明日も耕す 農業問題の今 インドで農業新法を撤回 全世界で農民の怒り拡大

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週刊『三里塚』02頁(1081号02面04)(2022/02/14)


明日も耕す 農業問題の今
 インドで農業新法を撤回
 全世界で農民の怒り拡大

(写真 実力闘争に立つインド農民【21年1月26日】)


 インドのモディ首相は昨年11月19日、2020年9月に成立した農産物流通促進法などの農業関連新法を撤廃すると表明した。インド農民は新法の全面撤回・廃止を要求して実力デモを闘い、ついに勝利をもぎ取った。

 インドにおける農作物の取引は、州政府が指定する卸売市場(マンディ)で行われることが原則とされていたが、新法では販路が「自由化」され、州外の市場・スーパー・食品会社などに販売できるとされていた。
 政府は「農産物の州間取引を活発にして幅広い選択肢を与え、農民の生活を向上させるもの」だと宣伝した。
 だが、これまでの農作物買い取り最低支持価格(MSP)が維持される保障はなく、農民は「大企業主導で価格が決められ安く買いたたかれる」と新法に怒りを表した。
 モディ首相は、貧困化が進む農家の救済や所得向上を公約にして政権の座についた。しかし、「効率化」「農業所得の向上」をうたった「農業改革」は、多国籍企業による農民からの搾取を強めた。
 市場効率化を求める欧米資本や流通・小売り大手の要求に応え、農業補助金の撤廃や融資の縮小など、農業の市場開放を促進した結果、資金不足に陥った小規模農家は債務が増え、2018〜19年の農民の自殺者数は2万638人に上った。こうした長年の新自由主義的政策に対する農民の怒りが全土で爆発し、1年以上に及ぶ闘いとなったのだ。

実力闘争に立つ

 農民の決起はインドだけではない。
 オランダでは昨夏、畜産農民が全土で主要道路を占拠する闘いに決起した。オランダ政府は、温暖化対策で家畜のふんから放出される窒素排出量を抑制するとして、農民に家畜頭数の削減を求めた。要請に応じなければ土地の没収などの厳しい手段を講じるというのだ。大企業を免罪し、農業をやり玉にあげるやり方に農民は怒っている。
 同様の問題で、アイルランドでも農民が反対運動に立ち上がり、昨年10月には、トラクターを先頭にした数千人規模のデモが各地で行われた。
 また、韓国では、政府によるTPP加入申請手続き開始の発表(昨年12月)に対して、「輸入農産物の増加は国内農業の生産基盤崩壊につながりかねない」「政府は国民健康権と農業を放棄するTPP加入の議論を直ちに中断すべきだ」と農民が立ち上がっている。

今こそ労農連帯

 世界各地で農民の怒りの決起が巻き起こっている。インド農民の決起には、「労働法改悪反対」を掲げるインドの労働組合が連帯ゼネストに立ち上がり、全国の学生・市民も激励を寄せた。
 私たちもこれに続こう。岸田政権は、イノベーションの名の下にさらなる企業の農業参入を推し進めようとしている。労組なき社会をつくり、「農業崩壊」の道を行く岸田政権を労農連帯・国際連帯で打倒しよう。

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