「国家戦略特区」攻撃許すな 機能強化の利権に群がり地域を破壊

週刊『三里塚』02頁(1070号02面01)(2021/08/23)


「国家戦略特区」攻撃許すな
 機能強化の利権に群がり地域を破壊

(写真 北総一帯で乱開発計画を推進 3万部バラまかれるイラストマップ)

 空港機能強化をめぐり地元利権業者や団体の動きが激しくなってきている。成田空港周辺地域の商工業者らで構成する「成田空港と地域の繁栄を目指す有志の会」(山崎和敏会長)は、7月15日、同地域の規制緩和などを行う「国家戦略特区」実現に向け、成田国際空港会社(NAA)に土地利用などの提言書を提出した。有志の会は、今年6月以降、熊谷俊人知事や自民党県支部連合会、国交省・農水省に同提言書を提出してきた。提言は、第3滑走路建設に伴う物流を始めとした関連産業の誘致のために、農地転用規制を撤廃しろというものだ。千葉県が今年1月に内閣府に提出した空港周辺地域を航空貨物拠点化する戦略特区計画の後押しだ。そのために今回作成したのが、イラストマップ「成田空港圏 みらいのカタチⅡ」だ。裏面の解説で、首都圏空港機能強化を「多大な富をもたらす巨大プロジェクト」と持ち上げ、「農地転用の規制緩和は早急に実現されなければならない」と主張する。北総一帯の乱開発を推進し、農地と農業の破壊を訴えるイラストマップを弾劾しよう。

「空港で繁栄」のデマを拡散

 有志の会は、もともとは「成田第3滑走路実現を目指す有志の会」で、会長は山崎和敏(前多古町商工会長)だ。彼らは、石毛博道らの第3滑走路建設推進勢力と一体化しつつ、空港利権にありつこうとしてきた。騒音下住民が反対し続けているA滑走路の深夜1時間供用延長(19年冬)について「内窓などの騒音対策も開始された現在では何ら問題がない」などと言い放ち、空港会社の提灯持ちとなった。
 18年12月には、空港周辺を空港圏環状道路で結んだ未来図を描いたチラシ「成田空港圏未来予想図」を作成、配布した。チラシは、近未来風のイラストだが、空港を中心に今後設置される予定の施設のほか、「よこしば新道」や「高谷川護岸道路」、多古町内のバスターミナルや物流基地などの「地元」利益誘導の要求を入れている。しかも「音の静かな」次世代航空機、自動運転や空を飛ぶ自動車などを描き入れ、空港周辺も航空機騒音は小鳥のさえずりのようになるというデマを振りまいた。反対同盟は、「空港で地域が栄えるイメージを振りまいている絵空事」「地域破壊の地獄絵図」と批判した。
 これに壊滅的打撃を受けた有志の会は、次世代航空機、自動運転や空を飛ぶ自動車などを削除した。今回の「みらいのカタチⅡ」は、千葉県提案の「国家戦略特区」をふまえ、利権要求をより鮮明にしたものだ。

「物流整備」で廃村化を促進

 千葉県の「成田空港周辺9市町の国家戦略特区区域指定に向けた提案」は、民間資本を導入した貨物基地等開発のために、農地や外国人労働者に対する規制を緩和させようとするものだ。主要には、①成田空港周辺9市町のインターチェンジや空港ゲート等、交通の要衝周辺では土地利用規制を緩和し、物流施設等の整備を促進、②在留資格「特定技能」に新たに倉庫業を位置づけ、外国人材を活用するというものだ。物流施設の建設を最優先に空港直近はもとより、北総・東総の二つの高速道路のインターチェンジ周辺18カ所、空港を中心に30㌔を超える地域の乱開発計画だ。空港機能強化を軸にした住民無視、農民無視の開発だ。有志の会は、小躍りし飛びついたのだ。
 北総地域は、首都圏における農産物供給産地であり、広範な地域が農業振興地域であって農地の保全が優先されている。地元住民が守り育ててきた農地や森林を企業に売り飛ばせと言う主張を断じて許すことはできない。空港建設と騒音で生活を破壊して、何が「空港オアシス」「海洋リゾート」だ。
 空港機能強化は、さらに空港周辺地域の廃村化を進める。労働者農民の生活を守るために機能強化を阻止し、国家戦略特区攻撃と対決しよう。
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