明日も耕す 農業問題の今 「食料有事法」国会提出へ 国家総動員体制が狙い

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週刊『三里塚』02頁(1130号02面07)(2024/02/26)


明日も耕す 農業問題の今
 「食料有事法」国会提出へ
 国家総動員体制が狙い

(写真 2023年5月13日付朝日新聞)


 食料有事法が動き出した。2月9日、マスコミ各紙は「国内で食料が不足する有事に備えるための法案の概要が分かった」など、政府が今国会に提出する新法の概要を伝えはじめ、14日には自民党が法案を了承した。
 小欄では日本農業新聞にならって「食料有事法」と新法を表してきたが、法案の名称は「食料供給困難事態対策法案」(仮称)となっている。
 今国会には食料安全保障を柱とする「食料・農業・農村基本法」の改悪案が提出される。しかし、基本法は宣言法なので、内容を具体化する個別の法律がなければ機能しない。今度の法案はその個別法の一つであり、最も注視すべきものだ。

農家に増産強制

 法案の概要は、まず食料供給の状況を平時を含め4段階に分けている。
 米や小麦、大豆など特に重要な「特定食料」について供給不足の兆候を把握した段階(食料供給困難兆候)で、首相が本部長を務め全閣僚が参加する「食料供給困難事態対策本部」を設置する。
 自主的な取り組みとして、出荷調整や輸入拡大、生産拡大を要請する。特定食料が大幅に不足するような食料危機時(食料供給困難事態)には、政府が供給目標を設定。農家に増産計画の届け出を指示できるとし、従わない場合は20万円以下の罰金を科す。現在生産している人だけでなく、過去にその品目の作付け実績があるなど生産能力が見込める人も省令で定め、対象に加える。
 国民の生活に最低限必要な食料が不足する可能性がある場合(特に深刻な段階)は、カロリーを重視した生産転換を生産者らに要請・指示し、事業者への割り当てや配給も検討する。
 農水省はすでに条文をまとめ、2月下旬にも国会に提出するという。

戦時配給も検討

 2月12日付日本農業新聞で資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫氏は「食料・農業・農村基本法の見直しに対しては、平時における国民一人一人の食料安全保障を考えると宣言しておきながら、いつの間にか議論は不測時における安全保障にすり替わっている」と指摘した。
 「(まずは)国内農業生産の増大を」という氏の主張は至極当然だが、すり替わっているのではない。はじめから不測時=有事のための法整備が目的なのだ。
 それがよくわかるのは「特に深刻な段階」で「配給」まで検討していることだ。実際に戦争をやるために、戦争まっただ中でしかあり得ない事態まで検討している。
 農水省の資料に目を通すと、「国民生活二法、食糧法により割当て・配給を実施」「物価統制令により価格を統制」「既存農地以外の土地の利用」などの項目が並ぶ。
 地方自治法改悪など国家の権力を強大化し、中国侵略戦争に向けた国家総動員体制をつくるための有事法制として新法は狙われている。
 国会闘争に立ち上がり、岸田政権を倒そう。

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