三里塚反対同盟 新春座談会 耕作権裁判に勝利し市東さんの南台農地守る 機能強化=軍事空港建設を 労農学の力で粉砕しよう 大坂正明さんへの懲役20年判決弾劾 記事2面

週刊『三里塚』02頁(1127号01面01)(2024/01/08)


三里塚反対同盟 新春座談会
 耕作権裁判に勝利し市東さんの南台農地守る
 機能強化=軍事空港建設を
 労農学の力で粉砕しよう
 大坂正明さんへの懲役20年判決弾劾 記事2面

(写真 固くスクラムを組み2・15強制執行を迎え撃つ)

(写真 機動隊を徹底弾劾する萩原さん)

(写真 農地死守!看板の上で徹底抗戦)

(写真 12・18耕作権裁判に先立ち千葉市内デモ)

(写真 奪われたビニールハウスを再建)

(写真 24年決戦勝利へ!決意も新たに)


出席者
市東孝雄さん(成田市天神峰)
萩原富夫さん(成田市東峰)
伊藤信晴さん(芝山町・白枡)
司会 週刊三里塚編集委員会

(写真 市東孝雄さん)

(写真 萩原富夫さん)

(写真 伊藤信晴さん)

 激動の2024年が幕を開けた。年初から能登半島大地震、羽田空港での航空機衝突・炎上の事故と大惨事が重なっているが、単なる天災やヒューマンエラーの問題では断じてない。地方も安全も切り捨て、社会に壊滅的な打撃を加えてきた自らの責任を居直り、中国侵略戦争に突進する日本帝国主義・岸田政権こそが元凶だ。巨大な反戦闘争の爆発で打ち倒そう。軍事空港絶対反対、農地死守・実力闘争を58年にわたり貫く三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さん、萩原富夫さん、伊藤信晴さんに24年決戦の展望を語っていただいた。

帝国主義の戦争に怒りを

----まず、23年の闘いを振り返って。
萩原 ウクライナ戦争の真っ只中での2・15執行阻止闘争。5月にはG7広島サミットで核兵器容認なんていうのが出てきた。パレスチナでの10・7蜂起からイスラエルによる無差別虐殺と、世界がますます戦争の色に染まってきたと感じます。
伊藤 アメリカを先頭にした帝国主義国は「民主主義への挑戦だ」とロシアを一斉に非難して、ウクライナに金と武器を送って戦争をさせている。他方でガザでは無差別空爆で9割もの人々の住居を奪い、病院まで破壊したイスラエルを支持、支援している。帝国主義の許し難さがますます鮮明になっています。
----アメリカではZ世代と呼ばれる若者たちがイスラエルの虐殺への抗議の先頭に立っています。
萩原 アフガンからの撤退に見られるようにアメリカ自身が戦争に突っ込めなくなっている。アメリカの若者が犠牲になったら本当に体制が危機に陥ってしまうから。
伊藤 バイデン政権も本当は戦争をしないに越したことはないのだろうけど、今中国をたたかないと世界の盟主の地位を中国に取られちゃうと対中国侵略戦争を構えています。
市東 アメリカ経済がどうしようもなく衰退して軍需産業に頼るしかなく、「軍拡予算を組め、ミサイルやオスプレイを買え」と岸田に迫っていると聞きます。
萩原 ロシアの方はドイツとかイギリスにやらせて、中国は日本と韓国にやらせたい。兵器は補給してやるからと。
伊藤 そうした中で、公共インフラの軍事利用のためには三里塚のような地元の反対運動をつぶさないといけない(米シンクタンク・戦略国際問題研究所)と米帝自身が一歩を踏み込んできました。それを受け、三里塚では半世紀ぶりの強制執行、福島では放射能汚染水の海洋放出、沖縄でも県の意思に反する初の代執行と、今まで手をつけられずにいたことを次々と強行しています。

