米ユナイテッドB777が離陸後エンジン炎上 住宅地に巨大落下物 命と生活脅かす重大航空事故

週刊『三里塚』02頁(1059号02面01)(2021/03/08)


米ユナイテッドB777が離陸後エンジン炎上
 住宅地に巨大落下物
 命と生活脅かす重大航空事故

(写真 民家の軒先に落下したエンジンの一部)

(写真   ボーイング777)


 2月20日、米コロラド州・デンバー発ハワイ・ホノルル行きのユナイテッド航空の旅客機(米ボーイングの大型機「777」)が離陸直後に右翼エンジンが炎上し、一部の部品が住宅地に落下する大事故を起こした。
 この事故は、エンジンの前方に配置されたチタン製ファンブレード(羽根)の金属疲労による破損が原因だ。エンジンは、プラット&ホイットニー(P&W)製「PW4000」。ボーイングによると、P&W製エンジンを搭載した「777―200型」機は米、韓、日の航空会社で計128機を所有している。
 ユナイテッドと日本航空(13機使用)、全日本空輸(19機使用)、韓国の大韓航空などは対象機の運航を停止し、他の機材に切り替えた。
 すでに日本では、20年12月、同型機で同系列のエンジンを搭載した那覇発羽田行きの日本航空904便が出発直後に左側エンジンの不具合で、那覇空港に引き返していた。やはりファンブレード(羽根)2枚が大きく破損していた。
 P&W製の同系統のエンジンは、欧州エアバス機やボーイングの他の貨物機などにも広く採用されている。オランダでは20日、同エンジンが搭載されたボーイングの「747」貨物機のエンジン部品が落下し、女性がけがを負う事故が起きた。
 今回の事故は、住宅地の庭先に大型のエンジン部品が落下するなど空港周辺の落下物の危険性を再認識させた。破片は、空港から東へ50㌔ほど離れたデンバー郊外ブルームフィールドの2つの地区に広範囲に落下した。公園や芝生の上、民家の屋根や庭などに機体の破片が次々と落下するという非常に危険な状態だったのだ。

「雨のように」

 BBCニュースは、次のような地元住民の声を報じている。「頭上を飛んでいくのを見て、大きな爆発音が聞こえたので見上げると、空に黒煙が出ていた」「破片が雨のように降ってきた。その時はふわふわと降りてきているみたいで、あまり重くなさそうだったが、あらためて見てみると、あちこちに巨大な金属片が落ちている」
 ある住民は、ちょうど台所で娘のためにサンドイッチを作っていた最中だった。そこに爆音とともに、機体の破片が屋根に突き刺さったのだ。
 ブルームフィールド警察は、「けが人が出なかったことは、まさに奇跡」と驚きを口にしたとのことだ。

氷山の一角だ

 日本におけるエンジンブレードの金属疲労による部品落下は、18年5月24日の日本航空のボーイング767―300型機エンジン部品の飛散事故が思い出される。同機が熊本空港を離陸し上昇中、左側エンジンに不具合が発生。当該エンジンから飛散したとみられる金属片によって熊本県上益城郡益城町内における車両や建物の窓ガラスが損傷した。
 国交省の調査では、落下物の08〜19年度の発生件数は24件だ。うち、成田空港周辺では22件(部品17件、氷塊5件)、関西空港周辺では1件(部品)、熊本空港周辺では1件(部品)、羽田空港周辺では0件となっている。しかしこれは、飛行機からの落下物と特定されたものにすぎない。到着後の点検において確認された場合は、部品欠落とされていて、統計上は落下物には入らない。部品欠落は、19年度に報告されたもので928個だ。これだけの多数の部品が、運転中に欠落=落失しているのだ。
 今回の事故は氷山の一角に過ぎない。空港周辺は無数の落下物の脅威にさらされている。空港と周辺住民との共存共栄などない。成田空港拡張と都心上空飛行による羽田空港新ルートは、住民の生活を脅かすものだ。命と生活を守るために立ち上がる住民と連帯して闘おう。

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