「軍事空港粉砕・農地死守」の旗高く2022年決戦へ 今こそ成田を廃港に NAAを徹底追及 農地位置特定の誤りは致命的 耕作権裁判

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週刊『三里塚』02頁(1077号01面01)(2021/12/03)


「軍事空港粉砕・農地死守」の旗高く2022年決戦へ
 今こそ成田を廃港に
 NAAを徹底追及 農地位置特定の誤りは致命的 耕作権裁判

(写真 反対同盟を先頭に千葉地裁を包囲するデモ行進【12月6日】)

(写真 南台農地の「関係土地図」と最近の衛星写真。市東さんはABCDを耕している)


 12月4日から陸上自衛隊と米海兵隊による共同実動訓練「レゾリュートドラゴン21」が行われている。オスプレイによる日米隊員の輸送展開訓練や、陸自の地対艦誘導弾と米軍の最新鋭高機動ロケット砲システムを用いた対艦戦闘訓練は自衛隊の侵略軍隊化に向けた歴史的な踏み込みだ。対中国をにらんだ日米一体の軍事演習は沖縄を戦場さながらの状況に叩き込んでいる。断じて許すことはできない。沖縄と連帯し、「農地死守・成田軍事空港粉砕」を闘おう。12月6日、千葉地裁民事第2部(本田晃裁判長)で、天神峰・市東孝雄さんの南台耕作地をめぐる耕作権裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけに応え集まった約70人が全力で闘った。

 開廷に先立ち千葉市中央公園で決戦本部長の太郎良陽一さんが司会を務めて決起集会を行った。
 東峰の萩原富夫さんが発言に立ち、「市東さんはこの裁判でNAA(成田空港会社)によって『不法耕作の男』という汚名を着せられ、15年にもわたり被告席に座らされている。許せない! 本田裁判長は直ちにNAAの訴えを却下せよ」と怒りを叩きつけた。
 続いて動労千葉の中村仁副委員長が連帯発言に立ち、「われわれの実力で市東さんの農地を守り、成田を廃港に!」と訴えた。
 関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、反対同盟事務局の伊藤信晴さんが「中国侵略情勢の激化のもとで、成田の兵站(へいたん)基地化が狙われている。反戦の砦として三里塚が立ち、農地を守り軍事空港を阻止しよう」と呼びかけた。
 意気高くシュプレヒコールを上げ、反対同盟を先頭に千葉地裁に向けてデモに出発した。宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが、農地を守り戦争を阻止する三里塚の訴えを響かせた。

文書偽造は明白

 午前10時30分に開廷。この日は陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、まず市東さんが意見陳述を行った(別掲)。耕作地の位置特定問題に具体的に踏み込んだ市東さんの意見は、NAA代理人を鋭く突き刺した。
 続いて、弁護団が意見陳述に次々と立ち、やはり位置特定問題を中心にNAAを追及した。
 NAAは、市東さんがNAA所有の土地を不法耕作していると決めつけて裁判を起こしながら、その位置特定がまったく間違っている。NAAの主張の根拠になっているのは、旧地主の藤﨑による南台農地の耕作状況についての手書きのずさんな地図(藤﨑メモ、1987年12月作成)だ。原本すらなく入手経過も不明なこの藤﨑メモは「市東家の賃借地はBとE1だ」と図示しているが、実際にはE1(南台41―9)は石橋家の小作地であり、決定的に誤っている。藤﨑は地主でありながら耕作状況の実態を把握していなかったのだ。
 この藤﨑メモの内容で、「同意書」「境界確認書」と添付の地図がつくられ、本裁判に「証拠」として提出されているが、そこに記されている東市さんの署名と印影は偽造である。
 これらの矛盾と誤りに満ちた主張をあくまで押し通すために、NAAは「E1はもともと市東家の賃借地だったが、地主藤﨑に無断で石橋家との間で土地を交換したと考えられる。交換は2回行われたはず」などと憶測を並べ立て、「とにかくAは不法耕作地だ」と強弁しているのだ。
 また、「同意書」「境界確認書」と同時期に、反対同盟法対部の元永修二氏が作成したメモについて、NAAは根拠もなく「信用できない」と切り捨てる。だが実際には、東市さんからの入念な聞き取りに基づいて南台の耕作現況を報告した元永メモの正しさに圧倒されているだけだ。

法理証人出廷を

 最後に弁護団は、公団による土地買収の交渉記録などについて「ない」と言い張るNAAの卑劣さを断罪し、一切の関連文書を提出させ、法理哲二(当時空港公団用地部用地課長代理)などの証人尋問を行うよう裁判所に強く求めた。
 NAA代理人の上野至、和田衛、森本哲也は、自らの罪の重さを自覚しながら口をつぐむばかりだ。
 次回期日を4月25日、次々回を8月22日と確認し、閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんが司会を務め報告集会が開かれた。
 最初に市東さんが、「何も言わず書類も出さないというNAAのやり方を許さず、今後も勝利まで闘います」とあいさつした。続いて顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が、NAAを追いつめている手応えを勝利感をもって語り、この力で強制執行を阻止することを呼びかけた。さらに弁護団が次々と発言し、提訴から15年という年月がたっても肝心な土地の位置特定もままならないNAAの破産ぶりを確認し、徹底的に攻め続ける決意を表した。
 質疑応答ののち、最後に萩原さんが、1月9日の新年デモ&団結旗開き、同19日の新やぐら控訴審を告知し、全員で2022年決戦の一層の奮闘を誓い合った。

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許せぬ「不法耕作」決めつけ
 市東さんの意見陳述 要旨


(写真 発言する市東さん。左は葉山弁護士)


 私は1999年に亡くなった父・東市から南台農地に関する小作権を引き継ぎ、『関係土地図』(右写真)のA・B・C・Dの土地を耕してきました。NAAは不当にも、06年に南台のA・C・Dの土地を不法耕作と決めつけ、明け渡しを求めてきました。08年10月にはBの土地を小作権解約を理由に明け渡しを求めてきました。
 私は声を大にして訴えます。成田空港は一日も早く廃港にすべきです。成田空港が命を守る農業を破壊し続けていることは絶対に許されません。
 70%が山地で、農地面積は約10%の日本で屈指の優良畑作農地が広がる北総台地のど真ん中に最大規模の空港を建設する政府の政策は根本的に誤っていた。機動隊の暴力と財界の札束で、大切な農地を強奪して農業を破壊してきた空港建設は間違った国策だったのです。デタラメな空港建設に反対して、一人の農民として農地を守り農業を続けてきた父の生き方を心から尊敬しています。父の闘魂に学び最後までNAAと闘う決意です。
 C・Dの土地は父が地主・藤﨑さんの承諾を得て1972年ころから賃借し、時効取得が成立しています。何より許しがたいのは、戦前から市東家の耕作地であるAを『不法耕作』と主張していることです。
 NAAはE1が当初のうちの小作地だと言いますが、これもまったくのでたらめな主張。E1は一度も耕作したことがありません。私が小学生のころ、A・Bを父が耕していたことをはっきり覚えています。
 完全無農薬有機農法で南台では野菜が順調に育っています。改良を重ねた有機の土壌があってこそ。私は自分の農地、農業に自信と誇りを持っています。裁判長は先入観を捨てて、NAAに関係書類をすべて出させ、関連証人を出廷させるよう強く求めます。

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