強制執行阻止、農地死守、安倍政権打倒へ 3・25―27東京高裁包囲を

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週刊『三里塚』02頁(1033号01面01)(2020/02/10)


強制執行阻止、農地死守、安倍政権打倒へ
 3・25―27東京高裁包囲を

新やぐら裁判
 「空港廃港まで闘う」
 市東さんはじめ反対同盟が証言

(内田博久裁判長)

 2月2日、安倍政権は海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」を「調査・研究」のためと称して軍事的緊張の高まる中東海域への派兵を強行した。国家安全保障会議の状況判断次第で、「海上警備行動」から兵員や物資の輸送などの「後方支援活動」、さらには武器使用を含む「集団的自衛権の行使」へと突き進むことが可能となる。一線を越えた踏み込みであり絶対に許すことはできない。三里塚芝山連合空港反対同盟は、改憲阻止・安倍打倒の先頭に立つ気概で「農地死守・軍事空港反対」を貫いている。3・25―27請求異議控訴審で東京高裁を包囲し、3・29全国集会へ。
 1月22日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で、新やぐら裁判が開かれた。
 この裁判は市東孝雄さんの天神峰農地に建つ反対同盟所有のヤグラ・看板などの4つの物件について、成田空港会社(NAA)が「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したもの。
 今回は午前から夕方まで4人が証言に立った。

◎萩原富夫証人

 最初の証言は萩原富夫さん。萩原さんは反対同盟の代表者として証言に立ち、反対同盟の目下の第一の課題は市東さんの農地を守ることだと明言した。そして看板、やぐらを立てた経緯を話し、周りが全部空港という市東さんの置かれている生活状況を踏まえて「市東さんや同盟の意思表示であり、市東さんの厳しい立場や断固反対の思い、闘っていることを示す絶対に大事なものだ」と語った。
 さらに、「市東さんと共同で産直をやっている。対象農地は2軒あわせた農地の3分の1で強制執行がなされたら大きな影響がある」と関係の深さを示した上で、消費者との相互交流、相互理解の上に成り立つ産直の意義を明らかにした。
 「日本の農業は危機的状況にあると思う。産直は今後農民が生きていく最善の道だと思っている」「自然や農業を大切にしなければならない時代に、空港の利益を優先して自然や地域を破壊するのは間違っている」と喝破した。
 最後に「同盟所有の看板の撤去を求める前に、本当にNAAが(土地の)所有者なのか、市東さんに断りもなく売買できるのか。裁判所は農地法の精神を無視するな。明け渡せなんておかしい。余計な忖度はするな」と強調した。

◎市東孝雄証人

 午後の最初に市東さんが証言に立った。
 まず、やぐらや看板について「反対同盟のもので、私と同盟で相談して建てるようにした」「飛行機から乗客、機長に見てもらえるように書いた(大看板)」と説明し、いつまで設置するのかについて「決まっていない。横暴な空港建設が続く限り、空港廃港まで置きたい」と語った。
 また天神峰農地の東側に建てられたやぐら(監視台)について、飛行機からのジェットブラストによる排ガスを監視して調べるためであること、監視用に設置した紙片が2日で変色するほどジェットブラストがひどいことを明らかにした。
 2棟の育苗ハウスやトラクター・機械置き場、作業場、離れなど、天神峰はなくてはならない場所であり、取られたら農業を続けられない、うわ土を持っていって他でやればいいという話などではないと強調した。
 NAAに対しては「底地を買って15年も隠していた。それがすべての始まりで、今も文書提出命令にも応じない、不誠実だ」「住民無視は50年間最初から変わっていない。空港との共存共栄と言うが空港オンリーの考え方だ」と弾劾した。
 最後に「口で言ってもダメだから態度で示す。それが看板、やぐらであり、必要だと思っている。これからも天神峰、南台で誇りを持って農業を続け、体の続く限り消費者に安全、安心の野菜を届けていきたい」と決意を明らかにした。

◎太郎良陽一証人

 同盟の最後に太郎良陽一さんが証言台に立った。太郎良さんは、三里塚闘争支援に加わったきっかけを「農民のエネルギーへの共感と権力の弾圧に怒り」として語った。そして地元農家と結婚して反対同盟員になり、その後自らが住んでいた家屋にかけられた強制執行について、怒りを込めて詳述した。
 やぐらの必要性について「ジェットブラストは今も続いている。そばで飛行機の脱輪事故も起こしている。この地を守る監視場所は必要」と語った。そして、決戦本部長の立場から三里塚の喫緊の課題を「市東さんの農地を守ること」と言い切り、やぐらを撤去しようというNAAのやり方について「まず底地買収の問題を絶対に明らかにせよ」と弾劾した。
 最後に「敵性証人は必要だ。双方から聞くことが絶対に必要だ。同盟は信念をもってやってきた。小手先で判断するな」と迫り、「どんなことをやられても同盟は負けない」と表明した。
 最後に法律事務所職員の元永修二さんが立った。元永さんは、1988年当時三里塚現地にいて、反対同盟の法対部(裁判事務局)を支えていた立場から、市東東市さんの地代支払いに何度も立ち会った経験など、当時の状況を克明に証言した。そして「公共事業において、先買いなどしたことないはずだ」と小作契約をそのままにして農地の底地を買収した行為を弾劾した。

3・29大結集を

 すべての証言が終わったのが午後4時47分。だがここから激しい攻防の火ぶたを切った。
 弁護団は「意見書の2」を提出し、敵性証人を一切調べようとしない内田裁判長に対して、「浅子直樹証人だけは絶対に調べよ」と迫った。
 弁護団は「敵性証人の必要性に関する意見書」の中で、①法理哲二(元空港公団用地部用地課長代理)、②浅子直樹(元公団用地部長)、③黒野匡彦(元空港公団総裁)の3人の証人調べが絶対に必要であることを述べているが、中でも浅子は買収当時用地部の要職にあったことが推察される人物で、用地交渉の具体的中身や空港公団の方針を知るキーマンだ。
 ところが内田裁判長は、「それなら他の証人については申請を撤回するのか」とふざけたことを言いなし、法廷内の怒りは一気に爆発した。
 原告NAAは、「事実関係には原告・被告の間で争いがないから(浅子)証人は必要ない」などと従来の主張を繰り返した。市東さんに黙っての売買も、地代のだまし取りも事実として認め、あとは裁判長におまかせというわけだ。
 顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士は「この種の裁判で敵性証人を調べないことなどない。農地法裁判の一審でもやった。当時の担当者の話が必要だ。是が非でもやるべきだ」と迫った。
 弁護団の追及の前に内田裁判長は証人採用しない理由も言えなくなり、NAA側は「従前通り」を繰り返した。法廷内の怒りは頂点に達し、萩原さんは「浅子を呼べばいいだけのことじゃないか」と声を荒げ、市東さんもNAA代理人の不誠実な態度に怒りをあらわにした。
 時刻は午後5時58分。時計を眺めていた内田裁判長は、むりやり議論を打ち切り、怒号の中で弱々しく閉廷を宣言した。
 閉廷後に傍聴者は裁判所ロビーで総括を行い、3・29全国集会への大結集を誓いあった。 

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