明日も耕す 農業問題の今 農業消滅の危機が切迫 日本の飢餓も現実問題

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週刊『三里塚』02頁(1072号02面04)(2021/09/27)


明日も耕す 農業問題の今
 農業消滅の危機が切迫
 日本の飢餓も現実問題


 飽食の先進国と飢餓に苦しむ最貧国を隔てている現在の食料システムを、2030年までに持続可能なものに変革しないと、2050年頃には、日本人も飢餓に直面するかもしれない―今こうした警鐘が鳴らされている。

 この話は、今年の2月7日に放映されたNHKスペシャル「2030 未来への分岐点(2) 飽食の悪夢〜水・食料クライシス」の内容だ。とは言っても、残念ながら筆者はこの放送を見逃してしまい、これは書籍からの引用だ。
 引用させてもらった本は、この7月に東京大学大学院の鈴木宣弘教授が著した『農業消滅』(平凡社新書)だ。
 同書の序章で鈴木教授は、前出の話に続けて、2035年の日本の実質的な食料自給率が、酪農で12%、コメで11%、青果物や畜産では1〜4%に陥ると試算する。
 信じがたい数字だが、農業の危機的な現状に踏まえての試算だ。
 そして、輸出規制や物流の寸断が生じるなら、食料だけでなく、その基となる種、畜産の飼料も海外から運べなくなり、日本人は食べるものがなくなる。2050年どころか2035年の時点で、日本は飢餓に直面するというのだ。

農家の減少続く

 これは、世界的なパンデミックや、2008年のような旱魃(かんばつ)が同時に起こればというタラ、レバの話ではある。
 だが、新自由主義の行き着く先として引き起こされるパンデミックが、今回の新型コロナウイルスで終わりなどとは誰も言えない。さらに気候変動で食糧危機のリスクは大きく高まっている。
 37%になった食料自給率、止まらない農家の減少を見れば、「農業消滅」という鈴木教授の警鐘は決して大げさな話だと切り捨てることなどできないだろう。
 企業の金もうけの前に農業が放り出されたら、この先どうなるのか。紛れもなくこれは農民だけの問題ではない。

農業保護は当然

 食管制度廃止をはじめとした農業切り捨てについて前回取り上げたが、欧州の主要国では、農業所得の90%以上が政府からの補助金で、アメリカでは農業生産額に占める農業予算の割合が75%を超える。日本は両指標とも30%台にすぎない。
 政策の違いの背景として、欧米では、命を守り、環境を守り、地域を守る農業を、国民全体で支えることが当たり前になっていると言われる。
 欧州のほうが日本より農業・農村に理解やシンパシーが深い、消費者の意識が大事、労働者の課題であると。
 一理あるかもしれないが、それだけだろうか。
 この点に関して、鈴木教授が興味深い指摘をしていた。
 教育の現場で食料・農業・農村の重要性を説明する教科書の記述に、欧州と日本では決定的な違いがあるというのだ。
 それは一体どういうことか。
(次号に続く)
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