明日も耕す 農業問題の今 絶対量が足りていない! 米農家に聞く真相(上)

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週刊『三里塚』02頁(1159号02面04)(2025/05/12)


明日も耕す 農業問題の今
 絶対量が足りていない!
 米農家に聞く真相(上)

(写真 秋山和雄さん)

(写真 最多ペースで進む米農家の廃業を報じる新聞)

(写真 自民党農政のもとで農民は減反政策で米を作る意欲も奪われ、疲弊し、苦境を強いられてきた。農家の減少が止まらない。今米の高騰によって農業の危機、食糧問題の深刻さが突きつけられている)


 5月12日の農水省発表によれば、米価は18週ぶりに下落したという。だが高値は変わらず人民は苦しめられている。実情はどうなのか。新潟で米農家を営む全国農民会議事務局長の秋山和雄さんに現場の話を伺った。
----まず、みんな疑問に思っているのは、なぜ突然米が消えたのかということです。
 直接的なことで言えば、昨年の1月1日に能登半島地震あった。あれで、南海トラフ地震が起きるっていう大キャンペーンが始まったでしょう。あれでみんな家庭の備蓄を若干増やしたんだよ。それが結構の量になった。毎月10㌔とか5㌔しか買わない人が何万人も買い足したんだ。それが一番の理由。

収穫量は3割減

----かつて(1970年代)トイレットペーパーなくなったのと一緒ですね。
 そもそも毎年流通している米の絶対量がギリギリだった。
 それでしかも前年秋の収穫量が3割減だった。九州から軒並み、北海道と東北の一部が良かったくらいで。ところが作況指数は96だとか、あれ、インチキなんだよ。作為的な作況指数、指数を意図的に上増ししたわけ。そんなのすぐわかる。新潟県だって、どこもみんな不作だった。結局うちなんかも3割減だったからね。
 当時の農相は「新米が出るまで待ちなさい」なんて言ったけど、無いと分かってるから中間業者は早々と8月から買い始めた。うちの方でお盆の18日に総会開いたら、どこもかしこも「もう米がない」っていう話になった。
 そういうときに全農新潟が仮渡し金の金額を発表したんだけど、それがすごく安かった。1万7800円とか1万8000前後(60㌔あたり)。
 もうその時点で米の絶対量が足りなくて値段が上がっていたから、秋に収穫される米の値段はかなり高くなることがはっきりしていた。それなのに新潟県の農協の仮渡し金が安かったので、県内の中間業者だけでなく他県の業者も「農協よりも高く買います」と県内にガンガン入ってきた。

価格高騰来年も

----仮渡し金って?
 契約している米の値段は、仮渡し金といって、毎年秋に決めるわけ。あとから追加払いすることもあるけど、基本的には契約した米はその金額に縛られる。
 ところが新潟では仮渡し金が安かったから、契約違反を百も承知で農協に出さずに、他の高いところに出荷しちゃう人がそれなりに増えた。
 それで高く買った業者は安くなんて売れないから、来年(今年のこと)になっても値段は下がらないだろうと。8月、9月の段階でこういう予測だったんだよ。そう簡単に下がらないと。なんたって絶対量が少ないんだから下がりようがない。
 「絶対量はあるんだから高止まりのはずがない」というのが当時の国の言い分だったけど、大ウソだったということ。

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