表の技能実習生の失踪は、12年に2005人だったが、16年には5058人で、17年は6月末までの半年で3250人と急増していて、多い順に建設業、農業と続くという。作業のキツさもあるが、農業や水産業の場合、労働基準法第41条第1項の対象になって労働時間の適用除外になるため、長時間労働を強いられたり、割増賃金が支払われなかったり、ギリギリまで抑え込まれるからだ。
 問題はさらにこれからだ。農水省によれば、農業分野における雇用労働力は、2005年の13万人から2015年には22万人と、10年で1・7倍に増加している。
 また、「新たな外国人材の受け入れ制度に関する基本的考え方(2018年9月 農業労働力支援協議会)」では、雇用就農者数は現時点で約7万人不足とされている。
 企業の農業支配が進む中で、現場における奴隷労働はますます広がり、怒りの爆発は不可避だ。

実習生と団結を

 こうした強制労働拡大と同時に安倍政権は「就労目的の難民申請者の一掃」を掲げ、これまで正規滞在の難民申請者すべてに認めてきた審査期間中の在留や就労を制限するとし、1月15日に運用を始めた。
 また、法務省は入管法に基づく上陸拒否者数が急増しているとして、入国を許可されない外国人らが過ごす成田空港の出国待機施設を2019年度中に拡充しようと計画している。
 野放図な受け入れと凶暴な排斥攻撃。安倍政権の外国人労働者政策の破産の現れだ。都合よく労働力を調整しようとしても、そうはいかない。
 技能実習生はまさに「現代の徴用工」であり、安倍政権と日帝資本の墓掘り人だ。外国人労働者と団結しよう。
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