第3滑走路造るな 「基本計画」無視を弾劾

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週刊『三里塚』02頁(1024号02面01)(2019/09/23)


第3滑走路造るな
 「基本計画」無視を弾劾

(写真 内野俊夫裁判長)


 9月6日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。
 この裁判では、被告の国とNAAに対し、B滑走路の2500㍍への延長、第3誘導路建設という二つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、B滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めている。
 冒頭から弁護団は、「新東京国際空港」として定められた当初の「基本計画」から、現在の成田空港が著しく逸脱していることを強く批判した。運輸大臣から指示される、滑走路の数・配置・長さ、空港の敷地面積、運用時間などを骨子とする基本計画を、空港公団は厳格に遵守しなければならない。それは公団からNAA(株式会社)に組織変更されても、その施設・業務、権利・義務など一切を承継した以上、NAAがそれを守ることは当然だ。ところが、現実はどうか。B滑走路は計画よりも短い2180㍍の暫定滑走路として供用開始された。その後無理やり北に延長され、1100㍍も北に移動して、当初認可とはもはやまったく別物の施設になっている。
 東峰の森を破壊して造られた東側誘導路、市東さんの家と畑を空港敷地に囲い込む第3誘導路も、基本計画に存在せず、その時々の思いつきで建設された。
 そして今また「空港機能強化策」として、新たな第3滑走路(3500㍍)の建設、B滑走路のさらなる北延伸(3500㍍化)によって空港敷地を1千㌶も拡張(2倍化)するという、途轍もない大工事が基本計画の変更なしで進められようとしている。
 基本計画は住民の権利を守るための基準であり、これを踏みにじって、好き放題にデタラメな空港建設を進めるのは、地域住民の人権を侵害するものであり、絶対に許されない!
 ここで弁護団が被告側に基本計画についての認識をあらためて質すと、国の代理人は「基本計画の撤回や変更はされていない」と答えた。つまり「基本計画無視の工事などいくらやってもかまわない」という居直りだ。傍聴席から怒りの声が殺到した。
 弁護団はさらに、NAAが空港周辺住民を対象に行った「騒音健康影響調査」について、調査委員会の報告書などの提出には応じながら、同委員会の議事録の提出を拒んでいることを批判し、全面的開示を求めた。
 またNAAが「欧州夜間騒音ガイドライン」を騒音被害の基準として採用することを拒否し、住民の健康被害を小さく描こうとしていることを、弁護団は強く弾劾した。
 次回期日を12月3日、次々回を3月10日と確認して閉廷。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
 葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷を振り返り、守るべき「憲法」に値する基本計画をないがしろにして、違法な工事を進める成田空港の実態をあらためて指摘し批判した。
 動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、10・13三里塚全国集会への大結集と、前日に千葉市中央公園で開かれる10・12オスプレイ配備反対集会への参加を訴えた。

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