大地の響き 投稿コーナー

週刊『三里塚』02頁(1117号02面07)(2023/08/14)


大地の響き 投稿コーナー

(写真 ジャガイモ掘り【7月25日】)

国境を越える三里塚
 全学連 杉枝透佳

 7月2日の農楽まつりに続く数日間、はじめて援農に入りました。
 初日はネギ畑から始まりました。極度の虫嫌いの自分にとって、数えきれない団子虫や羽アリ、名前も知らない小さな甲虫や何かの幼虫を手で退けながら雑草を摘んでいく作業は衝撃的です。しかし、現闘の同志の歴戦の手さばきに学んで取り組む中ですぐに慣れ、誰かが生産した食べ物を日々頂くことの有り難さに改めて気づきました。援農に共に入る同志と互いの声も聞こえなくなる飛行機の音に、この毎日の営農・生活の一つ一つが闘いであると実感し、心が引き締まりました。
 翌日にはとうもろこしの収穫。満杯のケースをいくつも積んだワゴンに乗り込み、「空港用地」をぐるっと回って市東さん宅と南台の畑とを何度も往復します。13年前に空港会社が団結街道を閉鎖してからというもの、日々この不便が市東さんに強制されてきたことを思い、身体の奥から血の沸くような怒りを感じました。
 援農が休みの水曜には、中国出身の青年労働者を迎えて現地を案内しました。岩山記念館の上で「大地の乱」で読んだことを引っ張り出して話すと、彼は資本主義を体現する空港の醜さに怒りをにじませながらも「2月の決戦を戦った人から話が聞けて良かった」と伝えてくれました。
 12月に初めて三里塚を訪れた自分が、こうして新しく訪れる人と闘いを分かち合えることに喜びを感じます。共に援農に入ったフランスの友人たちは、既に家族・親戚を連れて再び三里塚を訪れ、また記者の取材に際して通訳を買って出てくれました。
 資本主義が腐敗を極め世界戦争の危機が目前に迫る今日、三里塚闘争の正義性はこうして国境を越え、反戦を掲げて労働者の解放を目指す多くの人々の心をつかんでますます大きく深く広がっています。
 年末の座り込み・決戦に引き続いて、この度の援農からも多くを学び感じることができました。三里塚闘争を応援し闘うすべての皆さんに是非とも援農への参加を呼びかけます。それから、自分もこの8月から三里塚の野菜を取ります。産直運動を広げ、意気高く闘い続ける市東さんと共に農地死守の闘争に勝利しましょう!

戦争と環境破壊許さず
 全学連 和田佳夫

 7月末の1週間、援農に参加しました。現地集会や泊まり込みなどで、三里塚現地にはもちろん何度も訪れていますが、援農のために三里塚の地を踏むのは初めてです。
 連日の援農の中で苦しめられたのは、とにもかくにも暑さです。今年の7月は人類史上最も暑い7月になったとテレビでも報道されていましたが、「地球沸騰時代」に突入した中での援農は、ヒリヒリと焼かれながらの作業で、日々日常的に炎天下でも営農する農民のすごさに改めて感服のしっぱなしです。
 しかし、私達は現実を実践的に変革すべきなのであって、単に農民に感心していることだけにとどまっている訳には行きません。援農の間度々上った話題が、暑さに加えて雨不足です。三里塚では7日、18日に雨が降ってから全く雨が降っておらず、畑はカラカラのサラサラに乾いてしまっていました。私達はこれを資本主義の問題としてきちんと捉える必要があると思います。
 市東さんは「地面が滑走路のコンクリートで覆われてしまって、水分が蒸散しなくなってしまったのが原因にあるのではないか」と仰っていたのですが、空港・滑走路が直接どの程度環境に影響を及ぼすのかを定量的に表すのかが分からないにしろ、空港や過度な開発が環境に致命的な影響を与えていることは自明な事実でしょう。
 そんなカラカラの畑で乾いた砂ぼこりを吸って鼻の穴を真っ黒にし、マルチ(作物の根本を保護するためのビニールカバー)をはがしなら思い出したのは、1930年代アメリカの「ダストボウル」と呼ばれる現象です。
 当時のアメリカでは、未熟な農法と無理な機械化により露出し、乾燥した表土が巨大な砂ぼこりとして舞い上がり、周辺の農業が崩壊し、離農した人々が職を求めて周辺の州へと大量に流出し、大恐慌とも合わせて膨大な過剰労働力・産業予備軍が生み出される現象が起きていました。当時の労働者人民の困窮は、映画にもなったスタインベックの『怒りの葡萄』やボブ・ディランの師匠格のフォークシンガー、ウディ・ガスリーの『ダストボウル・バラッズ』などにも残されています。
 周知の通り、30年代のアメリカは革命と反革命が激突し、世界戦争=第2次世界大戦と内乱=ロシア革命の貫徹のどちらを選び取るのかが労働者階級の主体的な問題として厳しく問われた時代でした。翻って今日、ウクライナ戦争で膨大な田畑や森が焼かれ、日本でも2月強制執行や民間施設の軍事利用・成田の軍事空港化、フクシマの汚染水海洋放出といった形で「勝つために」両陣営が競って温室効果ガスと汚染物質を排出している中では、人類を滅ぼすのに核兵器を使う必要すらない状況になっています。
 反戦・環境・革命は全く一つの問題です。今こそ、「両階級の共倒れ」ではなく「社会全体の革命的変革」をもたらすため、反対同盟との血盟固く、全世界9億の農民とも結びつく闘いを力強く作っていかなければと感じる援農となりました。次は学生の仲間を連れて援農と10月全国集会に駆けつけたいと思います。

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