東峰地区住民が要望書 市東さんの農地奪ってはならない

週刊『三里塚』02頁(1053号01面02)(2020/12/14)


東峰地区住民が要望書
 市東さんの農地奪ってはならない

(写真 東峰の萩原さん宅で仲間と共に産直野菜の出荷作業に精を出す市東さん)


 成田市東峰地区の住民が隣区で同じ農業に携わる立場から、天神峰の市東さんが農業を続けられることを求める要望書を東京高裁に提出しました。以下、全文を紹介します。

請求異議控訴事件についての要望書
  2020年11月30日

東京高等裁判所第4民事部 菅野雅之裁判長御中

千葉県成田市東峰地区住民一同

 私達は、本裁判の控訴人、市東孝雄さんの隣地区に当たる東峰地区の住民です。12月17日に、その控訴審判決が言い渡されると聞きました。長い
こと空港問題に向き合い、市東さんと同じ境遇で農業に従事する者として、私達の思いを菅野雅之裁判長にお届けしたく書面を提出いたします。お忙しいとは思いますが、是非、目を通していただきたくお願い申し上げます。

 成田の空港問題は55年を経過しました。私達は人生の大半をその渦中で生きてきました。つらいこと、憤慨やるかたないこと、差別や人権侵害など多々経験しました。そして事業認定というまな板の上での生活の中、いつまでこの地で暮らし続けられるのか、不安な日々を送りました。
 そこに変化をもたらしたのは、1991年から開催された成田空港問題シンポジウム(以下、シンポジウム)でした。土地を守る側と、空港を造る側の対立関係が、どうして生まれ泥沼化したのか、その検証がシンポジウムで行われました。徹底した論議の末、力ずくで農民をねじ伏せようとした強権的な手法が、そもそもの原因であったと国側が非を認め、今後は強制的手段を用いず、話し合いによって事を運んでいくと表明しました。
 その結果、農民を縛っていた事業認定は取り下げられ、この地に残って農業を続けるか、あるいは移転するかは、個々の農民の判断に任せられることになりました。

 東峰地区の私達は有機農業に取り組み、安心、安全な食料を生産するために長年努力してきました。豊かになった農地は私達のかけがえのない財産です。残るか出るかの選択の中で、当然ながら私達は残る方を選び、現在に至っています。天神峰地区の市東さんも同じ気持ちで現在に至っていると思います。
 市東孝雄さんは、とても真面目な方です。父親である市東東市さんも曲がったことが嫌いな実直な方でした。近くで市東さん親子と接していた私達は、そのことをよく知っています。
 その市東家が100年にわたって耕してきた畑を、農地法を無視し、小作者である市東さんの同意を得ずに秘密裏に取得し、市東さんから奪い取ろうとする空港会社の手続きは、シンポジウムが到達した尊い地点から、過去の不毛な対立の場に戻す愚かな行為であると思います。

 どうか菅野裁判長におかれましては、歴史の歯車を逆行させることの無いよう、市東孝雄さんが係争地を耕し続けられますよう、賢明な御判断を下していただけますよう、切にお願いいたします。

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