第3滑走路準備工事に着手 徹底弾劾!機能強化粉砕を

週刊『三里塚』02頁(1126号01面02)(2023/12/25)


第3滑走路準備工事に着手
 徹底弾劾!機能強化粉砕を

(写真 アリバイ的な着工撮影会【12月6日】)

(写真 報道陣を引き連れるNAA職員【12月6日】)

(写真 宣伝カーで弾劾行動【12月6日】)


 12月6日、NAAは第3(C)滑走路の準備工事となる高谷川排水整備工事に着手したと発表した。総工費は約2億3650万円で、来年7月までに完成させるとしている。
 昨年10月のB滑走路1千㍍北延伸のための東関東自動車道切り回し道路工事着手に続く機能強化本格工事に向けた踏み込みであり、断じて許すことはできない。

マスコミ動員し

 この日の午前、NAAは工事対象地域の田んぼにマイクロバスを使って報道陣を案内した。「工事着手」として3台の重機を動かしてみせた。しかし、作業は田んぼの表面の土を削って端から端へ移動するだけ。着工を報じさせるためのセレモニーにもならぬ「撮影会」に過ぎなかった。
 NAAがマスコミを総動員して工事開始を大宣伝したのは機能強化反対の声をつぶすためだ。そもそも、今回の準備工事は「10月にも着工」と報じられていた。NAAは埋蔵文化財や地質の調査を終えていないし、用地買収交渉の進ちょく率も明らかにしていない。予定より遅れる中で、「工事が始まったのだからあきらめろ」と住民に屈服を迫る卑劣な攻撃だ。
 NAAは「周辺に住む方々への影響を考慮しながら、着実に工事を進めたい」とうそぶく。かつて空港公団(現NAA)の松井副総裁が「農家の軒先まで工事を進めお見せすることでご理解いただく」と述べ、二期工事(B滑走路建設)を強行していったのとまったく同じ「地上げ屋」まがいの暴挙を繰り返すことなど断じて許すことはできない。
 これに対して、支援連絡会議が「広大な自然を破壊する排水整備工事弾劾!」「成田の軍事利用、戦争につながる空港拡張=機能強化絶対反対」と約1時間にわたって反対同盟宣伝カーから弾劾のアピールを行い、工事への怒りをたたきつけた。 

大規模自然破壊

 排水整備工事は周辺水系をずたずたに破壊する。気候変動とあいまって大規模災害がますます起こりやすくなり、地域住民を洪水の危険にさらすものだ。すでに今年、大雨で高谷川が氾濫(はんらん)し、多くの橋が渡れなくなる事態が発生している。
 この工事は、本格工事で発生する土砂が「高谷川などに流れ込まないようにするため」の対策だとされる。工事区域から出る濁水の対策として幅40〜70㍍の「沈砂池」を4カ所設ける。川幅を広げれば流れが緩やかになって土砂が沈殿するというが、第3滑走路の敷地を平坦にするための盛土と切土は、あわせて3500万立方㍍(東京ドーム28個分)という膨大な量だ。それ自体が大規模な自然破壊で、土砂の流出が防げなければ水系は完全に破壊される。
 またNAAは、雨水対策でつくる調整池を「50年に一度の雨に対応する」と宣伝している。そして、50年に一度の雨を上回る雨が降った場合については「可能な限り空港内で貯留」としか述べていない。しかし、今や「100年に1度の」とか「これまでに経験したことのないような」大雨が頻繁に降っているではないか。
 C滑走路計画地域は起伏が激しく、想定を超える大雨が降れば、これまで森林で吸収されていた水はコンクリートに染み込むことなく調整池へと流れ込む。あふれた水が氾濫すれば、広大な田んぼや家屋が壊滅的な被害を受けることは火を見るより明らかだ。
 NAAは住民を危険にさらす準備工事を今すぐ中止せよ! 本格工事に向けた地ならしを許さず、空港機能強化に絶対反対の声を上げよう。

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※成田拡張計画とは
 総事業費は約5000億円。敷地面積は現在の1198㌶から約2倍の2297㌶に拡張。B滑走路を1千㍍延伸して3500㍍に。B滑走路南側に3500㍍のC滑走路を新設する計画。NAAは、2029年3月の運用開始を目指すとしている。

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