農地死守、成田を今こそ廃港に 三里塚反対同盟新春座談会 反動判決弾劾!強制執行許さぬ

週刊『三里塚』02頁(1055号01面01)(2021/01/11)


農地死守、成田を今こそ廃港に
 三里塚反対同盟新春座談会
 反動判決弾劾!強制執行許さぬ

(写真 反対同盟を先頭に東京高裁判決を迎え撃つ霞が関デモに立った【12月17日】)

(写真 現地の仲間と共に産直野菜の出荷作業に精を出す)

(写真 市東さん宅離れで2021年決戦の勝利を誓った)

出席者
市東孝雄さん 敷地内天神峰
萩原富夫さん 敷地内東峰
伊藤信晴さん 事務局員
太郎良陽一さん 事務局員
小川浩さん 全国農民会議共同代表
司会 「週刊三里塚」編集委員会

 55年の不屈の歴史を歩む三里塚芝山連合空港反対同盟と共に、請求異議控訴審反動判決を打ち砕こう。2021年、労農連帯の旗を高く掲げ、新自由主義を粉砕する階級的労働運動の大飛躍を勝ちとり、改憲・戦争の菅政権打倒、市東さんの農地死守、空港廃港へ力強く進撃しよう。コロナと大恐慌は相互促進的に強め合いながら人間社会と自然を破壊し尽くそうとしている。だが、資本主義に終止符を打つ労働者階級の荒々しい闘いが全世界で始まっている。青年・学生・女性の新たな決起は、プロレタリア革命の扉の鍵を開けた。空前の広がりをもって闘われている米BLM運動を先頭とした全世界の革命的大衆行動と連帯し、世界革命に向けて突き進もう。反対同盟と全国農民会議(判決弾劾声明別掲)との新春座談会で新年の決意を語って頂いた。

「ウソはつかない」生き方貫く 農民殺しの政策の縮図だ

(写真 市東孝雄さん)

 司会 菅野裁判長による反動判決が下されました。
 萩原 農地への強制執行は成田では二度としないと当たり前のように言ってきたのを裁判所がひっくり返すという、絶対に許せない反動判決です。しかも、コロナをきっかけに航空関係の企業の大破綻が始まり、空港廃港がリアルな課題にせりあがっているにもかかわらずです。今こそ空港はいらないと声を大にして訴え、空港機能強化はもちろん、原発政策や基地もろともぶっ止める気持ちで闘いたい。

(写真 萩原富夫さん)

 市東 国策裁判であり期待はしていませんでしたが、権力側が使いやすいように法律の解釈を変えるというひどい判決でした。三権分立はウソっぱちだとつくづく知らされました。だけどこれで終わりじゃない。最高裁、耕作権裁判、その後の闘いもみなさんと新たな方向性を模索しながら力を合わせて闘います。
 太郎良 判決文を読みましたが、結局、裁判官は資本主義社会を前提に、「経済成長のための犠牲はしょうがない」という考えにどっぷりはまって抜け出せない。だけど、三里塚闘争は「空港を造って金もうけして幸せになる」という考えや生き方とは違うものを最初から貫いてきたんです。アメリカや東京という経済の中心でコロナの感染が拡大しています。他方で、分断に抗して農村みんなで土を大事にして安全な食べ物を生産し、生活を大事にして生きていくという三里塚が築いてきた闘いの重要性はより鮮明になったと感じます。三里塚は政治闘争、反権力闘争がすごいだけじゃないと改めて知らされました。
 伊藤 おっ母を先頭に杭に体を縛り付け体を張って強制執行攻撃を粉砕してきた歴史があるにもかかわらず、再び農地を奪っていいという判決は周辺住民の常識から言ってもありえません。だけど、最高裁で判決が確定しようが、請求異議控訴審で判決が下されようが、全人民の怒りと運動の力で押し返して、農地への強制執行を阻んでいるのは偉大なことです。
 萩原 全国から要望書など多くの声が寄せられ、裁判官は判決の最後の付言で「平穏、円滑に」なんて書かざるを得えなかった。
 市東 だけどNAAはまったく無視するんですよ。成田市の農業委員会も「あくまで話し合いで」と付帯文を付けたんです。千葉県の農業会議はひどいよね。「1億8千万円の離作補償で十分だ」とまで言った。
 萩原 金が払われるからいいんだと。
 市東 あくまで仕事をやめて、そこを離れるためのものだからね。こっちは、ここで耕し続けたいと言っている。そういう点でも、単に空港反対というだけでなく、労働者と共に国家権力を倒すにはどうするかと考え、闘わないといけない。
 小川 半世紀以上も三里塚が反権力闘争を続けてきた闘いの大きさや影響力を考えて、最初から反動判決ありきで、後から言い訳、こじつけを考えたという気がします。判決の中で市東さんの有機農業について「深甚な敬意を表する」と認めたようなことを言って、その上で「空港に差し出せ」というのは、空港を最初に持ってきたときと同じ農民蔑視が貫かれています。これは、経済発展のためと農家から収奪し、競争させ、自己責任で勝ち残れという今の農民殺しの政策の縮図です。市東さんだけの問題ではありません。どういう立場であろうが全国の農民が、市東さんの命の農地を取り上げることだけは絶対に許さないという運動をつくらなきゃいけない。その中に農民が生きる展望がある。

