コロナショックが成田空港の虚栄を直撃 運休、減便、利用客激減 第3滑走路計画の土台が崩壊

週刊『三里塚』02頁(1035号02面01)(2020/03/09)


コロナショックが成田空港の虚栄を直撃
 運休、減便、利用客激減
 第3滑走路計画の土台が崩壊

(写真 新型コロナウイルスの感染拡大に注意を促す成田空港検疫所の職員)


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って成田空港を使用する航空会社の運休・減便が拡大し続けている。新型コロナショックとも言うべき打撃が成田空港会社(NAA)を襲い、安倍の掲げる観光立国の破産も同時に突き出されている。
 2月1〜22日の間に、成田空港から中国に出国した旅客数は前年同月比で約67%減となった。また、空港内の免税店や飲食店など店舗の売上げ高も前年同月比で約36%減と落ち込んでいる。3月1日現在の主要な運休・減便は次の表の通りだが、さらに航空需要の縮小はとめどなく拡大しつつある。
 田村明比古NAA社長は定例記者会見で、「重症急性呼吸器症候群(SARS)は事態の発生から元に戻るまでに9カ月かかった」「経営的に非常に打撃。この事態がある程度長い期間続くことも覚悟しておかなくてはならない。今は堪えるしかない」と、新型コロナウイルスによってSARSを上回る大ダメージを被ったことを隠すことができなかった。
 田村社長がどのように対応しても、新型コロナショックによるNAAの経営危機と空港機能拡張政策の根本的な破綻は不可避である。SARSの最盛月の成田空港の国際線乗降客減少は28%だが、その時ですら運休は、JALが需要減で中国3路線、ANAが台北線だけであった。今回との対比を見れば、利用客の減少、NAAの減収は火を見るより明らかだ。
 そもそも3月末からの夏季ダイヤでは羽田空港国際線増枠の影響で、成田の国際線は週当たり約250便減る。羽田に振り替えられる便数が203便だが、「成田縛り」の見直しにより日米欧の航空会社の41便が減少する。現在、年間発着回数が27万回にも達しない中、減便を補う政策であったLCC誘致は、新型コロナショックにより破産した。「2020年に30万回化、さらに2030年以降に50万回化、そのために第3滑走路建設」という計画そのものが土台から崩壊した。
 田村NAA社長は、第3滑走路計画の破産が迫っているがゆえに、絶望的にあがいている。「第4ターミナルをどこにどうするか、貨物地区再編のタイミング、さらにはアクセス整備について、早急に検討する必要がある」などと強弁している。
 しかし、滑走路部以外のこれら建設資金8000億円の調達など絶対に不可能だ。航空需要予測のでたらめが明白になる前に、やみくもに事業突進することで後戻りをできなくさせる官僚の詐欺手法だ。
 第3滑走路建設の反人民性は明らかだ。空港周辺住民の犠牲を強制する空港機能拡張策を粉砕しよう。

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