明日も耕す 農業問題の今 ゲノム編集食品が店頭に 問題続く日米貿易協定

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週刊『三里塚』02頁(1029号02面04)(2019/12/09)


明日も耕す 農業問題の今
 ゲノム編集食品が店頭に
 問題続く日米貿易協定


 前2回の小欄で、新潟大学農学部助教・伊藤亮司さんのお話から安倍農政との対決を論じてきたが、日米貿易協定は拙速で国会審議され、承認が強行されようとしている。労働者と農民の団結した闘いは待ったなしだ。

 11月9日に「市東さんの農地取り上げに反対する会」が開いたシンポジウムで、発言に立った全国農民会議共同代表の小川浩さんは、日本農業のリアルな危機的現状を切々と語った。
 「私の集落の50戸の中で専業農家は3戸。そのうち1戸は廃業寸前です。手間賃にもならない、続けられないと、どんどんやめています」「2012年からの安倍農政のもとで、農業人口が76万人くらい減っている。残っている人の農業収入も3割くらい減っている。産直や規模拡大をやっても厳しい」
 こうした危機を急加速させるように、安倍政権は日米貿易協定を何としても発効させようと、拙速審議で12月9日の臨時国会会期末までに承認を強行しようとしている。大事なことは日米貿易協定はこれで終わりではないということだ。

安全を売り渡し

 4カ月後には発効後の追加交渉、すなわち非関税障壁を含む市場開放など包括的交渉が待ち受けている。アメリカ通商代表部代表のライトハイザーは、「来年5月にも完全な自由貿易協定(FTA)を議論したい」と述べている。農業だけではないさまざまな分野に影響を及ぼす大問題だが、農業の面に限ってもゲノム編集食品や残留農薬など、食の安全に関わることが議題となると言われている。
 注視すべきは、安倍政権が国内の受け入れ体制を先んじて整えて待っていることだ。
 ゲノム編集食品に絞るなら、厚生労働省は10月からゲノム編集食品を安全性審査なしの任意の届け出だけで販売できる制度を拙速にスタートさせ、続いて消費者庁も表示不要を発表した。
 さらに農水省は、ゲノム編集を「有機JAS」でどう扱うかの検討を始め、9月30日にはその「検討会」が開かれた。
 アメリカで流通するゲノム編集食品は非遺伝子組み換えとして販売されているという。これらが米国で有機認証され、日本の有機基準と同等と判断されれば、有機JAS表示で流通することになりかねないのだ。

今こそ労農連帯

 小川浩さんは、発言の最後に訴えた。
 「TPPやEPA、日米FTAに加えてブラジルや南米との自由貿易。これ以上輸入が増えたら日本の農業はどうなるのか」「ただ農産物が入るだけではなく、食品の安全性が脅かされる。命に関わる労働者の問題でもある。農民会議も労農連帯で闘う」
 おごって腐りきった姿をさらけ出す安倍政権を、今こそ労働者・農民の力で倒そう。
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