第3誘導路裁判 成田機能強化中止を 「訴えの変更」を申し立て

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週刊『三里塚』02頁(1092号01面03)(2022/07/25)


第3誘導路裁判
 成田機能強化中止を
 「訴えの変更」を申し立て

(写真 この裁判でもうつむいたままの内野俊夫裁判長)

(写真 NAA代理人①長屋文裕【元東京地裁判事、原発訴訟で中部電力、中国電力の代理人】②森本哲也【元東京地検検事】③上野至【元千葉地裁判事。数々の三里塚裁判で反動判決を下したのちNAAの代理人に転身】④和田衛【元東京地検検事】)

(写真 裁判後の報告集会)


 7月8日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。
 この日反対同盟顧問弁護団は、成田空港の基本計画からの違反と騒音被害について、被告の国とNAA(成田空港会社)を厳しく追及した。滑走路の長さや位置、施設・建造物の場所などが基本計画で定められており、NAAはそれを守らなければならず、国はそれにのっとってNAAを指導する責任がある。ところが、B滑走路計画(2500㍍)はその南側予定地に位置する東峰地区住民の強い反対によって、当初予定から北側に1100㍍移動させ、しかも長さも320㍍短い「 (Bダッシュ)暫定滑走路」として02年に供用開始した。そして基本計画に反して北側に滑走路を320㍍延長して2500㍍にする「変更許可処分」を06年に行い、09年に供用開始した。
 このように、短縮、移動、逆方向延伸と の建設過程は、野放図で場当たり的な拡張の繰り返しであり、地元住民・農民の生活を脅かし踏みにじるものだった。被告のNAAと国はそのことを「基本計画に違反していない」と居直ってきた。
 ところが「首都圏空港機能強化」が叫ばれるようになり、国は2019年に基本計画そのものを変更し、3500㍍のC新滑走路を建設し、 もさらに北に1000㍍延伸し3500㍍にすると、住民の意思を無視し勝手に決めた。
 そして、現状において成田の航空機の離着陸と走行の騒音は、市東さんはじめ周辺住民の生命・健康を睡眠妨害などで著しく脅かしている。機能強化で飛行時間は早朝5時から深夜0時30分までに延長され、静穏時間はわずか4時間半に。今住民はNAAを相手取り、夜間飛行差し止めと損害賠償を求める訴訟を起こす準備を進めている。
 以上の追及の上に弁護団はNAAと国に対し、具体的項目を指定しながら騒音測定データの資料の提出を要求した。
 さらに弁護団は、「訴えの変更」の申し立てを行った。
 その内容は、従来の請求【 滑走路延長(06年)、第3誘導路建設(10年)の二つの施設変更許可処分の無効確認、 滑走路と誘導路の使用禁止】に加え、 滑走路1000㍍再延長とC新滑走路建設の施設変更許可処分(20年)の無効確認、およびその工事の禁止を求めるものだ。
  延長とC新設は、空港敷地を2600㌶に拡大する地域破壊の大暴挙であり違憲・違法だ。着陸帯の幅は滑走路中心線から150㍍(全幅で300㍍)以上必要と定められているが、実際の 滑走路の着陸帯はその半分しかなく、国際民間航空条約(シカゴ条約)に違反している。
 空港の設置にあたって「他人の利益を著しく害することとならないものであること」を規定する航空法第39条にも違反している。建設工事から運用にいたるまで騒音、振動、排気ガスが農家の営農と生活を著しく阻害する。

戦争準備の拡張

 なにより成田は供用開始後に米軍が自由に使用し、自衛隊がPKO派兵で海外へと向かう基地となっている。アジアでの「有事」=戦争の際には、成田は米軍と自衛隊の一大兵站(へいたん)基地と化す。空港拡張は戦争準備体制の一環というべきであり、憲法第9条に違反する。直ちに機能強化工事を差し止めよ!
 現に今進められている住民追い出しと生活破壊の機能強化工事に対し、この法廷で徹底的に争うことを弁護団は宣言した。だがNAAと国の代理人はこの変更申し立てに同意するかどうかすらまともに答えなかった。
 次回期日は10月21日。

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