強制執行と実力で闘った

市東 国の意向で全部をやってしまおうということがあからさまに出てきた1年だね。だけど、2・15強制執行だって国のやることだから明るいときに堂々とやればいいのにね。執行官だって本当は債権者には通告しないといけないんでしょ。何でできないのかね。
伊藤 悪いことをやっていると分かっているからですよ。市東さん宅入り口で機動隊とぶつかり、やつらがどどどって畑に入ってきたので太郎良さんが「お前ら農地を踏むな。出ろ!」と一喝したら最初出ていったらしいよ。農民が耕す農地を踏み荒らすことは人間としてどうなのかと感じたんじゃないか。
萩原 そもそも強制執行は緊急性がないとできないはず。1年近くたった今もNAAはまったく手をつけることなく荒れ地のままにしている。なぜ市東さんに耕作させないのか。天神峰に行くたびに腹が立ちます。
伊藤 畑をガザの壁のように鉄板で囲っただけ。本当に見せしめだよね。
市東 何か反撃したいけど、本当に歯がゆいね。
萩原 どこで反乱が起きてもおかしくない時代。日本でも徐々に労働者のストライキが増え、反戦運動に立ち上がり始めている。気候変動なども深刻化して「戦争なんかやっている場合か」という声も大きくなっている。
市東 COP28も米バイデン大統領は欠席したってね。だけど、日本の若者は岸田政権の言うことに従って戦争に行こうという気になるのかね。
萩原 裏金問題とか自分たちの懐に金を入れることしか考えていない政治家のために、戦争に行こうとはならないよね。
----自治体が自衛隊に若者の名簿を勝手に見せて勧誘を手伝っています。4月杉並区議選挙でも洞口朋子さんが大問題にして闘いました。
市東 俺たちはもう年だからおよびじゃないけど、このままだと徴兵制度が始まるかも。若い人たちは大変だよ。
----昨年末、C滑走路建設に向けた準備工事が強行されました。
伊藤 内陸空港で年間50万回発着なんて人間として許してはいけないと周辺住民が飛行差し止めの訴えを起こしました。同じ内陸空港の福岡は飛ばない時間が夜10時から朝7時までの9時間、伊丹は9時から朝7時までの10時間。成田だけが4時間だけ。朝5時から深夜1時まで飛ばすという。誰が考えても人が住める状況にならない。
市東 芝山町としてはよそからの移住、転入を誘っているんでしょ。そんなひどい騒音で人が来るわけがない。
伊藤 騒音・落下物に加え、兵站(へいたん)基地になったら余計に来ないよ。
萩原 本当に廃村というか廃町だ。いくら町の財政に金があったって人がどんどん出ていく開発なんてやる意味ない。
伊藤 このままではあと10年で町の人口は半減し5千人を切る。「農業体験」をさせて人を呼び込もうとしたけどうまくいっていない。そもそも農家の跡継ぎがいないんだから。周辺地域でも空港拡張反対署名に協力する人が増えています。

