第3滑走路計画はもう白紙撤回以外ない 市東さんの農地を守りぬこう コロナ無視し「機能強化進める」 田村NAA社長が暴言

週刊『三里塚』02頁(1040号01面01)(2020/05/25)


第3滑走路計画はもう白紙撤回以外ない
 市東さんの農地を守りぬこう
 コロナ無視し「機能強化進める」
 田村NAA社長が暴言

(写真 欠航・減便が相次ぎ閑散とする成田国際空港ロビー)

(写真 田村明比古社長)


 数々の疑獄事件を引き起こし、自らの逮捕の恐怖に震える安倍は卑劣にも検察庁法改悪を企てたが、人民の怒りの激しさに追いつめられ今国会での成立を断念した。しかし、あくまで辺野古新基地建設やオスプレイ配備・ミサイル配備などをコロナ情勢下で推し進め、戦争への道を掃き清めようとしている。安倍を監獄に叩き込むべきときは今だ。5・15沖縄闘争が闘われ、各地で連帯行動が打ち抜かれている。改憲・戦争と一体の成田空港の機能強化=第3滑走路建設を粉砕し、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんの農地を守りぬこう!
 4月28日、成田空港会社(NAA)の田村明比古社長は定例記者会見で、4月1日〜25日までの成田空港運用状況を説明し、出国旅客数は前年同期比98・3%減、国際線発着回数は85・1%減の「かなり厳しい状況になってきている」と述べ、現状を「最大の危機」と吐露した。
 しかし、田村は成田空港機能強化について「今回の『新型肺炎』による危機と分けて考えている。機能強化は中長期的に必要な施策であるため、計画に影響させることは考えていない」と強弁した。あくまでも第3滑走路建設に突き進もうとしている。
 現在NAAの収入は約9割減、本来であれば倒産が不可避となるところだ。それに対して田村は「資金調達も協力が得られている。NAAが『すぐに倒れる』ことはない」と言っている。つまり、「どんなに赤字になろうと国が補填(ほてん)してくれる、LCC(格安航空会社)拡大は国策だ、後は国が面倒を見る」と官僚的ごまかしと責任転嫁で機能強化策に突っ走っているのだ。
 しかし、新型肺炎はすぐに収束することはないし、たとえ数年後に収束したとしても航空需要の「V字回復」は不可能だ。IATA(国際航空運送協会)は、5月13日に国際線航空便が去年の水準まで回復するのは4年後の2024年以降になるとの見通しを示した。これは、航空便の利用者への調査にもとづくものだ。来年の航空便への需要は、去年の水準と比べ今後24%下回るとしたうえで、去年の水準まで需要が回復するのは国内線で22年、国際線については24年とした。その理由についてアンケートの58%が「収束後、最初の旅行先を国内にとどめる」と答え、69%が「外国に入国したあとに隔離が必要な旅行を考えない」と回答したことをあげている。国外旅行での感染や隔離措置への不安などが契機となり、すべての人民がこれまでの意識を断絶するほどの転換をしている。新型肺炎は、新自由主義の作り出したグローバリゼーションによる安易な海外渡航とりわけ観光拡大路線の息の根を止めた。

成田は回復不能の危機に

 航空業界ではコロナが収束したとしても「国際線の需要は2年は落ち込んだまま」「そもそも需要自体が元の水準には戻らない」といった声(4月28日、日本経済新聞 電子版)があったが、IATAの発表はこれを公的に裏付けた。しかしこの航空需要の減退予測ですら、コロナによる直接的な影響の観点だけであり、世界大恐慌の深化=GDPの減少・世界市場の分断と縮小の経済的影響を含んでいない。
 成田空港内は3月下旬からほとんど人がいない状態だ。NAA「成田国際空港フライト情報」によるとゴールデンウィーク中でも一日当たり60便程度で、年間換算では2万1900回にすぎない。法務省の出入国管理統計によると、3月の新規入国者数は前年同月比94%減の15万2162人に落ち込んでいる。
 安倍政権は、訪日外国人旅行者数を20年に4000万人、30年に6000万人という目標を掲げ、そのテコに東京五輪を位置付けてきたが、現に起きていることはインバウンド政策の破産だ。
 成長戦略の軸であるアジアゲートウェイ構想の中で、インバウンド拡大をけん引し、アジアへの帝国主義的影響力を拡大する拠点として首都圏空港の拡大強化が図られてきた。アジアゲートウェイ構想は、バブル崩壊以降の長期停滞を抜け出すために日帝の経済政策として進められてきた。帝国主義の屋台骨である航空産業にテコ入れをし、アジア市場をめぐる争闘戦政策としてあった。

安倍の航空政策が大破産

 羽田に国際空港の地位を奪われた成田はLCC誘致に活路を見出し、安倍インバウンド政策のお先棒を担いできた。NAAと航空会社は、インバウンドの右肩上がりを前提に積極的にアジア路線(特に地方空港)を開拓した。それだけに新型肺炎の影響を根底的に受けることになった。
 NAAと航空会社の経営危機の張本人は、アベノミクスとその推進者として国交省の航空局長からNAA社長に就任した田村だ。その田村が「資金調達も得られる」と政府の支援(税金だ!)を湯水のごとく使って第3滑走路を建設すると宣言している。絶対に許すことはできない。
 また、資本は危機を深めれば深めるほど労働者や住民を犠牲にして、生き延びようとする。ANAの一時帰休、一時金引き下げをはじめ航空労働者の賃下げ・解雇攻撃を許してはならない。IATAは全世界の航空関連労働者2500万の38%が解雇されると予測している。全世界の解雇撤回闘争と一体のものとして空港建設(機能強化)の反動性を暴き、今こそ「空港絶対反対」の旗の下、第3滑走路建設計画を粉砕しよう。

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