航空需要回復はありえず

(写真 伊藤信晴さん)

 司会 昨年はコロナ情勢でこれまでとは違った1年になりました。
 市東 B滑走路が3カ月止まって騒音が消え、鳥のさえずりやさわやかな風を感じ、やっぱり人間は自然の中で生きるのが本来のあり方だと実感しました。特に夏は農作業に集中でき農家的には充実した1年でした。
 萩原 裁判が延期になって落ち着いて仕事に集中できたけど、裁判が入り出すと作業がいろいろ遅れちゃったね。
 市東 裁判は平日だし、なぜか天気がいいときが多いんだよね。
 司会 機能強化をめぐってはどうですか。
 伊藤 右肩上がりの需要予測が崩壊する中で、周辺住民も機能強化の撤回を求めて声を上げています。NAAの側は予算もついているし、中長期的な観点で見れば回復するとか言うんだけど、住民の側は、じゃあ需要が伸びる根拠を示せ、説明できないなら税金を使ってやるなんて許されないと攻めています。空港一辺倒のあり方を改めるべきと声が上がり始めたのは大きいですね。
 太郎良 東峰部落が住民一同の声として市東さんの農地取り上げ反対の要望書を裁判所に届けました。国とNAAの分断攻撃に抗し、地域の一人への攻撃を許さないと声が上がったことは大きな意味があります。
 萩原 需要が今後も伸び続ける保証は何もないわけだよね。裁判所は無視したけど、航空関係の人ですら認めざるを得なくなっている。空港から金をひっぱってくることだけを考えてきた相川勝重芝山町長のやり方はもう通用しない。
 市東 住むところもなくし、農業も破壊して何が共生共栄なのか。人口だって減っている。豊かな北総台地をもっと活用するとかそういう考えは全くないんですよ。

(写真 太郎良陽一さん)

 太郎良 成田市は空港にいっぱいお金をもらって国際医療福祉大学の誘致だとか市場の移設だとかをやってきた。だけど、コロナ危機で今あたふたし始めている。
 伊藤 ホテルとかの税収が減ってどうなるんだろうと心配する声も。
 太郎良 だいたい、観光立国自身が間違いだよ。人の金をあてにする浮き草的な政策でしょ。株でもうけようというのと似ている。みんなで生産して共同で生きるというのが目指すべき社会のあり様だと思います。
 小川 「GoTo」だって、旅行者に半分お金が戻るというが、大手旅行会社とか高級ホテルがもうかっているだけ。自民党の二階俊博が全国旅行業協会のトップで結局利権が絡んでいる。
 伊藤 そんなのは、つぶさなきゃいけない。

