11・13耕作権裁判へ NAAの証拠隠し、文書偽造追及を 市東さんの南台農地守りぬこう

週刊『三里塚』02頁(1122号01面01)(2023/10/23)


11・13耕作権裁判へ
 NAAの証拠隠し、文書偽造追及を
 市東さんの南台農地守りぬこう

(写真 2・15天神峰農地強奪の強制執行に対し、酷寒の中全学連がヤグラの上で夜を徹して徹底抗戦)

(写真  デモ行進の先頭に立つ反対同盟【10月8日】)


 アメリカ帝国主義を基軸とする戦後支配体制の矛盾がウクライナ、中東、東アジアの「3正面」で火を噴き、世界戦争の危機がますます高まっている。大没落の中にある米帝・バイデンは、ロシアのウクライナ侵攻を非難する一方、イスラエルの空爆を擁護し軍事支援を約束している。ふざけるな! この米帝の世界支配を支えている在日米軍基地をすべて撤去し日米安保を粉砕することこそ、日本労働者階級人民の階級的責務だ。反戦の砦(とりで)=三里塚は戦争と大軍拡の岸田政権打倒の先頭に立つ気概で、10・8全国集会の成功から裁判闘争の勝利へ全力を傾けている。団結街道裁判は、顧問弁護団を先頭に粘り強い闘いでついに廃道決定の最高責任者・小泉一成成田市長を法廷に引きずり出す。耕作権裁判は毎月の人証調べに入る。反戦闘争の高揚の中でつながった新たな仲間を誘い、反動の牙城(がじょう)=千葉地裁を包囲する大結集を実現し、勝利判決をもぎとろう。

人証調べに入り毎月の法廷闘争

 市東孝雄さんの耕作権裁判は、11月から人証調べに入り、毎月法廷が開かれる。南台農地の死守をかけて、絶対に勝利しなくてはならない。
 この裁判は一審・千葉地裁で17年も続いている。このような超長期裁判になった原因は、成田空港会社(NAA)が卑劣な証拠偽造、文書隠しを行ってきたからだ。
 2003年、NAAは市東さんが耕す天神峰と南台の農地について、底地を買収し登記したことを明らかにし、賃貸借契約解除へと動き始めた(のちに農地法裁判として不当判決が確定し天神峰強制執行に至る)。
 軌を一にして06年10月、NAAは南台農地の一部について、市東さんが「NAAの土地を不法に耕作している」として明け渡しを求める訴訟を起こした。これが耕作権裁判である。父・東市さんから受け継いだ完全無農薬・有機農業が軌道に乗ってきた矢先に突如、「不法耕作」の汚名を着せられ裁判に訴えられた市東さんの怒りと悔しさはいかばかりか。
 だが法廷は逆に、被告・市東さん側がNAAによる農地取り上げの卑劣な手口の数々を暴き追及する場と化した。
 NAAは、市東家の南台の賃借地の位置特定について、旧地主と市東東市さんとの間で交わされたとされる「同意書」「境界確認書」を唯一の証拠として提出した。だがそれに付された土地図は、市東家が一度も耕したことのない土地を賃借地だと決めつける、致命的に誤ったものだった。
 そして反対同盟顧問弁護団の追及によって、同意書、確認書は東市さんが関与していない偽造文書であることが、回を重ねるごとに明らかにされていった。

同意書・確認書に証拠価値なし

 その一方で、空港公団(NAAの前身)による旧地主からの底地買収の経緯にかかわる文書(公団用地部で当時作成されたはずの報告書など)について、NAAは「作られてない」「担当者が死んだからわからない」などと見え透いたうそを言い続けてきた。千葉地裁、東京高裁の文書提出命令にも従わず、提出を拒んできた。
 こうした「文書」をめぐる攻防の末に9月、千葉地裁民事第2部・齊藤顕裁判長はついに「同意書、境界確認書による賃借地の位置の特定はできない」と、証拠価値を否定する判断を下した。市東さんをはじめ反対同盟、弁護団、支援のねばり強い闘いがもたらした重大勝利だ。
 だがそれは自動的に市東さん側の勝利を約束するものではない。齊藤裁判長は、被告・市東さん側の責任で賃借地の正しい位置、その土地の賃借権の存在を立証することを要求してきた。そして明らかにこの裁判の早期結審を目指して訴訟指揮を行っている。
 南台の耕作地すべてに市東さんの揺るぎない耕作権が存在することをここで明らかにし、NAAの農地強奪策動を完膚なきまでに粉砕することが求められている。
 11月13日の法廷での最初の証人は、元空港公団用地部職員の法理哲二。法理は空港公団用地部として反対同盟の破壊、切り崩しに動いていた主要な人物の一人だ。
 これ以上NAAのうそやごまかしを許さず事実を究明するために、法廷で洗いざらい証言させなくてはならない。

軍事空港阻止!傍聴席埋めよう

 三里塚反対同盟はベトナム戦争の時以来一貫して「軍事空港阻止」を訴え闘ってきた。
 岸田政権による戦争準備、戦争体制づくりが急ピッチで展開されている。沖縄・南西諸島が中国を標的とするミサイル基地群と位置づけられ、部隊配備、施設建設、武器・兵器・弾薬の搬入が進められている。日本列島の主要な空港・港湾が、平時・有事を問わず軍民共用化されようとしている。4千㍍滑走路を有する成田空港は、有事となれば必ず自衛隊・米軍の兵站(へいたん)・補給基地に変貌(へんぼう)する。NAAが進める第3滑走路建設、空港機能強化は、軍事空港建設の攻撃だ。
 戦争へ向けた農地強奪を二度と許すな! あの2・15天神峰強制執行で、目の前で機動隊によって農地が踏み荒らされ鉄板で囲い込まれた怒りと悔しさをもう一度思い起こそう。
 再び身を挺して農地を守り抜く気概を込めて、耕作権裁判の傍聴に集まろう。裁判所をデモで重包囲し、傍聴席を埋め尽くそう。

11月10日は団結街道裁判

 団結街道裁判もまた山場を迎えている。
 市東さんが営農のために日常的に使用していた団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)について2010年、成田市はNAAの意を受けて廃道決定を下し、暴力的に封鎖し、土地を格安でNAAに売り飛ばした。その上に第3誘導路が建設され、市東さんの自宅は空港施設に完全に包囲される形となった。
 成田市民である市東さんの人権を踏みにじって強行された廃道の決定・執行の最高責任者は、小泉一成成田市長(現職)だ。弁護団が求め続けていた小泉市長の証人採用が、ついに前回7月の法廷で決まった。
 だが被告の成田市は、「ビデオリンクでの尋問も考えてほしい」などと言い出している。行政の責任者たる小泉本人が公開の法廷に不在で、モニター画面を通して尋問を受けるなどというやり方は事実上の尋問妨害であり断じて認められない。
 11・10団結街道裁判の傍聴に集まろう!

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