大地の響き 投稿コーナー

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週刊『三里塚』02頁(1030号02面08)(2020/01/01)


大地の響き 投稿コーナー

(写真 いも煮会の最後に団結ガンバローを三唱し、この地を守り抜く決意を新たにした)

間近の飛行機に驚き
 首都圏学生 高田 良

 私は三里塚現地に初めて訪ね、12月14日に行われた三里塚現地闘争とその後に行われた団結いも煮会に参加しました。
 『前進』や『週刊三里塚』でも見たことがある市東さんの南台の農地を出発してデモ行進をした後、天神峰の市東さん宅でいも煮や焼きそば等、三里塚の農地でできた野菜を使った料理を頂きました。秋の二度の台風災害にも負けずに立派に育ったネギが入ったいも煮は、外の寒さも加わってとても美味しく、市東さんをはじめ三里塚の皆さんの農業にかける誇りが伝わってきた気がしました。
 初めて三里塚を訪れて驚いたのが、農地と飛行場の距離がとても近いことです。デモやいも煮会の最中、ごう音を立てながら飛行機がまじまじと見える距離でひっきりなしに発着していくのです。現在、飛行時間の延長が成田空港や羽田でも策動されていますが、騒音が周辺住民の睡眠を妨害し、健康を蝕(むしば)むことは間違いありません。
 成田、羽田の飛行時間延長や自民党安倍政権の改憲の目指すものは戦争です。あのような素晴らしい野菜を作る農地を戦争のための道具にしてはならないと思います。2020年も共に頑張っていきましょう!

全身で三里塚を体感
 首都圏学生 早乙女存男

 三里塚を訪れたのは初めてでしたが、反対同盟の運動に携わっている皆さんの熱い訴えを聞き、いも煮や焼きそばなどをご馳走になり、とても充実した時間を過ごすことができました。
 『週刊三里塚』と題された新聞を今年初めて見た時、これは一体どういうことだろうと驚いたのを記憶しています。政府が一方的に決定した成田への空港建設とそれを目的とした農地収奪に反対する農民・学生・市民の闘争が、昭和40年代に学生運動と共に激しく燃え上がったことはどこかで聞きかじって知識として知っていました。しかし、今もそれが続いているなどとは思ってもみませんでした。三里塚闘争は既に過去の歴史的な事実と化しており、現在の成田の地にあるのは空港で規則正しく繰り返される飛行機の発着のサイクルのみだと思っていました。
 それから三里塚の現状について調べるようになり、三里塚闘争は終わっていないどころか、国家権力が農地という財産を強奪し、騒音をまき散らして生存権を侵害し、そして何よりも農地を受け継ぎ耕し続けてきた農民たちの思いを何とも思わずに自分たちの利益のために踏みにじる状況が50年前と何も変わっていないことを知りました。当初の驚きは次第に怒りへと変わっていきました。
 しかし、今回訪れてみて実感できた三里塚闘争の歴史の重みや現在進行形で続く闘いの熱気は、本や新聞の情報からは決して得ることのできないものだったと思います。市東さんの農地で育てた野菜の味や、解放派や共産同の人たちの姿、星野文昭さんの分骨が行われた「星の木」、真横の滑走路から聞こえる飛行機の轟音など、全身で「三里塚とは何か」を体感できた一日でした。

かけがえのない農地
 首都圏学生 乾川のん

 への字誘導路に囲まれた畑は、大きな畑ではありませんが、しかし市東さんが何十年も耕し続けてきた大切な生活基盤です。国家権力に強奪を狙われているその畑に、全国から多くの学生・労働者が結集しました。初めて見かける方も多く、幅広い関心を集めていることがわかります。
 デモはここから市東さん宅へ向けて行われました。元々この畑と市東さん宅は成田市の市道でまっすぐ結ばれていましたが、市が勝手に「廃道」にし用地を空港公団に「売却」してしまったため、市東さんは毎日、デモが出来てしまうほどの遠回りを強いられています。これも空港による生活破壊であり、断じて許せません。その怒りを込めて、デモをやりぬきました。
 デモのあとの集会では、団結いも煮会と称して、市東さんの畑で採れた野菜が豚汁や焼きいもなどの形で振る舞われました。どれもたいへんおいしく、妨害をうけつつもこうして収穫ができたことは、市東さんの固い決意と、反対同盟が50年以上闘い続けてきたことの成果だと思います。
 畑は、土の硬さ、水はけ、微生物の組成など、さらには日当たりや降水量、風の吹き方も100枚あったら100枚とも違います。仮に今ある畑を空港公団に売って「補償」金を受け取ったとしても、同じ畑を手に入れることは出来ないし、新しい畑を改良したり、それにあった新しい育て方を研究したりするためにはまた何十年もかかってしまうでしょう。
農地を単なる交換価値として扱う政府や空港公団、裁判所の態度は、こうした農民の蓄積を全く無視したものです。反対同盟を支援している学生・労働者はみなそのことを分かっています。
 農民のいのちである農地を強奪し続けてきた政府を許さないという決意を新たにし、来年1年間もこうして農民と連帯し闘うのだと自分の中で確認できた一日でした。

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