第117回空港周辺一斉行動 「夜9時以降飛ばすな」 機能強化と戦争政治に怒りの声

週刊『三里塚』02頁(1110号02面01)(2023/04/27)


第117回空港周辺一斉行動
 「夜9時以降飛ばすな」
 機能強化と戦争政治に怒りの声

(写真 団結街道奥で一斉行動朝の打ち合わせ【4月16日】)

 反対同盟と支援連絡会議の仲間は4月16日、117回目の空港周辺情宣一斉行動に立ち上がった。
 昨夜からの雨は上がったがやや肌寒く感じる午前8時半、成田市天神峰の市東孝雄さん宅前の団結街道奥で朝の打ち合わせを行った。芝山町・白枡の伊藤信晴さんが司会を務めた。市東さん、東峰の萩原富夫さん、決戦本部長の太郎良陽一さん、婦人行動隊の宮本麻子さんが参加し、市東さんは営農再建のための協力にお礼を述べ、今後も粘り強く闘うことを訴えた。
 今回用意された反対同盟ニュース第112号は1〜2面で「機能強化粉砕! 騒音拡大許すな」を掲げて闘われた3・26芝山現地闘争の成功を報じている。さらにNAAが3月30日に「『新しい成田空港』構想中間とりまとめ」を発表したことに対し、これは成田の巨大軍事兵站(へいたん)拠点化の攻撃であり戦争への道だとの批判を掲載。4面には、夜間早朝の飛行差し止めを求めた成田空港騒音訴訟の提訴を報じた新聞記事と茨城県稲敷市の住民の声。
 打ち合わせを終え、ニュースを手にそれぞれ担当地域へと飛び出した。この日は、だんだん暖かい陽気となり新緑がまぶしく感じる日差しの中、代かきや田植えが広範囲の地域で行われていた。移転による家屋の取り壊しや用地取得が進めば、2026年度開通予定の圏央道工事も進められ、農村の風景も大きく変わっている。巨大倉庫群建設に向けた工事も始まっている。
 成田市の北側の地区では、騒音への怒りの声と新たな訴訟への期待の声が寄せられた。
 「南風と曇りの日は特に騒音がひどい」「たまに離陸してすぐに旋回する飛行機を見る。騒音がひどい」
 多古町の騒音による移転区域に指定されている地域では「査定は済んだが移転は決めていない。80歳になるが、この年で移転して新しい家屋を建てる気になれない。自分より年上だが、死ぬまでここでがんばると田んぼをいち早く終えてまだまだ元気な隣人もいる。私も最後まで残ろうと思っている」との声。

芝山をつぶすな

 芝山町中心部でも家が減り、どんどん寂れている。ある農家は町を破壊した裏切者・相川勝重前芝山町長への怒りを語った。
 「おれらは空港に食わせてもらっているわけではない。今の町長もそうだが、空港とつるんで利権をあさり、おれらの町を壊す前町長の相川勝重らが許せない」
 「空港の中で働いている仲間の話でも、もう一度反対闘争をやるか、町ごと空港が買うかのどちらかだ。9時以降も飛ばすのは許せない」
 また、戦争、成田の軍事使用、軍事空港建設への危機感も広まってきている。
 「本当にこの先どうなるかわからない。全世界でロシアを締め付けてもウクライナ戦争は止まらない。日本にしても平気で戦争を準備しているが、今まで必死に生活を守ってきた国民はどうなるのか。年金は下がる、物価は上がる。今のままではしょうがない」「空港会社は軍事使用しないと言ってきたのだから、その約束を守らせなければならない。第2次大戦のときの問題も解決していないのに、戦争準備とは許せない。だけど、多くの人は国が国民を守ると思っているんだよな」「岸田に抗議した24歳の青年はよくやったよね。これからだって政治家への怒りの決起は続くと思う。芝山町の議員は空港との金がらみでろくなのがいない。上下水道の整備すら芝山町はされていない。軍事空港化はなんとかしないと」
 さらに、多くの農家が強制執行後の市東さんの営農を気にかけていた。これまで幾度も署名に応じてくれたある農家は、「強制執行に負けないでほしい。強制執行は軍事空港をつくるためだとしか思えない」「うちも有機農業をやっているので同業者としてどうなったのか気になっていた。営農再建に向けて準備が進んでいると知り、とりあえずはよかった。強制執行のときには何もできなかったが、共に農業を守っていきたい」「百姓を継ぐ人がいなくなっている。誰かが声を上げないともっとひどくなる。かつて支援の人と一緒に富士山に登ったこともある。平安時代から続くという芝山町、菱田がつぶされるのはつらい」
 「集団移転交渉をしているところはなかなか進んでいない。息子は生きていける保障がないから農業を継がず別の仕事をしている。力になれなくて申し訳ないが、陰ながら応援している」
 一斉行動を終えた参加者は、住民の怒りと反対同盟への期待を実感し、更なる奮闘を誓った。
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