団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1023号01面06)(2019/09/09)


団結街道


 「エヴァンゲリオン」で知られるアニメーター・漫画家の貞本義行の8月9日のツイートが衝撃を与えた▼貞本は、名古屋での「表現の不自由展・その後」で右翼の攻撃の標的にされた展示に触れ、「キッタネー少女像。天皇の写真を燃やした後、足でふみつけるムービー。かの国のプロパガンダ風習まるパク!」とネット右翼そのもののヘイト言動を書き込んだのだ。「長年エヴァファンだったが心底がっかり」「まさかそんな人だったとは」と嘆きの感想が飛び交う▼本人はさらに下品で攻撃的な嫌韓コメントを吐き散らした上、「造形物としての魅力がない」と少女像をけなし、「差別の自覚はない。韓国人の友だちもいる」と居直った。最低最悪だ。排外主義丸出しで異分野の表現者を攻撃する貞本の内心の荒廃ぶりに驚く▼韓国の彫刻家によるこの「平和の少女像」は、細部に多くの意味が込められた作品だ。足元に落ちる影は丸い背の老女の形で、慰安婦にされた女性の長い歳月の苦難を表す。肩には平和の象徴である小鳥がとまる。握りしめた手は像の設置を妨害し続ける日本政府への抗議を示し、地面から少し浮いた一方のかかとは、自分たちを放置してきた韓国政府の責任を問う。隣に置かれた椅子は、そこに座って共に考えてほしいという訴えだ▼この椅子こそ、貞本にも開かれた、表現者としてあまりに狭量な偏見に凝り固まった自分を反省する機会だろう。
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