拡張計画の破綻性あらわ 「新しい成田」検討会 大改修費の負担は住民に

週刊『三里塚』02頁(1101号02面03)(2022/12/12)


拡張計画の破綻性あらわ
 「新しい成田」検討会
 大改修費の負担は住民に

(写真 矛盾・危機を深める成田空港)


 成田空港会社(NAA)は、成田空港の更なる機能強化に向けた「『新しい成田空港』構想検討会」なるものを開催している。
 この検討会は、「学識者」を中心に、国土交通省、県、空港のある成田市、周辺の芝山町、多古町などで構成される。ここでの構想をたたき台として、国や県、地方自治体を交えて意見を聞きながら「新しい成田空港」計画を立てていくとしている。

ターミナル統合

 11月21日に開かれた2回目は、航空貨物の物流強化を目指して整備される新貨物地区について。12月開催予定の3回目はワンターミナル化について。来年1月開催予定の4回目は、道路アクセスの向上と鉄道アクセスの改善について話し合いをし、構想の結論を出すとしている。
 「新しい成田空港」構想の目的は空港の運用、人流・物流すべてを効率化、省力化、自動化すること。その最大の焦点は3つに分かれた旅客ターミナルの集約=「ワンターミナル化」だ。そのためには金に糸目を付けず、既存の鉄道やターミナルを破壊することもいとわない構えだ。NAAの田村明比古社長は「新しい空港を生み出すくらいの覚悟で構想を具体化していきたい」(初会合でのあいさつ)と述べ、その意気込みを語る。
 だが逆に言えば、行き当たりばったりで建設を強行し、継ぎ接ぎだらけで老朽化が著しい現在の成田空港ではとても「効率的」な運用は望めず、このままでは軍事転用などお話にならないという破綻的、絶望的状況への悲鳴に他ならない。
 田村社長は「空港機能の強化は滑走路だけでなく関連施設全体の能力向上が必要」「滑走路だけできても機能は十分に強化できない」とうそぶく。
 29年完成予定という第3滑走路新設工事を進めつつ、飛行場の基本施設であるターミナルも再構築。しかも航空機の運用は継続して、などというデタラメ計画を粉みじんに粉砕しなければならない。

NAAの危機

 改修資金捻出のため考え出されたのが、地元自治体を動員することだ。羽田空港の拡張は、東京都から巨額の資金提供がなされたことで可能となった。
 NAAは、受益者である千葉県から資金提供をうかがうとともに関係周辺市町に騒音対策費をはじめとする住民対策費・補助金のカットを狙っているのである。どのような形であれ巨大な財政負担が、周辺住民に「共存・共栄」の名で逆転して襲いかかってくるのは明らかだ。
 「新しい成田空港」構想なるものは、とどのつまり、侵略のための兵站(へいたん)拠点建設、軍事空港建設に他ならない。空港拡張工事を実力で阻止しよう。

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