空港周辺一斉行動 気候変動止めよう 新署名を手に「拡張阻止」訴え

週刊『三里塚』02頁(1094号01面04)(2022/08/22)


空港周辺一斉行動
 気候変動止めよう
 新署名を手に「拡張阻止」訴え

(写真 市東さん宅離れで朝の打ち合わせ)

 反対同盟と支援連絡会議は8月21日、109回目の空港周辺情宣一斉行動に立ち上がった。
 朝8時半に成田市天神峰の市東孝雄さん宅離れに集まった仲間は朝の打ち合わせを行った。冒頭、東峰の萩原富夫さんが、準備した反対同盟ニュース104号を解説。
 「樫の木まつりの報道と新たな署名運動を呼びかける内容です。7月の訪日外国人客はコロナ前の95・2%減。利用が戻ってきているなんて報道されていますが、実態を見るとコロナ・パンデミックから2年以上経ってもほとんど増えていない。リモートワークやネット販売が進む中で、ビジネスでも飛行機に乗ってあちこち売り歩くような時代ではなくなっている。今後、空港・航空需要が伸びる展望はなく、もう空港はいらないというのが一般の感覚になってきている」
 さらに、今回から周辺住民に呼びかける新署名の趣旨を説明した。
 「これまでの署名は、市東さんの農地取り上げを認めるなと裁判所に迫るものでしたが、今回は空港拡張そのものをやめろと国に突き付けるものです。これはNAAにとっても急所のようになっている、地球環境の破壊と気候変動に対する反撃でもあります。NAAはCO2半減を掲げていますが、それなら飛行回数を半減させなければならないのに、空港を2倍化して逆のことをやろうとしている。機能強化をめぐるNAAの説明は本当に怒りなしには聞けません。若い人は環境問題にとても敏感です。未来を担う若い人のためにも、空港拡張阻止と環境を守っていくということを私たちも責任をもって取り組んでいかなきゃいけないと思います。今日から空港周辺地域の人に呼びかけましょう」
 続いて、事務局の伊藤信晴さんが芝山町の移転をめぐる部落の分断の状況を紹介した。さらに、周辺住民にとってもJRの路線廃線化は大問題だと指摘した。
 さらに、市東さんから「7月の観光客は1日平均255人だったけど、成田空港だけだと何人くらいだったの」との質問をきっかけに参加者は活発な意見交換を行った。
 とりわけ、住民運動の力で年間発着回数の制限を強制したオランダの例は重要と確認した。19年にヨーロッパ第3位の旅客数を誇ったオランダ・スキポール空港だが、騒音・環境破壊を理由に今年6月、年間発着回数を制限すると政府が発表した。オランダは海抜が低いため、温暖化で水位が上がることへの危機感から住民運動が盛んなのだ。空港拡張阻止の正義性に一同確信を深め、担当地域へと飛び出した。
 周辺地域では、早いところではサツマイモの収穫が始まっている。農家によると今年は細いものが多いそうだ。農家を中心に気候変動への危機感が高まっている。家族・友人にも広めたいから、また取りに来てという住民もある中、この日の行動で周辺地域から24筆の署名が寄せられた。
 個別に進められている移転交渉で、今後支払われる費用の格差や田畑にかかる固定資産税の問題など、NAAの不誠実極まる対応に対する怒りの声が多く寄せられた。
 午後4時半、再び離れで集約を行い、10・9全国集会に向けて攻勢的に闘うことを確認した。
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