労農連帯の力で成田空港を廃港に 11・7全国労働者集会へ 新やぐら控訴審第1回開く 「農地死守」訴え霞が関デモ

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週刊『三里塚』02頁(1074号01面01)(2021/10/25)


労農連帯の力で成田空港を廃港に
 11・7全国労働者集会へ
 新やぐら控訴審第1回開く
 「農地死守」訴え霞が関デモ

(写真 反対同盟を先頭に東京高裁を包囲するデモ【10月20日】)

(写真 閉廷後報告集会)

(写真 反対同盟の看板)

(写真 渡部勇次裁判長)


 10月20日、東京高裁第2民事部(渡部勇次裁判長)で、新やぐら裁判控訴審の第1回が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、労働者・学生・市民ら約90人が駆けつけ、市東孝雄さんの農地を守る気概を横溢させて闘いぬいた。同日、韓国・民主労総は委員長の逮捕・拘束、集会禁圧を跳ね返してゼネラルストライキに立ち上がった。同じ敵と闘う仲間が全世界にいる。11・7全国労働者集会に大結集し、資本主義を終わらせる国際連帯を発展させよう!
 開廷に先立ち正午前、日比谷公園霞門に集合し打ち合わせを行った。
 東峰の萩原富夫さんが「やぐらと看板は市東さんの生活と農業を守る盾だ。空港は必要ないし、観光立国政策も破綻している。農地を奪って空港を拡張するなど許さない」と訴えた。
 動労千葉の中村仁副委員長は、民主労総のゼネストと連帯し、JRの大合理化攻撃と闘う決意を述べ、11・7労働者集会への大結集を訴えた。
 太郎良陽一さんの音頭で力強くシュプレヒコールを上げ、デモに出発。霞が関を、国策と対決し「農地死守」を訴える農民のデモが席巻した。
 この新やぐら裁判は、市東さんの天神峰農地に建つ監視やぐらや看板など4つの物件(反対同盟所有)について、成田空港会社(NAA)が「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したもので、昨年8月の千葉地裁の不当判決に対し、反対同盟が控訴した。一方NAAは今年5月、仮執行宣言を求める「附帯控訴」を行っている。盗人猛々しいとはこのことだ!

「生活を守る盾」

 午後2時、開廷。最初に萩原さんが意見陳述を行った。
 1966年の閣議決定以来の国家暴力による空港建設を弾劾し、「農地死守」「実力闘争」の原則は、政府・空港公団の暴力的手法に対する「抵抗の哲学だ」と明らかにした。さらに日本の食料自給率の低下と異常気象の深刻化の中で、成田が二酸化炭素を大量に排出し温暖化を促進する拠点となっていること、需要拡大の見込みがないのに第3滑走路建設、24時間運用へと突き進み、農業と環境を破壊し、騒音被害を拡大していることを弾劾。「成田空港がいかに犯罪的で反社会的な存在であるのかが分かる」と断じ、市東さんと一緒に作ってきた「三里塚産直の会」の意義を確認し、空港、ダム、原発、基地などの建設をやめるよう迫った。そして、「看板とやぐらは、NAAの人権侵害と無法な空港建設を告発するとともに、市東さんの人権と生活を守る盾になるもの。農地と一体であり、反対同盟の決意そのものだ。絶対に撤去することはできない」と訴えた。

原判決取り消せ

 続いて弁護団が、控訴理由書と補充書の要旨を陳述した。
 天神峰耕作地についてNAAは「所有権を取得した」と言い張り、その一角に建つやぐら・看板を取り除けと迫っているが、その「所有権取得」は無効だ。耕作者である市東家に無断・秘密で旧地主から底地を買収した。空港公団=NAAはその土地を転用する具体的な計画も見通しもなく、それを15年間も隠し通してきたのだ。あらゆる意味で明白な農地法違反だ。ところがNAAは「成田なら何をやっても許される」とばかりに、千葉県知事から賃貸借契約解除の許可決定を取り付け、市東さんに「農業をやめて出ていけ」と裁判に訴えてきたのだ。こんな詐欺・地上げ屋の手口を容認した原判決は誤りだ。
 かつて空港公団総裁が受け入れた「あらゆる意味で強制手段を用いない」との公約を踏みにじることは許されない。強制執行は権利濫用、人権侵害であり、1971年強制代執行の小泉よねさんに対する凄惨な暴行の再来だ。
 成田は今コロナ情勢のもとで閑古鳥が鳴き、その存続自体が問われている。航空需要は消失して回復する見込みもなく、もはや「誘導路を直線化する」ことの意味がなくなっている。東京高裁は原判決を取り消せ!
 また、NAAは弁護団の主張に具体的に認否・反論しなければならないのだが、彼らが出してきた「反論」は、粗雑で無内容な項目対照表だった。弁護団は徹底批判する準備書面を提出し、今後も追及を緩めないと明言。
 さらに、証人調べとして法理哲二(1988年の農地買収当時、空港公団用地部課長補佐)、浅子直樹(2003年の土地所有権移転登記時の公団用地部長)の2人が不可欠であることを強調し、3人の専門家、市東さん、萩原さんの証人申請を予定していると述べた。
 渡部裁判長は「今後の進め方は協議して決めたい」と閉廷を宣言。次回期日は来年1月19日(午前10時30分開廷)。
 弁護士会館で開かれた報告集会で葉山岳夫弁護士が「この裁判は、天神峰農地への強制執行を阻止する上で、非常に重要」と、攻防の全体像を解説した。さらに弁護団全員が発言し、市東さんの農地を守りぬく決意と展望を明らかにした。

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