6・21耕作権裁判&デモへ 青年労働者・学生に訴える 三里塚闘争に共に立ち上がり市東さんの農地を守りぬこう

週刊『三里塚』02頁(1064号01面01)(2021/05/24)


6・21耕作権裁判&デモへ
 青年労働者・学生に訴える
 三里塚闘争に共に立ち上がり市東さんの農地を守りぬこう

(写真 南台農地でラディッシュの収穫をする市東孝雄さん)

(写真 新年旗開きに先立ち反対同盟を先頭に南台農地からデモに出発【1月10日】)


 青年労働者の皆さん、学生の皆さん。コロナ禍の中で苦闘しながら、理不尽に思うこと、社会について考えさせられることも多いのではないでしょうか。そんな皆さんに私たちは、ぜひ三里塚闘争のことを知ってほしいと思っています。前号で現地行動隊から三里塚闘争の全体像をお伝えしました。今号では、その中でも最大の攻防にある市東さんの農地問題についてお話しします。なぜ私たちは市東さんの農地を守るのか。何よりも農地と農業にかける市東さんの思いに共感するからです。そして、市東さんの農地を強制執行で取り上げることを絶対に許してはならないし、これが私たちの未来を決める問題だと確信するからです。

デタラメな農地取り上げ

 市東孝雄(しとうたかお)さんは、成田市で有機農業を営む専業農家です。反対同盟の先頭で闘ってきた父・東市(とういち)さんの遺志を継いで、日々農業に精を出しています。天神峰の地で農薬も化学肥料も一切使わずに年間60種類もの野菜を作り消費者に供給し続けています。
 そんな市東さんに突然、成田空港会社(NAA)が「農地を明け渡せ」と迫ってきたのです。
 市東さんの農地は戦前の地主制のもとで祖父が開墾し、3代100年耕し続けられてきました。本来なら戦後の農地解放で自作地となるべきものでしたが、東市さんの戦地からの復員が遅れて正式な手続きがなされなかったために、小作地として残ってしまいました。
 この農地を、NAA(当時は空港公団)は耕作者である市東家に無断で旧地主から秘密裏に買収し、15年もたってからその事実を明かして賃貸借契約の解除を求め、明け渡しの訴訟を起こしたのです。(農地法裁判)
 これは農地法に根本から違反するもので、買収も賃貸借契約解除も無効です。さらにNAAは、旧地主と東市さんが交わしたとする「同意書」「境界確認書」など、NAAが証拠として提出した文書が偽造文書だったことが明らかになりました。しかし一審・多見谷寿郎裁判長は、数々のNAAの違法・無法にフタをして「明け渡せ」という判決を下し、高裁・最高裁もこれを追認したのです。

最高裁署名集め強制執行阻止を

 最高裁で「農地を明け渡せ」という判決が確定しましたが、市東さんと反対同盟はなおも「農地取り上げを強制的に執行することは許されない」と裁判を起こしました(請求異議裁判)。地裁・高裁と闘い、現在最高裁に上告中です。
 NAAが明け渡しを求めている対象地は耕作権裁判も含め、市東さんの耕作地全体の73%であり、実際に強制執行が行われたら戦後最大の農地収用となります。営農に欠かせない作業場や育苗ハウスなども取り上げの対象になっています。市東さんの営農を成り立たなくさせるものであり、農民として死ねというものです。
 成田空港建設には、1971年の小泉(大木)よねさんへの強制代執行での機動隊を使った暴虐の歴史があります。NAAはこれを再び繰り返すのか! 断じて許すわけにはいきません。
 小作とはいっても、市東さんには実質的に自作農と変わらない強い小作耕作権があります。市東さんは言います。「農地は私の命です。農地は生きています。あの畑は私の人生であり、私の生き甲斐です」と。
 農業に誇りと喜びを持っている市東さんの生き方を踏みにじることは許せません。市東さんの権利が守れなければ、私たちの権利も守ることができません。

