明日も耕す 農業問題の今 土壌減少に高まる危機感 「安倍農政」は世界に逆行

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週刊『三里塚』02頁(1021号02面05)(2019/08/12)


明日も耕す 農業問題の今
 土壌減少に高まる危機感
 「安倍農政」は世界に逆行


 前号では家族農業や小規模農業が世界で見直され、注目されていることを紹介した。これと重なる動きとして、国連は2015年を「国際土壌年」と定めた。今回は、土の問題をテーマに取り上げてみたい。
 最初に、世界の食問題研究家で「日本の種子を守る会事務局アドバイザー」の印鑰智哉 (いんやくともや)氏のフェイスブックから一文を紹介したい。
 「このままではこの地球から土がなくなってしまう。すでに世界の3分の1の表土は失われ、毎5秒ごとにサッカー場の広さの土が流出している。このままいけば2050年には地球上の90%以上の土が劣化してしまう。そうなれば農業生産は激減し、食料をもはや生産できなくなる。あるいは残された土地をめぐって紛争が激化してしまうだろう」
 また、日本農業新聞も、7月17日付の論説で「土壌の弱体化」を取り上げ、「食料生産を支える農地土壌に黄信号がともっている」と警告を発している。
 化学肥料や農薬多用の農業、大型機械化、単作化の農業は、微生物が生きられる環境を破壊する。微生物が生きられなくなった土は死んでいく。それが世界的には大変な状況になっている現実があるのだ。

国際土壌年決議

 こうしたことへの危機感から、2013年12月に行われた国連総会で、12月5日を「世界土壌デー」と定め、2015年を国際土壌年とする決議が採択された。これは「国際土壌の10年」として24年まで継続していくものだ。
 この時の国連総会は、限りある土壌資源の持続性向上とその必要性の社会的認知を高めることに加盟国や関連する組織などが自発的に務めるよう呼びかけている。
 だがこれは、社会的認知とか啓発の問題ではない。新自由主義がもたらしたものであり、政治の問題だ。
 安倍政権は、家族農家をつぶし、企業の農業支配を推し進めている。「国際土壌年」とは真逆の政策を推進しているではないか。
 農林水産省の調べでは、全国の農業経営体数が120万を割り込み、10年前より約3割減ったという。国内の耕地面積は約6万㌶減って、353万㌶に縮小した。

土をつくる農業

 印鑰氏は、化学肥料や農薬を使わない農業は今や世界の大きな主流になりつつあるという。そして「土地の権利を守り、家族農家を重視することでこそ、土を作り出す農業、環境を作り出す農業の発展が可能になる」と訴えている。
 有機・無農薬で野菜をつくる市東さんの農地は、まさにかけがえのないものなのだ。市東さんの思いはもちろんのこと、世界の動きに照らしてみても、本当に守り抜かなければならない。9月24日の請求異議裁判控訴審に集まろう。安倍農政にストップをかけよう。
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