完全無農薬・有機農業続け

(写真 小川浩さん)

 市東 そもそも機能強化の前提もあくまで発着回数が50万回に増えるからということだったけど、2019年だって27万回に満たないんだよね。
 萩原 今、発着回数が回復しつつあるなんて言っているけど、客は乗っていない。
 太郎良 発着回数は昨年の半分で、旅客数は全体で89%減、国際線だと95%も減っています。
 萩原 1月12日からは成田空港の中にハローワーク、相談所、紹介所をつくるという段階にまできている。みんな仕事がなくて他の業種にいくしかないという状況。需要を元に戻すことは無理ですよ。
 司会 しかし、判決で菅野裁判長は回復すると言い、政府はオリンピックをあくまでやろうとしています。
 萩原 できないよ。
 太郎良 やらしちゃいけないでしょ。
 小川 そもそも選手自体来るかどうか。感染力が強くなったと言われる変異種が日本で出てる。
 市東 五輪キャンペーンがやられているけど、実際問題コロナが収束する保証は何もない。そんな金があるなら医療に回せばいい。医療労働者のボーナスはカットで国会議員は全額支給なんておかしい。だけど議員で返納する人はいません。
 司会 昨年は、種子法の廃止に続いて種苗法の改悪がありました。
 小川 海外への流出を防ぐと政府は言いますが、それなら特許権を登録すればすむ話です。これまで公的な機関でつくってきた種子や種苗を企業に売り渡すものです。農家の自家増殖を基本的に禁止して使用料を払えと。企業は遺伝子を組み換えたGM種と肥料、農薬の3点セットを農家に売りつけ、収穫したものもすべて企業が買い取るかたちで農業を完全に支配しようとしています。
 伊藤 芝山町では高齢化・担い手不足の解決策として「中心経営体」へと農地を集積する「人・農地プラン」というのが出されていますが、それも同じ目的ですね。
 司会 完全無農薬・有機農業の重要性はますます鮮明です。裁判所もその意義は否定できませんでした。
 市東 だけど判決は詭弁(きべん)なんです。農業の意義を認めるなら取り上げてはならないとなるはず。農民としては逆に侮辱されたと感じています。萩原進さん(反対同盟事務局次長)は「子どもを育てるように野菜の面倒を見る」とよく言っていました。農薬かけてきれいな商品にして、もうかればいいという農業とは違うんです。
 小川 農家も使いたくて使っているんじゃない。ちょっとでも形が悪いと安く買い叩かれる。だから、自分の食べる野菜は無農薬という農家も多いんです。

闘って勝てる情勢が来た

 司会 最後に21年の決意をお願いします。
 市東 法廷の中でも述べましたが「ウソはつかない」という真正直な生き方を貫きながら、今後も空港廃港まで畑を耕しながら闘う2021年にしたいと思います。
 萩原 空港会社・国家権力と闘って勝てる情勢がきています。最高裁で必ず勝ちましょう。署名やカンパへのご協力をよろしくお願いします。
 伊藤 周辺住民が機能強化反対・騒音反対で新たな闘いをはじめています。市東さんの農地を守る闘いも根っこは一つ。住民一人一人の生活を守り切るために全力で闘います。
 太郎良 大木よねばあちゃんへの強制執行攻撃から50年、繰り返してはならない。全国の闘いで市東さんの農地を絶対に奪わせない闘いを広げましょう。ぜひ現地に来て一緒に闘いましょう。
 小川 市東さんの闘いは農民が生きるための方向性を示しています。農民は減っていますが、農業も農民も絶対になくなることはありません。三里塚で実践されてきた労農連帯を深め、新たな社会の建設に向け、全国の農民に訴え、農民の闘いをつくっていきたい。
 司会 どうもありがとうございました。

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