私たちの未来かかる闘い

 NAAによる農地取り上げとの闘いは15年になります。15年の間に取り巻く状況は大きく変わり、闘う意義はますます大きくなっています。
 農地を奪う理由をNAAは、「へ」の字に曲がった誘導路を直線にするためだと言います。しかし、誘導路は現在、何の支障もなく運用され、農地取り上げの必要性などありません。それでも取り上げるのは、成田空港建設という「国策」と闘う三里塚の闘いをつぶすためです。
 沖縄の辺野古新基地建設や原発事故での帰還強制、福島切り捨てについて市東さんは、「国策の名の下で何をやってもいいという国・企業のやり方は、絶対に認めるわけにはいかない」と怒り、沖縄、福島との連帯にかけて、何があろうと畑を耕し続けると宣言しています。国策にNO!という闘いを政府は容認できないのです。
 また、この闘いは、日本の農業の未来がかかった闘いです。
 農地解放とともに戦後農政の出発点となった農地法は、2009年に改悪されて企業の農業参入に道を開き、今日の農業つぶし攻撃につながっています。「耕す者に権利あり」と闘い続ける市東さんの農地裁判は、農地法本来の精神を体現した闘いです。
 日本の食料自給率はわずか38%です。今の農政は、自動車などの輸出のために農産物を輸入する、競争で農家がつぶれても強い農家だけ生き残ればいいという政策です。企業が農業に参入して、大規模な農業をやればいいというのです。
 しかし、気候変動やコロナ禍の中で、大量生産・大量消費が問題視され、小農や有機農業が世界的に重要視されています。
 政府も今になってようやく有機農業推進を声高に叫び始めましたが、それならば有機・無農薬で耕し続ける市東さんの農地をつぶすことなどあってはならないことです。
 NAAや裁判所は空港の「公共性」を農業の上において農地取り上げを正当化してきました。しかしスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの行動に示されるとおり、環境危機の中でいまや飛行機を利用することが「飛び恥」と言われる時代です。空港の「公共性」を理由にして農地を奪うことなど、もはや許されません。
 そしてこの闘いは戦時徴発を許さない闘いです。
 菅政権は、今通常国会で、改憲・戦争国家化を推し進める法案を次々と強行成立させています。コロナ危機をも利用して戦争のできる国へと大転換させるために、さまざまな形で権利を踏みにじり強権支配を強めています。
 その中で、さまざまな土地利用規制緩和の動きがあります。
 コロナ特措法では、緊急事態宣言が出されれば、病院建設のためとして、知事は土地や建物を所有者の同意がなくても使うことができます。また国家戦略特区は、企業による農地所有を全国で可能にすることをねらっています
 戦前の歴史を見ても、国が自由に土地を奪えるようにすることは戦争への一里塚です。
 市東さんの闘いは、この動きに待ったをかける闘いなのです。

国際連帯強め菅政権倒せ

 直近の課題として、6月21日の耕作権裁判のデモと傍聴にぜひ集まってください。
 耕作権裁判というのは、NAAが市東さんの南台の畑の一部について「NAAの所有地を不法に耕作しているから明け渡せ」という裁判です。
 しかし、市東さん耕作地の位置特定が誤りだったり、前述の文書偽造など、そもそも「不法耕作」だという訴えの前提が成立していません。弁護団の徹底追及の前に、NAAは裁判所による文書提出命令さえも拒み続けています。
 耕作権裁判は、前述の農地法裁判でフタをしてきた問題、NAAの違法・脱法をとことん明らかにし、空港会社側の不正義を断罪・追及して15年も一審で闘い続けています。強制執行を許さないためにも、勝利のテコとなる裁判です。
 今、香港で、ミャンマーで、世界中で民衆の決起が沸き起こっています。資本主義のこれまでのあり方が問われ、世界は大きく変わろうとしています。その中で、真に社会を変える力は私たち自身の行動です。
 私たちと一緒に三里塚の地に立って、ここから未来を切り開きましょう。三里塚の闘いで、戦争への道を突き進む菅政権を打倒しましょう。

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