東京高裁の反動判決を徹底弾劾する 農地を絶対に守りぬこう 150人が怒りの霞が関デモ 市東さん「これからも耕し闘い続ける」

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週刊『三里塚』02頁(1054号01面01)(2020/12/28)


東京高裁の反動判決を徹底弾劾する
 農地を絶対に守りぬこう
 150人が怒りの霞が関デモ
 市東さん「これからも耕し闘い続ける」

(写真 東京高裁デモの先頭に立つ市東さん【12月17日】)

(写真 菅野裁判長の反動判決を弾劾【高裁前】)

(写真 記者会見で決意を語る)

(写真 菅野雅之裁判長)


 12月17日、東京高裁第4民事部・菅野雅之裁判長は、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの請求異議裁判で、控訴を棄却し農地取り上げの強制執行を認める反動判決を下した。絶対に許すことはできない! 市東さんと反対同盟顧問弁護団は、直ちに上告して闘うことを明らかにした。1月10日、新年デモ&団結旗開きに集まろう!
 午前11時30分、日比谷公園霞門前に全国から駆けつけた労働者・農民・学生・市民150人が結集し、太郎良陽一決戦本部長の司会でデモ前の打ち合わせを行った。
 最初に東峰の萩原富夫さんがマイクを握った。「どのような判決が出ようと、私たちは絶対に市東さんの農地を守り抜く。現在成田は廃港の危機にあり、ますます私たちの闘いの意味が大きくなり、勝利が近づいている感触を持っている」
 続いて動労千葉の中村仁書記次長が連帯発言に立った。「われわれの力で市東さんの農地を死守しよう。JRでもコロナを口実とした労働者への理不尽な強制が襲いかかっている。断固ストライキで闘う」
 さらに、関西実行委、市東さんの農地を守る沖縄の会、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言を受けた上、意気高くシュプレヒコールを上げて反対同盟を先頭にデモに出発した。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんによる「市東さんの農地を奪うな」との訴えが響き、霞が関を席巻した。

「控訴棄却する」

 ものものしい警備態勢が敷かれた102号法廷は、判決を目前に緊張感で満たされた。被控訴人NAA(成田空港会社)の代理人は逃亡し空席。
 午後2時、菅野ら3人の裁判官が入廷した。菅野は、鉄面皮を装いつつ判決主文を読み上げた。「①本件控訴を棄却する。②強制執行停止決定を取り消す。③費用は控訴人の負担。④この判決で②は仮執行できる」
 即座に弾劾の声がたたきつけられた。読み終えるや否や、3人の裁判官はそそくさと逃げ出した。この間1分足らず。
 正門前に再結集し、不当判決への怒りに燃えた抗議のシュプレヒコールを裁判所に向けて何度もたたきつけた。市東さんと弁護団は直ちに最高裁に上告手続きをした。
 弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立った。「一審判決に輪をかけた不当判決でした。絶対に認めることができない。でもこれで負けたわけではない。耕作権裁判もある。天神峰でこれからも畑を耕し闘い続けるという気持ちは変わらない」
 市東さんの不動の決意に参加者全員が感動して、熱い拍手を送った。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が発言し、交付された判決全文を徹底的に弾劾した。
 全国農民会議共同代表の小川浩さんが熱を込めて訴えた。「許しがたい不当判決。関西生コン支部への弾圧と同じく、全国の労働者・農民・人民にかけられた攻撃だ。絶対に市東さんの農地を守り抜こう」
 最後に萩原富夫さんがあいさつに立ち、1月10日に新年最初の現地デモと団結旗開きを行うことを告知し、強制執行を止めるためのカンパの集中を呼びかけた。
 午後4時からは司法記者クラブで、反対同盟と弁護団による記者会見が開かれた。両者連名の「弾劾声明」を配布し(別掲)、農地強奪攻撃に対し、徹底的に闘うことを宣言した。

