NAA2期連続の赤字決算 破産不可避の新中期計画 危機の成田を廃港に追い込もう

週刊『三里塚』02頁(1089号02面01)(2022/06/13)


NAA2期連続の赤字決算
 破産不可避の新中期計画
 危機の成田を廃港に追い込もう

(写真 NAAグループ中期経営計画の表紙)

(写真 成田で入国者をチェックする検疫官)


 成田空港会社(NAA)は5月27日、2022年3月期連結決算を発表した。最終損益は524億円で2期連続の赤字だった。
 NAAの田村明比古社長は記者会見で「大変残念だが、空港の安全と安定運用を大前提にコスト削減にも努めており、損益は着実に改善している」と強弁したが、3期連続の赤字(330億円)を見込んでいる。
 財務状況では資産合計が1兆2251億円、負債が668億円増の9396億円、純資産が542億円減の2855億円。NAAは総資産の約4分の3が負債という破産会社なのだ。
 この中でNAAは、2022年度から24年度までの「NAAグループ中期経営計画Restart NRT」を発表した。NAAは中期経営計画を3年ごとに作成しているが、コロナ下で航空需要バブルは蒸発し、NAAの中長期の経営計画なるものは根底から粉砕された。今回その抜本的見直しが必要であったにもかかわらず、出てきたものは相も変わらず、これまで以上に中身のない作文だ。

「五感の価値」?

 具体的に見てみよう。「はじめに」では、「(新型コロナウイルス感染症によって)航空・空港業界は、...未曽有の変化に直面し、甚大な被害を受けることになりました」と述べ、「しかし、このような状況下でこそ、改めて『五感』の価値が評価されているのではないでしょうか」と珍妙な問いかけから始まっている。「旅行先での新たな出会い、異国の地の匂いや初めて食べる料理の味。新たなビジネスパートナーの国を訪れ、語り合うことにより深まる信頼感」と言うが、それこそが感染爆発を招いた原因ではないのか。
 科学的な根拠を無視した情緒的な印象操作で「グローバル航空ネットワークの更なる発展」と「中長期的な環境変化に対応」と強弁しているのが特徴だ。
 前中期経営計画(18年から21年)の総括を見ると、その惨たんたるありさまが明らかになる。前中期計画の目標は、21年度で発着回数27・5万回、旅客数4650万人であった。実績は、13・8万回と647万人。連結営業利益に至っては目標440億円、実績マイナス495億円。
 総括では、「航空需要が大きく落ち込み、貨物を除き目標は未達」と言いつつ、「一方、感染防止対策の徹底やコスト削減等による影響最小化を実行。 加えて、中長期視点での成長施策を推進」と開き直る。しかしその中身は、「成田アニメデッキ」のオープン、スマートセキュリティの導入などに過ぎず、第3ターミナルの拡張以外めぼしいものはない。
 今中期計画の結論は「経営目標」を「2024年度に総発着回数を27万回」「総旅客数を3900万人」「総航空貨物取扱量を240万㌧」というものだ。これはコロナ前の19年の発着回数を上回る。田村社長は「高い目標を掲げた」とうそぶくが、全日空の赤坂社長ですら「国際線は、25年には回復しない」と言っている。
 仮にコロナパンデミックが収まったとしても、中国経済の高度成長の終えんは不可避であり、アジアの航空需要の拡大はありえない。しかも、大手航空会社の国際線は、羽田に拠点を移しつつある。LCC(格安航空)誘致による生き残り策にも展望はない。

機能強化許すな

 にもかかわらず中期経営計画では、C滑走路の新設とB滑走路の北伸について「年間発着回数50万回化を実現すべく、2028年度末までの供用に向けて着実に実施する」と打ち出している。
 今回の設備投資計画 (2022〜24年度)は以下の通り。総額は4260億円で、うち①B滑走路延伸、C滑走路新設のための投資2700億円、②維持管理更新のために910億円、③貨物需要への投資(第8貨物ビル新築等)、気候変動への投資(航空灯火LED化等)、新規整備に650億円である。しかし、NAAの24年度の営業利益の戦略目標ですらたかだか200億円。これも達成できる見込みはない。他方、長期債務は9000億円台。
 また本来なら今年3月に計画を発表する予定の老朽化した第1、第2ターミナル改修も先延ばしにされた。空港内施設についてはNAAが財源確保をしなければならないが、そのめどが立たないのだ。新中期経営計画は、NAAの破産を決定づけている。軍事利用以外にいかなる合理性を装うことすらできなくなった成田空港を今こそ廃港に追い込もう。

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入国検疫を緩和
観光再開で感染再拡大へ

 政府は6月1日から、一日あたりの入国者数の上限を2万人に引き上げた。これに伴い入国者に対する新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和した。さらに6月10日からは2年ぶりに外国人観光客の受け入れを再開する。
 新型コロナ感染の再拡大は不可避な情勢に突入している。
 約8割の到着客の検査・待機が免除となった結果、6月2日に成田で判明した陽性者はわずか5人。水際対策が緩和される前日の107人から大幅に減った。
 今回、検査が免除される国からも、5月の段階で検疫で陽性になることがあり、オミクロン株の「BA・4」「BA・5」など、感染力の強さが指摘される変異ウイルスが検出されていた。
 外国人観光客の受け入れ再開に向けた実証事業でも、5月27日にタイから入国した参加者1人(空港検疫では陰性)が新型コロナウイルスに感染していたことが30日に判明し、その後のツアーが中止となっている。
 感染拡大防止の安全性が担保されていないことは明らかだ。
 コロナ前の19年の入国者数(日本人含む)は1日平均で約14万人だった。上限を2万人に拡大しようとも19年比ですら遠く及ばない。
 空港拡張の必要性は皆無だ。成田を今こそ廃港へ。

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