明日も耕す 農業問題の今 農民の怒りが広がっている 米農家に聞く真相(下)

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週刊『三里塚』02頁(1160号02面07)(2025/05/26)


明日も耕す 農業問題の今
 農民の怒りが広がっている
 米農家に聞く真相(下)

(写真 小泉進次郎新農水相)


 「米は売るほどある」発言で江藤農水相が更迭され、新たに就任した小泉進次郎は「2000円台にする」とうそぶく。米問題は解決するのか。現場はどう思うのか。全国農民会議事務局長・秋山和雄さんの話を続ける。
----備蓄米放出でどうなるでしょう。
 1回目は全農が九十何パーセント買ったでしょ。カラクリがあって同じ年に買った分だけ戻さなきゃいけないんだよ。
 全農は農協経由のあらかじめ契約で決まった集荷方法があるから、秋にできた米を備蓄米に入れればいいだけのこと。でも、そんなの民間なんかできやしない。
 買ったらその分すぐ返せっていうことだから、多少出回ったとしても、価格には反映されない。
 今年は絶対量が少ないし在庫も少ないのは分かっている。値段が下がらないと思っているから、新潟県内の農協は全部主食用の米を増やしている。それでも値段は下がらないだろう。来年はどうか分からないけど。

輸出に展望なし

----米の生産量がギリギリにならないよう輸出米を増やすと言いますが。
 輸出米はそんなに増えないよ。売り先だって中国、台湾が大半。流通的には過剰気味だし、日本の米はそんなに安いわけじゃない。足りなくて困っているっていう状況でもないし、中国だって自国で増産している。
 日本の米だけが特別に販売量が増えるっていう展望はない。何よりそれは業者が言っているよ。

新潟からも立つ

----新潟では後継者はどうなんですか。
 俺の所はいるけど、少数派だよ。後継者なんてほとんどいない。
 みんな個人的にはね、怒りがくすぶっているわけ。なぜかっていったら米作っても安いじゃない。どんどんやめていってるんだよ。俺みたいな70半ばのやめる寸前の人がゴロゴロいる。いやもう農業つぶれるから。
 新潟でも農民の行動をやろうと動きはじめている。トラクターデモをやろうと呼びかけている。全農新潟にオルグに行ったりとかいろいろとね。全農は3月の時、動かなかった。「ありがた迷惑だ」と抑えつけていた。だけど、3月のインパクトは農民の間にワーッと広がっていて、今回「参加したい」っていう人は結構いる。大規模ではなくても、新潟でも長岡でもやりたいね。

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 備蓄米は、その後買い戻し期間の延長が打ち出され、新たに農水相に就任した小泉進次郎は、随意契約に方針を転換した。それでも米は安くならない。
 農民には食べていけないほどに安く、労働者には簡単に手が出せない高級品になった米。価格で何とかするなら、農家には食べていけるだけの補償、労働者には十分買えるだけの賃金が必要だ。
 だが、中国侵略戦争に突き進む石破政権の下でそれはあり得ない。帝国主義に米問題は解決できない。
 帝国主義打倒がわれわれの答えだ。

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