強制執行許すな

 菅野の「判決理由」はでたらめで、矛盾に満ちている。NAA=空港公団が「二度と強制的手段を用いない」との社会的公約を踏みにじったことを無理やり正当化するために、内容がスカスカの一審・高瀬判決に大幅な補正・補強を施している。また、新型コロナで全世界の航空需要が激減し、B滑走路を直線化することが無意味化している現状については、「将来は需要が回復」などと根拠のない楽観論を述べ立てている。そして最後に「当事者間で協議し、平穏、円滑に土地の明け渡しの実現へ最後まで努力を」などと「付言」する。冗談じゃない! 「強盗に遭ったら平穏、円滑に金品を差し出せ」と言うのか。
 労農学連帯の実力で市東さんの農地を絶対に守りぬこう。

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菅野裁判長の違法不当判決弾劾する
三里塚芝山連合空港反対同盟
三里塚芝山連合空港反対同盟顧問弁護団

 1 本日12月17日、東京高等裁判所第4民事部・菅野雅之裁判長は成田市天神峰、南台に所在する市東孝雄さんの耕作する完全無農薬有機農業、産直事業の畑7300㎡に対する明け渡し強制執行を認可するという違法・不当きわまる判決を下した。
 2 反対同盟顧問弁護団は、市東孝雄さんとともに、この違法・不当な判決を満腔の怒りをもって弾劾し、直ちにこの判決の取消、強制執行不許可を要求して最高裁判所に上告、上告受理申立を提起した。
 3 天神峰、南台の畑は、市東市太郎さん、東市さん、孝雄さんが3代100年以上にわたって耕作を続けてきたものであり、現在、市東孝雄さんは萩原富夫さんとともに完全無農薬有機農業で育てた野菜を都市の労働者、市民の家庭に届ける産直運動事業を行っている。まさに社会的に価値ある公共的事業である。この農地は、市東さんの身体の一部であり、命である。
 菅野判決は、農民市東孝雄さんの命を奪う判決に他ならない。
 4 成田国際空港株式会社は農地明け渡し強制執行の必要性、緊急性を一切明らかにすることなく、確定判決が出たので強制執行は当然のことだとうそぶくのみである。
 しかし全世界に蔓延する新型コロナウイルス禍は、成田空港をも直撃し、本件強制執行を強行するための必要性、緊急性を消滅させたのみならず、成田空港を存続の危機に直面させている。2020年のこれまでの国際便旅客数は2019年の対比でわずかに2・8%で、通過客を除くと前年の1・8%の利用者減であり、2021年3月見込みとしては、783億円の大赤字となることが発表されている。また世界的航空情勢、国際線の羽田への集中が進められているなど、コロナ禍以降も国際線の需要が従前どおりとなる見込みは全くない。成田空港自体が不要不急の長物と化そうとしている。
 本件農地と関連するB'滑走路、いわゆるB滑走路は4月12日から7月21日まで閉鎖を余儀なくされ、その後も離発着の増加はわずかにとどまっている。
 公共的社会的価値ある生命に直接結びついた完全無農薬有機農業、産直事業を破壊する理由、必要性は皆無である。
 5 しかも、1994年10月に開かれた成田空港円卓会議の隅谷調査団最終所見で、平行滑走路の用地取得に際しては、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならないなどの提案がなされ、空港公団総裁がこれを受け入れる公約を表明した。しかるに本件判決は、この公約違反の強制執行を認可した。
 さらには、本件判決は上記の状況で、農民市東さんの命である農地を取り上げることが権利濫用であることについて、農学者、経済学者、憲法学者が意見書、証言をもって立証したにもかかわらず、権利濫用の事実を認定しないという明白な事実誤認の誤りをおかした。
 6 弁護団は、市東さんの農地取り上げに反対する会、反対同盟、全国の農民、労働者、市民、学生と固く団結して、最高裁判所に裁判闘争の場を移して、この違法・不当な判決をくつがえして勝利するために全力を尽くす決意を表明する。

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