三権分立守られていない

萩原 空港機能強化、ワンターミナル構想の本質は軍事空港を本格的に建設すること。羽田空港での日航機と海上保安庁の航空機の衝突・炎上事故を見てもますますそのことを実感します。成田で事故が起きていないのが不思議なくらいで、運航を今の2倍にするなど絶対に認められない。
市東 うちのおやじたちは戦争を経験しているから「軍事空港になる」と言ってきたけど、「いや戦争なんて起きないんだ」とそういう話もあったらしいよね。でも、今考えてみれば最初から戦争反対、軍事空港反対の主張を貫いてきたことが50年たって間違ってなかったと証明された。
伊藤 共産党が主導してA滑走路の南側に建てた「平和塔」ってあるでしょ。強制代執行を恐れて自ら移転し、開港の手助けをしたんだけど、共産党が唯一威張って言っていたのが、「これによって成田を軍事使用しないという確約を取った」と。だったら「今こそ軍事使用するなと言わないとだめじゃないか」と言うと、「難しい問題だ」なんて歯切れが悪い。空港機能強化にも実質的に協力している。
萩原 共産党は戦争絶対反対じゃないからね。
市東 しかし、空港関係者はみんな右肩上がりの考え方だけでね。成田市も空港の固定資産税をあてにして市政は空港一辺倒。農業にだってどんどん金を出してやらせたらいいんだよね。
萩原 その辺は国の仕事だと思っているのかね。市の財政からは出したくないと。
市東 国際医療福祉大学には地べたをただ同然で貸したりしてさ。
----その小泉成田市長をついに団結街道裁判で証人として法廷に立たせることになりました。
伊藤 小泉は団結街道をNAA(成田空港会社)に格安で売り払うというとんでもないことをしたが、空港のために尽くしたから法廷に呼ばれないとたかを括っていた。
市東 前の証人(中村元成田市土木部長)があまりにもひどすぎたから、小泉市長にきちんと語らせなければ。
----裁判闘争も実力で闘ってこそ勝利を切り開けます。他方で、大坂正明さんの裁判では無実の証拠しかないというのにでっち上げ殺人罪で懲役20年の不当判決。
市東 警察官を殺して、なおかつ逃げていたのが悪いと。あの裁判長、とんでもないことを言うよな。自分の農地問題で裁判になって初めて裁判を傍聴するようになったけど、三権分立なんて本当に守られていないなと感じます。法律を決めているのが金もうけのためにやっている政治家だから。自分たちの都合のいいように法律を変えちゃう。北原鉱治事務局長も言っていたように、三里塚裁判は内容で勝っても判決ではひっくり返される。だけど、一度はぎゃふんと言わせたい。

闘魂ますます盛んなり!

----農業は猛暑と渇水に悩まされたと思います。
市東 例年にない天候不順でした。俺たちみたいに無農薬で有機でしかも露地栽培でやっていると本当に苦労する。種をまけば必ず収穫できるという保証はないからね。今年みたいに一回まいたものが全部まきなおしとかね、そういう年は今までなかったよね。水不足の上に気温が高すぎて、芽が出たと思ったら暑さで枯れちゃうんだから。
萩原 気温が高いから、いつもなら大丈夫な時期に虫が出て芽が食われてもう一回まきなおすと。どんどん時期がズレ込んじゃって間に合わない。暖冬と言われるけど冬は普通に来ちゃうし。
----食料自給率の問題も「食料安保」と結びつけて宣伝され始めました。
萩原 食料自給率はどんどん下がるに決まっていますよ。だって農家になる人いないんだから。野菜だって米だってガクッと減りますよ。
市東 食料は輸入すればいいと言っても、自国でも足りないものを安く日本にくれるはずがない。
萩原 他の国だって厳しいはずだから。気候変動による被害だって受けているしね。
市東 今まで農業をないがしろにしておいて、戦争になったらイモを作れと強制しようなんてとんでもない話だよね。
萩原 そんなことを誰がやるのよ。農家が田畑をどれだけ苦労して維持・管理してきたか、まるでわかっていない。放っておけば草ボーボーになって、木は自然に出てくるし、使えなくなっちゃうんだから。
----最後に今年の抱負、決意をお願いします。
伊藤 反戦闘争の爆発こそが三里塚勝利の展望です。今年はそれにかけきりたい。何より市東さんの南台農地を守りぬく。共に闘いましょう。
萩原 三里塚闘争は58年という長い闘いになりました。労働者と農民、働く者が権力を取り、人間にとって本当に大事なものが守れる社会の実現に向け、これからも農地を守って闘い続けます。
市東 反対同盟はじめ、党派、支援、労働者、学生、市民が2・15強制執行に対して共に闘い、その後の営農再建にも支援していただき本当に感謝しています。今年は耕作権裁判にぜひとも勝ちたい。そういう意気込みで、農業の方も今年の分を挽回してがんばってやっていきます。闘魂ますます盛んなり!

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